七章
ペストの後に続いて王室に向かって足を進める三人。
兵と合うのを恐れているだろう後ろの二人。
その心配は最もだろう、先ほど窓と壁を少々破壊して侵入したのだから。
だがいくら歩いても一向に兵は現れない。
それもそうだろう、ペストが風そ流した時にすれ違う兵を黒死病に掛けて動かなくしたのだから。
拓はペストって便利だな~、と思いながらペストに付いていく。
数分後、何事も無く王室に到着した。
「どんな変な王様に会えるのか、楽しみだな~」
そんな能天気な拓に肩を落とす二人、ペストは拓の行動に大体慣れていたため呆れるだけ。
「·········どんだけ丈夫な心臓を持ってるんですか·····」
「·········右に同じく」
そんな言葉は拓の耳に届いていないのか、無視して扉を開け放つ。
今度驚くのは拓の番だった。
拓が扉を開け放った途端に兵が道の脇で敬礼を始めたのだ。
王も席を立って此方に歩み寄る。
普通は逆なのだが、どうやらアル爺が既に魔王退場について話していたらしい。
拓は笑みを溢して二人の縛りを解く。
二人は何故縛りを解いたのかと不思議そうに拓を見た。
「何故ってか、そりゃ巫女様と神子様を縛るなんて恐ろしいしな」
「さっきまで縛ってたくせに」
「まぁそう言うなってペスト。それにこの敬礼は二人に対してのものだ」
王は目の前まで近付いて足を止めた。
「いえいえ、四人様への敬礼で御座いますよ。しかしそれでも神子様達を縛るのはどうかと思いますが······」
そう言う王の肩に拓は腕を回し、笑いかける。
「まぁそう言うなって王様よ。最初から正体に気付いてたなんて口が滑っても言えねぇけどな」
そう言う拓にペストは睨み付ける。
しかしマイペースな拓はいきなり本題に入る。
「で、その魔王様とやらはいつ攻めて来るんだ?俺は今日でもいいけどな」
「本当ですか!? 実は今日なんです。魔王が来るのは!」
王様の一言に唖然とするペスト、神子、巫女。
「·························は?」
お久しぶりです
注意:魔王退場は誤字ではない!