妹との約束
最近どんなことがあったとか、この本が面白かったとか話し合っていると、面会時間も残り30分を過ぎていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎるとは本当だな。
「凛は退院したら何がしたい?」
「うーんとねぇー、この旅行本に載ってる所にお兄ちゃんと行きたい!」
「分かった。俺が凛を連れてってあげるよ」
嬉しそうに笑いながらはしゃいでいる。
この笑顔を守る為にもっと頑張らないとな。
「ゴホッゴホッ」
「…!?大丈夫か、凛!すぐにナースコールして看護婦さん呼ぶから」
「…だ…いじょ…ぶ…だよ…お…にい…ちゃん」
まだ噎せて息も整ってない。
早くナースコールを押して看護婦さん呼ばないと。
「看護婦さん呼んだから大丈夫だよ。安心して」
しばらくしたら看護婦さんが来て、主治医の先生を呼びに言ってくれた。
「もう大丈夫ですよ。興奮して少し噎せただけのようです。ただ今日は安静にしている方が良いでしょう」
主治医の先生が診てくれた。
一先ず安全だな。
「ありがとうございます」
「ではこれで失礼します。凛ちゃん、今日は安静にしているんだよ」
「はーい」
先生と看護婦さんが退室した後、俺と凛は取り留めのない話をした。
「凛、無理はダメだよ。しんどくなったらすぐに先生を呼ぶこと。分かった?」
「うん。分かった」
少し元気がないから頭を撫でていると嬉しそうに笑った。
「お兄ちゃん、凛ね、もっとお兄ちゃんと色々なことしたり遠くへお出かけしたり美味しいもの食べたりしたいの」
「あぁ、約束だ」
凛の小指と俺の小指を絡めて指切りをした。
「もうすぐ面会時間が終わってしまうから俺は帰るよ。また来るからな」
「うん。楽しみに待ってる」