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ボクと魔王様と鬼ごっこ

二作目となります。こちらはギャグ要素多目、ほのぼのでいこうかと思います。どうなるかわかりませんが

 やぁ、初めまして、ボクの名前はクリソベリル=J=フラーウム。

 魔王様に仕える使い魔です。

 と言っても、執事服を着ている事から見て解るように、要は身の周りの御世話や雑務を行っている程度のものですけどね。


 本来であれば、使い魔は主人に従順であることが契約に必須とも言えるのですが、ボクと魔王様は少し特殊な契約になってます。

 まぁこの話は長くなりそうだし、また今度。

 なんで今話さないのかって?見て解るでしょ?解らない?

 肩で息をして、汗を滴らせ、額に髪の毛はへばりついて、全力疾走してるからだよ!


「だぁ!?」


 背後からの突然の爆発音に、思わず足が絡まり、転がってしまう。


「魔王、、さっ、、ま、ゼヒュ-、ちょっと、、ま、待ってください!」


 ボクは絞り出すように叫んだ。息を吸えてるのか、吐いてるのか解らない。

 とりあえず出来る限り肺に酸素を送り込む。


 目の前の爆煙に包まれる赤く幼い少女はきょとんとした顔で首を傾げる。頭に?マークが浮かんでいるのが、目に見える様だ。

 見た目の愛らしさもあってとても可愛らしく見える。

 背後の破壊跡が無ければだが


「んー?くーちゃん、鬼ごっこで待つ鬼が何処にいるの?へーんなのっ!」


 クスクスと笑いながら答える少女。笑顔がとても可愛らしい。

 背後の破壊跡が無ければだが


「そこじゃなく!いや、そもそもそこですが!とにかく、終わりにしましょう!そして城を破壊するのもやめましょう!直すのも大変なんですよ!ていうか、なんで壊すんですか!?」


「んー?だって前に壁があるんだよ?邪魔じゃない?壊すしかないじゃない?」


「扉を使えやぁぁぁぁぁ」


 思わず敬語も忘れて叫んでしまった。どうしてこうなった!


 事の起こりは何だったか…数時間前の『お勉強』の時だったか…


<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<


「くーちゃん、ヒマだよぅ!」


 さて、今回も始まったよ。我がご主人様は、度々こういう事を言っては、ロクな事をしないからなぁ…


「魔王様、ヒマとは仰いますが、目の前に山のように積み重なった紙の束が目に入りませんか?なんですか?その目は綺麗な飾りですか?抉りますか?」


 目の前の赤い少女とその前にある書類を冷ややかな目線で一瞥して告げる。


「くーちゃんたら、綺麗だなんて褒めても、何も出ないんだからねー」


 どうやらこの方には効果がないようだ。まぁ解ってた事ではありますけど。


 この目がチカチカしそうな程、真っ赤な髪、真っ赤な瞳を持った方が、ボクの主人であり、魔王である。

 先程の発言から、頬に手を当ててクネクネしてるのを見ている限り、認めたくないですけど…


「そこではなく、目の前の『お勉強』を進めていただかないといけないのに、ヒマなんてありまs「よーし!鬼ごっこしよう!」


 被せられた言葉で思わず口が止まってしまった。

 否、突然に立ち上がり、目の前に顔を持ってこられたせいで、仰け反ってしまった為だ。


「鬼ごっこですか?いや、『お勉強』をしていただかないとですね、今後に支障も出るのでs(ボッ


 熱い!焼けた!顔の横焼けた!髪の毛チリチリになってる!


「じゃあ私が鬼ね!くーちゃん逃げる人ー!よーい、、どん!」


 反射的に走り出してしまった。いや、だってですよ?火炎が迫ってくれば誰だって逃げるでしょうが。

 そんなもんで逃げないのは、特殊な趣味の方か社畜だけですよ。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


 そんなこんなで今に至ると。あー、これ終わった後の後処理がとてもめんどくさいですね。


「あー!くーちゃんが怒ったー!うー」


 目の前の少女は、こちらの気も知らずに、少し涙目で睨んでいる。いや、こっちが泣きたいですよ、全く。


「魔王様、もう小一時間以上鬼ごっこも行いましたし、満足いただけたでしょう?そろそろ終わりにいたしましょう?」


 努めて冷静な声音で諭してみますが、さて、どう返ってくるかな。


「ヤダ!まだ続けるの!」


 ほっぺを膨らましながら、ぷいっとそっぽを向く魔王様。

 ですよねー、これで満足するなら、そもそもボクはこんなに苦労しないわけですよ…


「しかし魔王様、そろそろ夕食のお時間にもなりますし、『お勉強』も進めませんと、本当に困ってしまうのですよ」


「ヤダってば!まーだーつーづーけーるーのーっ!」


 むぅ…中々強情ですね…顔も真っ赤だし、これは結構お怒りでしょうか?

 仕方ない、ここは機嫌取りも兼ねて、搦め手でいきますか。


「では魔王様は夕食は必要ないと、そう仰るのですか?」


「ご飯なんて食べなくてもわたしは大丈夫だもん!鬼ごっこするの!」


「左様でございますか、本日の夕食では、私にてデザートを作成する予定だったのですが、仕方ありませんね、鬼ごっこを続けましょうか」


 魔王様の耳がピクッと動くのを見ました、いけそうですかね?


「…くーちゃんがデザート作るの?」


「いえ、鬼ごっこを続けられるのでしょう?このクリソベリル、魔王様がそこまで鬼ごっこが好きだとは存じ上げなかった故、失礼を致しました。使い魔として遺憾の限りでございます。もうお止めいたしません。さぁ!存分に鬼ごっこを続けましょうか!」


 アワアワと焦る魔王様。可愛らしい。


「え、あ、う、や、えっとね!くーちゃん!やっぱりわたしもご飯は食べないといけないかなーって思うの!ほらほら、わたしもまだまだ成長しないとナイスバディになれないし?ご飯は必要だよね!うんうん!」


「いえいえ、魔王様。魔王様は、既にとても魅力的な女性にございます。『お勉強』も、もう必要ない程の大人なレディであれば、夕食くらい抜いても問題ないのでは?」


 だいぶ無茶な物言いになってますが、今の魔王様であれば、気付かないでしょう。


「み、魅力的なんて、もう!くーちゃんたら!あ!でもでも、ご飯は必要なの!仕方ないから鬼ごっこはここでお仕舞いにしましょ!残ってる『お勉強』も終わらせてくるから、くーちゃんは、あの、その、デ、デザートを作ってきていいよ!」


 よし!よし!巧いこと誘導できました!こういうところがチョrげふんげふん


「かしこまりました、それでは私はこのまま厨房へと赴きますので魔王様は『お勉強』頑張ってくださいね?」


 心の中でガッツポーズを決めながら、心からの笑みを魔王様に向ける。


「うん!頑張るね!夕御飯楽しみにしてるね!」


 スキップをしながら、自室へと向かう魔王様の背中を見送り、ボクは厨房へと向かった。


 夕食時に、デザートで作ったガトーショコラを美味しそうに、頬張る魔王様を見て、まだまだお子様であると感じますね。





 なお、城の関係各所への謝罪、ならびに、破壊された壁の修繕作業に終われ、徹夜になったのは言うまでもないことでした。

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