十二話
拓はルミナスの行動言動に驚きはしたものの、子供の戯れ言と決め付けた。
今もなお拓を睨むルミナス。
拓が言葉を発する前に、ルミナスが口を開いたので譲る。
「アンタなんか勇者様に掛かれば赤子も同然なんだから!! だから勇者様が来る前に謝っておきなさい!」
ルミナスは叫ぶように言うが、拓は怯むことは無く、寧ろルミナスの言動に眉をピクリと動かした。
(勇者、だと? この世界にも存在するのか。 だが······)
確認するべく口を開こうとするが、またしても阻まれる。
「勇者様、って言ったわね? でも国内にそれらしい反応が無いのだけれども、何処に居るのかしらね、この緊急事態に」
言葉を放ったのはペストだが、拓が意外そうにペスト見る。
勇者にでも反応したのだろう。
それに勇者がこの国に居ないのは拓の感知能力で判明している、だからこそ勇者と言う言葉に惹かれた。
ペストも黒風を使って周囲の察知している。
拓が口を開く、が。
「それはですね、勇者様は現在、魔国領に行っておられるのです。 覚醒した魔王討伐を目的として」
今度は王に阻まれる。
だが、この発言にも聞き捨てなら無い言葉が含まれている。
(魔国領·········それに、覚醒した魔王、ね。 勇者より面白そうだ)
拓はニヤける口を止められず、口を手で隠す。
ペストの視線を受け、目配せする。
「その魔国領とやらにはどうすれば行けるのかしら?」
「行くつもりなのですか!?」
驚いている王に拓は既に興味はない。
「そう行ってるだろ、だからどうやって行けばいいのか聞いてるんだよ」
「ですが彼処には先ほどの魔王に近い力を持つ魔物が多くいます!! ペスト様が居るとは言えあまりにも危険です!!」
その発言に拓は王を馬鹿と認める。
「くどい。 もういい、アル爺にでも聞くさ。 んじゃな」
去ろうと扉へ向かう拓に待ったが掛かる。
「お待ち下さい!」
「ん?」
振り返ると声を掛けてきたのが女王だと分かる。
「此度は夫を助けて頂き、ありがとう御座いました」
女王は綺麗に頭を下げる。
拓は女王の純粋な謝罪に頭を掻く。
「アンタはちゃんと王を支えてやれよ。 このままだとこの国はそう遠くない内に破滅する、その王のやり方だとな。 だからアンタはソイツが愚王に成らないように見ておけ」
それだけ言って食間を後にした。
次話から次章です。
魔王たおしましたからね、うん。
では次話で、ではでは。




