来世にゃんこ ~生まれ変わるなら猫~
ずうぅぅぅうっと前に途中まで書いたのが放置してあったので最後まで書いて投稿。
特に意味はありませんにゃー。
「あ、君来世にゃんこね」
真っ白い空間に浮かぶ毛玉さんに言われたんです。
何言ってるんでしょうかこの毛玉さん。
え? 毛玉さんじゃなくて神様? でも見た目が完全に毛玉さんですよ?
とにかく毛玉さん……改め神様が言うには私の来世はにゃんこだそうです。
こうして私は転生しました。
にゃんこに。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「にゃ~」
ひと鳴きするだけで目の前の壁のような緑色の生物というにはちょっと骨格がおかしい何かが集団で逃げていきました。
意味が分かりません。
こんなに可愛いにゃんこな私が可愛く鳴いてあげたのに逃げるなんておかしいです。
「た、助かりました。これはお礼です。是非受け取ってください」
目の前に出されたお礼の品は鰹節でした。
やった! 大好物です!
転生する前から鰹節は大好物でした。これはラッキーです。
それにしてもなんで鰹節なんて持ってたんでしょうこの商人さん。
あ、助けたのは商人さんです。
鰹節を食べている間にその商人さんはどこかへ行ってしまったみたいです。
鰹節ちょーおいしかったです。もっと食べたいです!
でも転生する前は確か鰹節はひらひらの薄いのを食べてたはずなんですが、今は丸かじりです。
ちょーおいしかったです。
おなかも膨れたのでとことこ歩いていたらまた緑の壁がいました。
私は木の枝をとことこ歩いていたのでまだ見つかっていないみたいです。
さっきはいきなり逃げられたので今度は逃げられないようにしてみましょう。
だってこんなに可愛らしいにゃんこな私が可愛く鳴いてあげたのに逃げるなんて絶対おかしいですから。
緑の壁の集団の真ん中にくるっと一回転して着地成功です。
空中でくるっと回って着地なんてにゃんこじゃないとできないですよね。にゃんこ様様です。
「にゃ~」
今度こそ決まりました。
緑の壁の集団は私の可愛らしくて素敵なにゃんこボイスに酔いしれてしまったようです。
でもばたばたと倒れて地面に頭っぽいのを打ち付けてるのはちょっとやりすぎじゃないですかね。
打ち所が悪かったら大変ですよ?
ぴくぴく、と弱弱しく動いていた緑の壁の集団が動かなくなってしまったので仕方なくその場を後にすることにしました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
森を抜けると街が見えました。
やった! 街ですよ! 街!
商人さんが鰹節を持っていたんですから、きっと街にも鰹節があるはずです!
あ、もしかしたら鰹節だけじゃなくて何かお魚的なものが食べられるかも!?
期待に膨らむ胸とは裏腹にくぅ~、と鳴くお腹。れでぃにあるまじき音です。
でも周りに誰もいませんので大丈夫!
街は豆粒みたいに小さいけれど進めばいつかはつけます。
さぁれっつご~です!
でも意外と簡単につきました。
周りの景色がすごい速度で後ろに流れていったらあっという間についてしまいました。
途中で私より大きな犬っぽいのがいましたが私が通った後に巻き起こる風で飛んでいってしまいました。
でも大丈夫! 私でも高い木から一回転着地を決められるのです。犬ならきっと大丈夫!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
街の門っぽいところに鎧を着て槍や剣を構えた人達がたくさんいましたが私には関係ないのでてくてく歩いて中に入りました。
私が通り抜ける時にみんなちゃんと場所をあけてくれたのはとてもぐっどです。
優しい人達で私は幸せですね!
街の中はなんだか騒がしいです。
人がいっぱいです。人じゃないのもいっぱいです。
私みたいににゃんこかと思えば人なんです。
にそくほこうなんてなまいきなっ! 私だってよんそくほこうなんだぞ!
なまいきなので猫パンチです!
でも大丈夫です。軽くですから。
一回転したところでもう一発猫パンチです!
これで私と同じでよんそくほこうです! 四つん這いになったにゃんこの人は私と同じになれたのが嬉しかったのかそのまま気絶してしまいました。
あまりにも嬉しすぎると気絶しちゃうんですよ。知ってました?
にゃんこの人に構っていたら、周りの騒がしさがなくなってました。
あれれ? さっきまでいっぱい人も人じゃない人もいたのに。不思議です。
あ、でもこのいい匂いはもしかして!
やっぱりお魚的なアレです!
でも知ってますか? にゃんこはそんなにお魚好きじゃないそうですよ!?
でも大丈夫! 私はお魚大好きです!
誰もいないし、私は可愛いにゃんこだし食べちゃおう。
……お、おいしー! 何コレ! すごい! たまんない!
にゃんこがお魚好きじゃないっていったのだれ!? ちょー美味しいじゃないですか!
れでぃにあるまじき食べ方ですが、私は可愛いにゃんこなので問題ありません!
ふぅ……。ちょーお腹いっぱいです。
お腹も膨れて満足して顔を上げたら鎧を着て槍や剣をもった人達が私を囲んでいました。
なんだろう? サインはあげませんよ?
「う、動くな、魔王! 貴様は完全に包囲されている!」
え? まおー? まおーってなんだろう?
鎧の人達が何を言ってるのかよくわからないけど、私は可愛いにゃんこ。
可愛いにゃんこは可愛く鳴けば許されるのです!
「にゃ~」
私の魅惑のにゃんこボイスを聞いた鎧の人達はひとたまりもありません!
みんな涙を流してその場に気絶してしまいました。
嬉しすぎて気絶なんて鎧の人達も私を喜ばすのがうまいなぁもう!
そんなに喜ばせられちゃうともっと鳴いちゃうぞ!
「にゃにゃにゃ~にゃ~ん!」
嬉しくて続けて鳴いていたら、気づいたら周りに何もなくなっていました。
あれれ? おかしいなぁ。さっきまで私は街にいたはずなのに。
はっ。もしかしたらこれは俗にいうせかいのななふしぎ!?
私はちょうこうそくとか、しゅんかんいどうとか、そんなチャチなもんじゃない何かすごいもののへんりん? を味わったのですよ!
でも何もないところにずっといるわけにもいきません。
ななふしぎにあっても私は挫けません!
風の吹くまま気の向くまま。
私の可愛い髭が揺れた方向に可愛らしい足を向けます!
私のにゃんこ生は始まったばかりなのです!
にゃー。