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始まりは
人は死ぬ時には走馬灯を見るというが、凪真虚にはただ現実がゆっくり進んで見えていた。
(これが、死ぬ時の風景なのか?)
自分を撥ね飛ばしたダンプカー、赤信号、紅い鮮血、喚き叫ぶ人々。そんな風景が刻一刻と薄れていく。
(そうか、俺は死ぬのか。このまま────死にたくない。俺は死にたくない、生きていたい、誰か助けてくれ──────)
真虚は薄れていく意識の中、誰かに助けを自分から初めて求めた。そんな真虚の心の声に、応える声。
「対象ヲ確認。コレヨリ転送ヲ開始」
真虚の意識は途絶えた。