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ひきこもり中年

作者: ヒロシマン

 まず最初に認識しておかなければいけないことは、「ひきこも

り」を病気と混同していることだ。

 外に出たいのに対人恐怖症など何らかの病気で外に出られない

のは、ひきこもりではない。

 外に出たいわけだから、病気を克服して外に出ればいい。


 本当のひきこもりは、いつでも外に出られるけど、出る必要性

を感じない究極のインドア派のことだ。

 一般の人とひきこもりが違うのは、ちょうど縄文人と弥生人が、

狩猟と農耕というライフスタイルが違うのと同じようなものだ。

 こうしたことを認識しないまま、家に閉じこもっていればすべ

てまとめてひきこもりにして対処しようとするから、増えるばか

りで解決のめどが立たない。

 そして、ひきこもりが今は少数だから、ひきこもりをなくそう

とする。そのことが社会活動を停滞させ、ひきこもりを足手まと

いや厄介者にしてしまう。


 将来、ひきこもりが大多数になる可能性がある。

 人類が二足歩行に進化したように、宇宙に進出するようになっ

た人類には、ひきこもりの能力が必要になってくるだろう。

 宇宙では、しばらくは閉鎖された空間で生活することを余儀な

くされる。しかし、普通の人が1週間でも家に閉じ込められた状

態になれば、ストレスがたまり、健康状態も悪化するだろう。

 ひきこもりをするには、強靭な精神力と忍耐力が必要なのだ。

 同居する親兄弟に白い目で見られていてはなおさら、そのプレッ

シャーに耐える力が必要になってくる。

 ひきこもりを理解することは、宇宙で生活することにも役に立

つはずだ。


 私がひきこもりになった理由の一つに、通勤がある。

 私が選ぶ仕事は、1日中、室内でする仕事で、これは自宅の室

内から会社の室内に移動するひきこもりと同じだと思う。それに、

通勤時間は、私の自宅から仕事場が集中している地域まで交通機

関を利用しても2時間前後かかる。

 私は乗り物酔いもしやすいので、特に苦痛があった。

 この2時間前後の時間の無駄が気力、体力を消耗し、仕事の効

率を下げる。それに、2時間あれば、かなりの収入が得られるの

に、通勤で損をしているような気分になる。

 だったら、仕事場の近くに引っ越せばいいのではないかと思う

かもしれない。

 それができないのは、もう一つの理由の人間関係だ。

 私は、お酒が大っ嫌いだ。飲めないわけではないけど、こんな

物にお金を使いたいとは思わない。

 ところが、仕事には必ず「飲み会」という風習(?)がついて

くる。

 私は、この飲み会を平気で断るし、どうしても飲み会に参加し

なければいけない時は、お酒は飲まず、お茶を飲んでいる。

 これが人間関係を悪くし、仕事はできるのに退職せざるおえな

い状態に追い込まれる。

 こうして、転職ばかりをしているとなんのために働いているの

か分からなくなった。


 仕事をしている期間は消費をしないので貯金がたまった。それ

でしばらくは生活できると思い、ひきこもるようになった。

 次第に、貯金がなくなれば仕事をして、貯金がたまればひきこ

もるということを繰り返すようになった。


 ところで、色々転職をした中には、人件費水増しの不正受給や

詐欺まがい商法をしている仕事(?)にも出くわした。

 官庁がインターネットだけを利用して入札をおこない、それを

一部の企業だけに知らせて、競争相手のない落札をするというこ

ともあった。まあ、形式だけの入札の公告はしていたかもしれな

いが、官公庁の宣伝力の無さは知っての通りだ。

 驚くことにこういった仕事はハローワークの求人で紹介された

ものだ。

 これでさらに労働意欲はなくなっていった。


 40代後半に、母親が大やけどをしたことをきっかけに、私が

炊事をするという理由で、完全なひきこもりとなり、しばらくし

て父親の年金管理を任されるようになった。

 私の母親は、年金が入ったら次の支給日までに全部使うような

人だったので貯金がなかった。それが、私が年金管理をするよう

になって1年で100万円の貯金ができた。

 これにはネットスーパーの利用も大きく貢献している。

 ネットスーパーは、事前にカタログが配布されるので、価格が

事前に分かり、安い商品を選ぶことができる。また、1週間分の

食事メニューを決めてしまえば、無駄な物を購入することがなく

節約ができる。ただし、野菜や魚など商品にばらつきがあるよう

な物は必ずといっていいほど不良在庫のような物が届けられるの

で、良いことばかりではないことは覚悟するしかない。


 貯金が200万円になった時、投資信託でもしようと考えたの

だが、手続きが面倒だし、他人に株式投資などをさせて遊ばせる

のはしゃくだから、私が株式投資することにした。

 私は、過去に株式投資をしていたことがあったが、その時は、

インターネットがなく、証券会社に行って売買注文をしなければ

いけなかった。それが今はインターネットで家にいながら瞬時に

売買をすることもできる。

 これで私は、簡単に1万円を稼ぐことができた。

 たった1万円と思われるかもしれないが、ひきこもって1円も

収入を得られなかったことを考えれば驚くべき成果だった。

 投資資金を350万円に増やして、1年近くで50万円の利益

があった。ただし、この間には30万円前後の損失がでそうになっ

た。これは株を売っていればの話で、私は売らなかったので損失

にはならなかったが、その間は投資資金がないので売買ができな

い状態だった。

 株式投資をしている人の中には「損切り」といって、損失が拡

大しないように、少ない損失ならすぐに売ってしまうとうことを

する。

 私は、基本的にこの損切りをしない。ただし、購入した株価が

違う複数の株を平均して、利益が得られるようなら、一部の株が

損になっても売ることはある。

 こうしたことでもしないかぎり、ひきこもりで利益を得て生計

をたてる方法は今のところない。

 在宅勤務は、会社に就職して時々出社というのがあったり、イ

ンターネットで募集している仕事は、内職のような時間ばかりか

かって収入は少ないというワーキングプアに陥れるようなものし

かない。


 だから、ひきこもりの問題は、インドアで生計がたてられるよ

うにする社会整備が整っていないことが問題なのだが、政府はそ

れを隠し、あるいは気づこうともせず、国民全体に負担を押し付

けている。


 ところで、ひきこもって食っては寝るだけでを繰り返していて

は太ってしまう。

 私も最初にひきこもった時には、かなり太ってしまった。しか

し、あることがきっかけで痩せる方法をみつけた。

 ある日、強烈な腹痛に襲われた。それは何日も排便しなかった

からだ。

 トイレに行っても腸が詰まったような状態で激痛があるばかり

で排便できない。しかたなく病院へ行き、巨大な注射器で浣腸さ

れ、排便することができた。

 この恥ずかしい体験を二度としたくなかったので、排便の習慣

だけは身につけることにした。

 その結果、劇的に痩せることができ、今もリバウンドせず、運

動やダイエットなど、なんの努力もせずに、痩せた体重を維持し

ている。

 この体験をインターネットで紹介したら反響があり、その時食

べていたのが「もやし」と「マヨネーズ」だったので、「もやし

ダイエット」とか「もやしマヨネーズダイエット」として健康雑

誌やテレビで紹介された。ただ、残念だったのは、他の食べ物ダ

イエットと同じような取り上げられ方をしたため、勘違いをして

いる人も多かった。

 この痩せる方法は、あくまでも排便が重要で、食べる物は何で

もいい。

 もやしは安いしどこででも手に入るから薦めたまでで、もやし

をそのまま炒めて沢山食べるとかえって便秘になる。

 もやしは根をとらず、2~3センチのざく切りにして色々な料

理に混ぜて食べると排便が楽になる。

 この他に、トウモロコシの水煮をスプーン山盛り3杯ぐらいを

料理に混ぜて食べてもいい。


 こうしたことを紹介しているのは、ひきこもりでも社会に役に

立つことを証明したかったからだ。

 幸い私は、家の炊事と父親の年金管理をするといった、家族の

役に立つことで、プレッシャーがなくひきこもりを続けることが

できているが、多くのひきこもりは、家族の重荷になっているの

ではないかとか、一生、社会の役に立たない人生を送るのではな

いかと思っている。


 自殺する人も最終的な行動をする理由は、社会の役に立たない

と思い込んでいることだ。

 ひきこもりも周りの人からそういう偏見の目で見られていると

感じる。

 私はそんな時は、消火器をイメージする。

 消火器が役に立つのは火事になった時だ。

 火事のような不幸な時に役立つわけだから、消火器は役立たな

いほうが幸せだ。だからといって、消火器は無用ではない。

 消火器は、その存在だけで安心感があり、火事の時には実際に

役に立つ。

 どんな人でも今の時点で役立つとは限らない。また、一生、社

会の役に立たないかもしれない。それでも無用な人は一人もいな

い。

 技術革新が起これば、どんな人にもチャンスがあるからだ。

 パソコンが登場したのは、そんなに昔ではないし、インターネッ

ト、スマートフォンとネット環境は激変した。

 こうした技術革新があると、すべての人が知識がなく、だれで

も同じスタートラインに立つことができる。

 もちろん、ある程度の知識の積み重ねは必要だろうが、その技

術をどう活かすかといったことは、消費者目線のほうが必要になっ

てくる。

 新しいことに敏感な好奇心も必要だろう。

 こういったことは、ひきこもりのほうが都合がいい場合が多い。


 ひきこもりの本人が自覚して、ひきこもりというライフスタイ

ルを社会に認めてもらう行動をすることが大切だ。それでも、ど

うしても自分を役立たずのお荷物だと思うのなら、徹底的にゴミ

になってしまえばいい。

 ゴミの中でも生ゴミだ。

 生ごみは肥やしになる。

 誰かの肥やしになれば、それでいいじゃないか。


 終わり

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