二話
「榎宮殿!あなたのお力でこの国をお救い頂きたい!」
アル爺が急に頭を下げだしたが、拓は――
「あのさぁ、牢屋に閉じ込めたままお願いしますとか暴力だろ」
拓は冷たい目で見下ろした。
「それとさ、話すなら順序を守ろうぜ?まぁ今回はもういいけど」
「……も、申し訳ない……」
塩らしくなったアル爺は直ぐに牢獄の扉と手錠を開錠した。
子供に論破される大人って恥ずかしすぎるだろ。
なんて事を思いながら、牢を出た拓は今だに申し訳なそうにしているアル爺にニヤニヤしながらも問いかけた。
「で、その敵さんはどのぐらいお強いのかな?」
拓のその発言に少し驚いたようにだった。
「え、そこ驚くの?だって俺の力見抜いた上での頼みでしょ?」
「う、うむそうじゃが……」
アル爺は正直この拓という青年を見下していた、逆に見下されていたとも知らずに。
やはり、拓の頭の回転には感心する他なかった。
「で?相手の強さはアル爺の何倍ぐらいなのさ?」
「そ、そうじゃな最低でもわしよりは強いと言うだけで何も······」
「そうなんか、まぁ俺を楽しませてくれる奴が現れたのか、お楽しみって事だな♪」
ワクワクを抑えられない拓はアル爺の入ってきた出口に向かって歩き出した。
地下を出ようとする拓をアル爺は引き留めた。
しかし、時遅く拓は外に出た矢先で拓は兵士に槍の穂先をいくつか向けられていた。
「······おい。さっきの頼みはお前の単独行動なのか?」
「……う、うむ、すまない……」
(なんてことだ……面倒くさい……)
そこで拓は一つ楽そうな案を思いついたので、即座に実行した。
「なぁ、あんた等」
「な、なんだ」
「固くなるなって、単純単純♪ただこの槍下げなきゃ、この国吹っ飛ぶよってだけだよー♪」
そんな爆弾発言にアル爺は頭を抱え、他の者は絶句した。
「……榎宮殿……お主質悪いのぅ」
アル爺はニヤニヤ笑う拓にそうとしか言えなかった。
……次巻に続く