一話
――八年の月日が経過したころ。
少年――神夜 拓、は十七歳の青年へと成長していた。
さらに異世界に召喚されていた。
さらにさらに、召喚場所が牢獄だった······
「············何故こんなことになった」
手錠につながれたを見下ろし、ため息が零れた。
ここまでの過程はその内思い出すかな。
なんせ、覚えていないんだから、困ったものだ。
いつでも抜け出せれるけど面倒事はごめんだ。
「おい、何を喋っておる」
唐突に部屋に誰かの声が反響した。
奥の扉から出てきたのは、全身に鱗が付いており鋭い目に大きい口の生物だった。
「おお!お前もしかしてリザードマンかぁ?!初めて見たぜ!」
「そ、そうか、それで何故お前はこんなところに居るのだ?」
はしゃぐ拓にリザードマンは驚きつつそんな質問を聞いてきた。
唐突な謎の質問に、俺は目を瞬かせた。
「知らん、気づいたらここに居た」
「いや、そう言う意味じゃないないのじゃが……。その実力ならいつでも出れるじゃろうに」
「ほう!」
リザードマンに言葉に拓は彼を見る目を改めた。
正直少しはやるだろう老い耄れ、としか思っていなかった。
まぁ数分前に初めて会ったばかりなのだからそれもしょうがないだろうが。
だが驚く事に彼は拓が人外の力を所持している事に気づいたのだ。
「ほほぅ、お主中々やりますのぅ。一様名前を聞いとこうかな、リザードマン」
「うん?ワシはアルフォンド=ミタバじゃ。」
「そうか、じゃあアル爺だな、よろしく。俺は神夜 拓だ」
互いの自己紹介が終わったところで、瞬間二人は空気を変え、互いを威圧した。
二人の空気は一触即発の空気となり、周囲の全ての空気にまで伝わった。
拓は余裕の笑みで座ってるのに対して、アル爺は苦悶の表情を浮かべ冷汗をかいていた。
十秒ほどそうしてたが、ついにアル爺が膝を着いて呼吸を荒くした。
その瞬間二人は空気を戻した。
「一体何なのだお主……?!」
「生まれも育ちも人間様だよ、アル爺こそ只もんじゃねぇな」
ヘラッとした表情の上に拓は逆にアル爺を評価した。
アル爺は拓の返答に嘘は無いと見たが同時にホントが無いとも直感した。
しかし、拓の実力を見極めたアル爺は顔つきを変え、頭を下げ始めた。
「神夜 拓殿!貴殿にお願いがある!」
「ん?何だ急に?」
「貴殿にこの国を救って頂きたいのだ!」
「………は?」
なんだ、このありきたりな展開は·········。