わたしと使い魔と鬼ごっこ
魔王様目線
初めまして、わたしはルビー=H=クラースヌイ、魔王よ!
と言っても、現状の世界じゃ魔王なんていっても、大した活動をしてる訳じゃないみたい。
みたいって言ったのは、あくまでわたしは『お勉強』で知ったことだから。わたしはまだまだ魔王としては、半人前にも満たないから、こうして『お勉強』が必要なんだって。
「ほら、魔王様、手が止まってますよ」
目の前の黄緑色の髪をした、背の高い執事然とした青年が、その『お勉強』が必要だって言っている人。
つかいま?とかいうやつらしい。
「くーちゃん、ヒマだよぉ!」
お勉強にも飽きてしまったので、机に突っ伏しながら、目の前の青年に訴える。
あ、すっごい微妙な顔してる。
「魔王様、ヒマとは仰いますが、目の前に山のように積み重なった紙の束が目に入りませんか?なんですか?その目は綺麗な飾りですか?抉りますか?」
凄く冷たい目をしながら、そんなことを言っている。けど、別に怖くなんかない。仮にも魔王だしね、くーちゃんくらいなら簡単に倒せるくらいには力がある。
ていうか、くーちゃんの目綺麗だなー、金色の猫の目みたい。かわいい。
ていうかていうか、くーちゃんたらわたしのこと、綺麗とか言っちゃって!ホントの事だけど、わたしだって照れちゃうんだからー!
ムッ!そこじゃないとか言われたー!ちょっと怒ったぞー!よーし!
ちょっと困らせようと思って、話してるくーちゃんの声を遮って、鬼ごっこを提案する。あ、思ったより顔が近かった!キャー!ちゅーしちゃうとこだったよ!顔赤くなってないかな?大丈夫かな?
あ、くーちゃんたら、そんなに仰け反らなくてもいいじゃんか!傷つく!むぅー!
なんか言ってたけど、顔の横に火球を放り投げる。あ、髪の毛ちょっと焦げた、綺麗な髪なのにもったいない。
でも、ちょっとくーちゃんが下がり始めてるから、ちょうどいいや、おっきな火炎をくーちゃんに放つ。
おー、ちゃんと避けて逃げてくれた!よかったー、くーちゃんの綺麗な髪がこれ以上焦げちゃったらやだもんねー。
さぁ!追っかけるぞー!愛の鬼ごっこだぁー!
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
それからしばらく、くーちゃんを追っかけ回した、何個か倉庫とお部屋を吹っ飛ばしちゃったけど、まぁいっか!だって邪魔なんだもん!くーちゃん意外とすばしっこいから捕まんないし!
むぅ、もっと簡単に捕まえられると思ったのになー。
今日何個目かの壁をぶち抜く。あ、くーちゃん転んだw
くーちゃんにちょっと待ってって言われちゃった。変なの、鬼ごっこなのに、鬼が待ったらおかしいじゃん。
思わず笑ってしまう。くーちゃんたら冗談が上手だなー。
直すのが大変とか言ってるけど、ちょっと壊れたくらいなら、わたしの魔力で勝手に直ってくれるんだし、いいじゃんか、ケチー。まぁちょっと壊しすぎたかもしれないけど
あと、なんで壊すかなんて、邪魔以外に理由があるのかなぁ?普通追っかけてて邪魔だったら壊すよね?壊すでしょ?
あ、くーちゃんが怒った!うー、くーちゃんは笑った顔がかわいいのに、怒ってる顔はやだなぁ…
悲しくなっちゃう。あ、しかもため息までついたー!
優しい声でやめさせようとしてるけど、それが余計にムーカーつーくー!
そっぽ向いてやるもん!ぷい!
「しかし魔王様、そろそろ夕食のお時間にもなりますし、『お勉強』も進めませんと、本当に困ってしまうのですよ」
う、お腹はちょっと空いたけど、『お勉強』はやだなぁ…このまま怒ったフリして『お勉強』もしないようにしよう!そうしよう!
あ、お腹鳴っちゃった、聞こえてないかな?うぅ…恥ずかしい…顔が熱い。
「では魔王様は夕食は必要ないと、そう仰るのですか?」
あう、夕御飯抜きか…でも『お勉強』するより、御飯無しのがいいかなぁ、いざとなれば、隠してるお菓子食べればいいし!
鬼ごっこ続行の意思を再表示する。
しかし、ここでくーちゃんてばズルい手を使ってきた。
そう、くーちゃんお手製デザートだ!これはズルい!隠しお菓子なんて目じゃないくらい美味しいくーちゃんお手製デザート!
これは鬼ごっこなんて止めないと!はい!即中止だよ!デザート!デザート!
なのにくーちゃんてば、意地悪だから、鬼ごっこ続けようとしてくる!これじゃさっきと立場が逆じゃないの!もう!
でも、魅力的って言われちゃった。えへへ。
わ!わ!しかもくーちゃんの笑顔だ!えへへへへ、デザートも食べられるし、くーちゃんの笑顔も見れたし、嬉しいな!
よーし!『お勉強』すぐに終わらせてデザートだぁ!おー!
夕御飯で出てきたちょこれーと?で出来たお菓子はとっても美味しかった!
でも次の日のくーちゃんは、なんだか眠そうにしてて、心配になっちゃった。くーちゃんてば、わたしの魅力で眠れないなんて、困った人だなー。