新宿時限爆弾
朝8時、都内新宿駅。
「もしもし・・・俺だ。そっちはどうだX。」
電話の奥からは戦いの最中とは思えないほど落ち着いた声が聞こえた。
「国家がクローンを作った際体内にとりつけたセンサーで9215人ほどのクローンの居場所がわかった。恐らくセンサーにかからなかった784人は既に死亡している。」
たしかにこの状況なら既に800人近くが死んでいてもおかしくはない。
「俺の場所は映っているのか?」
「ああ。クローンだけにセンサーをつけても意味がないだろう?
さあ、ノルマは1日50人だ。まだ君は13人しか始末していない。残り37人を早く始末してくれ。
トイレに3人いる。急いで向かってくれ。」
「・・・簡単に言いやがって。」
ガチャ
神山は駅内のトイレへ向かった。
トイレの中からは声が漏れていた。
「トイレから声が?・・・」
・・・
「どうだ?」
「プラスチック爆弾の準備はできたみたいだ。」
「俺の計算だとコイツの爆発で少なくとも120人は吹っ飛ぶ。」
「わかってると思うが俺ら3人になるまで俺らは仲間だ。わかったな?」
神山はトイレから離れて携帯電話を取り出した。
「X、トイレ内の3人組は爆弾で一気に吹き飛ばす気だ。コイツらは泳がせておいた方が得策だと思う。」
「そうですね。ただし注意が必要です。恐らく爆弾は多くのクローンが殺せる場所に設置してある。人通りの多い場所を避けてください。」
「わかった。人通りの少ない場所でクローンがいる所はどこだ?」
「新宿から東に行ったホテルだ。道中にクローンが8人。ホテルに10人いる。気を付けてください。」
ガチャ
「さて・・・行くか。」
その時銃声が響いた。
「なんだ!?辺りにクローンはいない・・・」
ピリリリ
「X、辺りにクローンは?」
「いない。何かあったんですか?」
「銃声が聞こえた。辺りはパニックになっている。」
「・・・狙撃される危険性がある。武器を見えないように構えてホテルまで急いでください。」
神山は人混みに身を隠しながらホテルにたどり着いた。
「ホテルについた。ナビゲート頼む。」
「どうやら10人のクローンはお互いに気づいていない。恐らく仲間ではないはずです。ひとまず誰もいない3階に向かってください。」
「了解。」
非常階段を通って神山は3階に上がった。
「・・・足音!?マズイ・・・バレたか!?」
神山は走った。
ピリリリ
「神山、マズイ・・・罠だ。おまえが非常階段を通った瞬間ホテル内全てのクローンが動きだした。」
「どうすればいい?」
「とりあえず近くの部屋に隠れろ。」
「わかった。」
神山は通路奥の部屋に入った。
部屋の中にはベッドの上に爆弾が置いてある。
「くっ・・・マジかよ・・・」
この状況・・・どうする・・・考えろ。
・・・ホテルの客室でできること・・・
「もうそこまで来てます。」
わかっている。
カチャ
これは・・・銃の音か?・・・そうだ。
窓から・・・出られそうだな。
神山は時限爆弾のカバーを開けた。
「時限装置をいじるには・・・・・・よし。制限事件を30秒に設定。」
神山は窓を開けた。
「いけそうだな。」
神山はそのままパイプを伝わり降りた。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」
火炎龍が窓から飛び出した。神山は爆風によって地面に叩きつけられた。
「ギリギリ・・・だな。」
そこに黒いリムジンが走ってきた。
ガチャ
「神山、乗ってください。」
「・・・助かる。」
二人はそのまま廃墟の地下に戻った。
「今日だけで相当死んだらしい。残りのクローンは5000人をきった。」
「今日の俺みたいなやつがいたのかもな。」
「明日は浅草に向かってくれ。」
「また危険な目に会わせる気か!?」
「ここがいつ見つかるかわからないだろう?
・・・1日も早くクローンを始末するんだ。」
俺には疑問があった。なぜXは俺にここまでしてくれる?
なぜこんなに急いでいるんだ?