第一話 紅い月を見た
紅い月を見た....
それは酷く美しく、優しく、冷たく
そして月が三つ重なっていた。
いつものように、学校からの帰り道のことだった。
俺は不意に、月を見たくなった。
今日は満月の夜である。
俺は丘まで歩き、そして見上げれば満面の星空
の、はずだった。
上を見れば、紅く染まった月があった。
「....なんだこれは」
俺はあっけにとられていた。
見たことのない、異様な光景がそこには広がっていた。
月が三つ、まるでテレビの砂嵐のように月の周りが揺らいでいる。
「これはまずいな....何か軍事的な実験をおこんなているのか....いや、可能性は低いな。ここは神威に聞くべきか....」
その時だった。
月から物凄い速さで何かが降り立ってきた。
そしてそのまま減速せずに、俺の胸を貫いた。
「うが....がはっ....」
胸には暴力的な、痛いの一文字では表せない何かがあった。
それはまるで、何か大きい肉食動物に噛まれているかのような....
「....なんだこれは....龍?だがそんな生物は存在しないはず....だったらあのシルエットはなんなんだ....」
確かに俺は見た。
色は真っ黒でよく見えなかったが、確かに龍の姿に見えた。
「ごふっ....がはっがは....」
そして地面に真っ赤な血が落とされた。
「....痛みには強い方だと思ったが....ここまで重症だともうダメか....がはっ....」
そんな中、俺の耳に鈴のような綺麗な声が聞こえてきた。
「大丈夫、目を閉じなさい....そしたらあなたは救われる。」
救われる?バカをいえ、この状況からどうすれば助かるというのだ。
言ったつもりでも、もう言葉を出すこともできない....
最後に....ひとつ願いがかなうなら....もう一度チャンスを....
そう心でつぶやきながら、俺の意識は暗闇の底へ落とされていった。
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(悪評入ると、自分の心が折れます。豆腐メンタルなんで