自称女神と会う
「誰?」
「おぉー、やっと気づいてくれたのう。妾か?妾は女神アシュリーじゃ。よろしくの」
ん?
女神って言ったか、この女の子?
綺麗な黄金色の目と同色のショートで癖っ毛のある髪、出る所も出てなく、美少女かと聞かれたら美少女だと思うが、どう見ても女の子だよな?
まぁ確かに女神?と言われれば綺麗な容姿だが、凛の方が美少女だし特別可愛いとは思わない。
妾とか、自称女神とか言うし、俗に言う厨二病ってやつか?
痛い子なのか?
「そち、何やら失礼なことを考えておらんか?先程から空気扱いじゃし、痛い子見るような目で見てくるし、流石の妾も傷つくぞ…」
なんだか泣きそうな顔でこちらを見てくる。
「…お兄ちゃん、この人は女神様なの、信じてあげて」
凛が自称女神を女神様と呼んでいる。
本当なのか?
未だに怪しいけど、今にも泣き出しそうな感じで見られるのは少し罪悪感があるな。
「ええっと…女神様?何か女神様と呼べるようなことは出来ますか?」
「…信じておらんようじゃな…グスン…まぁ良い。出来るぞい。お主らが何故このような状況におるか説明するので、妾が女神と分かるじゃろ。とにかくいつまでも妹に膝枕されておらんで座ったらどうじゃ?」
そう言われて気がついた。
さっきから凛の顔が上にあって、頭には柔らかな感触があった。
俺膝枕されてたんだ…恥ずっ。
バッ。
すぐに起きて周りを見渡すと辺り一面、白い空間だった。
その空間に俺と凛、そして目の前に長椅子に座っている自称女神の女の子。
何この状況?
「そうじゃのう。何から話すか…とりあえず、お主ら二人共既に死んでおる」
唐突に言われた言葉に一瞬ドキッとした。
「死んでる?俺と凛が…」
「うむ。覚えておらんか?どのような状況で亡くなったか」
なんとなく覚えてる。
俺はトラックに引かれて、そこから動けなくて、意識も朦朧としていた。
凛は危篤と聞いている。
凛を見ると身を縮めこめるようにしているので覚えているようだ。
凛の手を握ってやると少し安心したようだ。
「覚えておるようじゃの。その後どうなったか見せてやろう」
女の子は指をパチンッと鳴らすと女の子の背後に映像が出た。
そこに映っていたのは交通事故にあった俺と病室で寝ている凛がいた。
凛の側には両親がおり、母親はスマホを片手にして電話しており、急に膝から崩れ落ちてしまった。
それを見た父親は母親から事情を聞いて顔を真っ青にして母親を抱きしめていた。
電話で俺が交通事故にあったと聞いたのだろう。
俺の交通事故の映像を見て凛がこちらを見て不安そうにしている。
「今はどこも痛くないよ」
背中を撫でながら微笑むと安心してくれたようだ。
「どうじゃ。お前達がどうなったかは理解出来たじゃろ?」
「あぁ、理解出来たよ」
俺と凛は死んだんだ。
もう両親にも会えないのだろう。
映像に映る両親を見たら、申し訳ないことをした感じだ。
苦労ばかりかけてしまった。
(説明をすれば女神と分かる)
確かに目の前の女の子はそう言った。
俺達がどうなったかを映像として見せたやり方は普通の人間には無理だ。
それに俺の身体は無事だし、今凛と一緒に居られる事の理由がつけられない。
確かに普通の人間ではないだろう。
女神と言うだけの根拠はあるな。
「あなたが女神と言うことも信じるよ。それでどうして俺と凛が一緒にここにいるのか説明してもらえるか?」
「おぉー、信じてもらえるのか!うむ。じゃあ説明しようかのう」