10000人の偽物
神山は何時間も座り込んだままだった。
「神山、とうとうやったようですね。」
「ああ・・・」
Xはゆっくりと神山の前に立った。
「クローンのことがそんなに気がかりですか?」
「あいつらは・・・俺以上の被害者だ。」
「俺以上・・・ですか・・・そろそろ潮時か。」
Xは拳銃を神山の頭に突きつけた。
「X!?一体・・・」
「私はあなたを元々殺すつもりであなたがクローンを全滅させるまで協力した。
クローンが全滅した以上、あなたの存在価値は0。」
神山は怒りに震えた。
「なぜ・・・なんだ・・・」
「私は常に自分のことを考えて生きてきた。国を潰すというのも自分のためだ。
おまえにクローンを全滅させたのも自分のため。
そして・・・おまえを殺すのも自分のためだ。」
「な・・・」
「おまえは図書館で読んだだろう?このクローン実験の記事を。」
「医療実験のために10000人のクローンが作られたことか?それが一体・・・」
「クローンの1人は死亡した・・・いや、正確には消息を断った。それは体内のセンサーの反応が消えたからだ。
これは全てある計画がもたらしたものだ。
クローンは9999人にはなっていなかった。10000人いたのだよ。ある者が1人のクローンの体内からセンサーを取りだし、破壊した。」
「それが・・・どうしたと言うんだ!?」
Xは溜め息をついた。
「やだなー・・・物分かりが悪いやつは・・・」
Xはそう言うとゆっくりと仮面を外していった。
「君は・・・」
Xは仮面を完全に外して言った。
「偽物だよ。」
神山は目を丸くした。
目の前にあったのは、自分と全く同じ顔であった。
「私は君の体内からセンサーを取りだし、私の体内にある本物に取り付けられたセンサーを君の体内に移植した。これで国は君が本物であると勘違いする。全ては生き残り、国を潰すことだ。」
「俺は・・・おまえと共に国を潰したい。協力したい!!自分のためであっても協力してくれたおまえに!!」
「私はクローンが全て死んだことをネタに国を潰すつもりだ。君がいると・・・」
Xは拳銃の引き金に指をかけた。
「邪魔なんだよ。」
神山はゆっくり口を開いた。
「おまえは・・・10000人の罪なき人を殺したことを・・・忘れるな。」
ズガーーン
銃声は森の遠くまで響いた。
こうして戦いは終わった。政府はこの実験が原因でXの起こしたクーデターによって崩壊した。
しかし、Xは精神障害によって8年後に自らの頭を銃で撃ち抜いた。
Xは死ぬその瞬間まで
「10000人の私が殺しに来る。」と呪文のように呟き続けたらしい。
クローン人間はもう生まれているかもしれない。
もしかしたらあなたも・・・(笑)