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第四話 光闇舞踏

 まず初めに斬り飛ばされたのは、彼女の右の腕だった。

 だが、イリスフィールの顔に苦痛の色は浮かばない。

 伸びきった黒き戦士の腕、その関節部分に向けて蹴りを放つ!


 しかし、その反撃を読んでいたのであろう。

 砲弾ほうだんめいた彼女のその一撃を、デュークは危なげなくかわしてみせ。

 彼の持つ闇色の剣は、刹那の間をおいて少女の左腕へとひるがえった――!


「――っ!? 絶対境界わたしにできる楽園幻想あらゆることをっ……!」


 彼女が突き出したのは、左のてのひら

 刹那、金色きん漆黒くろの火花が二人の間で弾け、散る。

 イリスフィールのの中には、金色こんじきの薄い防御障壁ぼうぎょしょうへき


 それは迫りくる闇の剣を防ぐために、彼女がとっさに作りだした光の盾だ。

 大きさは、ちょうどイリスフィールの掌に納まるほど。

 だが強度は、この世に存在する物質のそれをことごとく陵駕りょうがする。

 これを用い、防戦に徹するのであれば、彼女のまもりを突破できる存在ものなどそうはいまい。


 しかし、眼前の戦士は格が違った。

 彼のつるぎは――否、『闇の力』はイリスフィールの盾を破りうる。

 むろん、易々やすやすと、とはいくまい。

 事実、金色の盾は一度、デュークの攻撃を防ぎきった。

 だが二度、三度と受け続ければどうなるか。


 おそらくは――耐えられるだろう。

 では、百や二百ならどうだろうか。

 金色の盾は、イリスフィールの『力』――『光』の具現。

 デュークにとっての『剣』が、彼の持つ『闇の力』を具現化させたものであるのと同じように。

 彼女にとっての『盾』もまた、イリスフィールが自らの『光の力』を用いて作りだしたものなのだ。

 それが破壊されるのは、可能な限り回避しなければならない。

 壊されると同時、破られると同時、彼女の『力』は大きくがれてしまうのだから。


 否、それだけではない。

 剣と盾による衝突回数を減らしたい、別の理由。

 それがイリスフィールには確かにあった。


 『光』は『闇』を照らし、浄化するものであるのだが。

 『闇』もまた『光』を覆い、自らと同じ色に染めようとしてくるのだ。

 それは端的に言って、苦痛である。


 むろん、ただの魔族が相手であれば、彼女は苦痛など覚えなかっただろう。

 だが敵は、魔王の右腕とされる漆黒の戦士カオス・ナイト

 その『闇』の『力』は彼の振るう剣に乗せられ。

 振るわれる一撃一撃が、イリスフィールの精神を侵してくるのだ。

 盾による防御など、もはや気休め。


 だが、苦痛を覚えるのはデュークとて同じことだ。

 事実、彼はその身に走る不快感に、隠しきれず眉をひそめている。

 金色の盾と剣をあわせたから、だけではない。

 『光』とは――イリスフィールの存在は、デュークにとっては猛毒もうどくに等しく。

 ただ『そこにる』というだけで、『魔』へとちた存在ものの心を激しくくのだ。


 すなわち、いま行われている戦いは。

 魔王デュークを浄化せんとする『光』と。

 女神イリスフィールを侵さんとする『闇』。

 そのどちらが『大きい』かで決せられるものだった。


 しかし果たして、優勢なのはどちらだろうか。

 そも、『光』とは『与えるためのエネルギー』であり。

 『他者を傷つけるためのもの』ではない。


 対する『闇』は『奪うためのエネルギー』。

 『他者を傷つけるためだけのもの』だ。

 そうである以上、どちらが戦闘に向いているのかなど、考えずともわかるというもの。


 勝機はある。

 しかし、優勢ではない。

 イリスフィールは早々にそれを理解していた。

 だからこそ彼女は、腕を一本犠牲にし、眼前の戦士に隙を作りだそうとしたのだ。


 ――結果は、無残なものだった。

 あるいは、魔族の統率者たる漆黒の戦士を相手に、油断や慢心といった類のものを引きずり出そうと考えたこと自体が、失策だったのだろうか。

 そう思考を巡らせながら、彼女は空間を転移。

 の魔王から距離をとる。


 追撃は――こなかった。

 そのことに安堵の息を漏らし、イリスフィールは肩口から欠損なくなっている自身の右腕へと視線を移す。

 血は一滴たりとも流れていない。

 代わりに漏れ出ているのは、無数の輝く光の粒。

 その星にも勝るきらめきは、見る者すべての目を奪うに違いない。


 さもありなん。それは彼女という存在を『彼女たらしめる力』。

 イリスフィールという生命体、その『核』が光の粒子となって外部に漏れ出しているのだ。

 それを美しいと呼ばずして、なんと呼ぼう。


 だが、漏れ出ているものは、彼女のいん。彼女のすべて。

 なにがあっても、失いきってはならぬもの。

 イリスフィールからしてみれば、漏れ出る光子それをただでていることなど、到底できはしない。

 ゆえに、心の中に『自分という存在のカタチ』を思い描き、それを瞬時に現実へと成す。


 それは『おもい』の力。

 すべての生命体が持つ、魔力とは似て非なるもの。

 なにごともなかったかのように、彼女の右腕は服ごと修復され、光の粒の流出りゅうしゅつもようやく納まる。


 痛みはない。

 斬り落とされたときから、現在いまに至るまで、ずっと。

 だからこそ、不覚にも回復が遅れてしまった。

 デュークに斬り飛ばされた右腕は、人間でいうところの髪や爪と同じ。

 神経が通っていない以上、痛覚つうかくがないのは道理だろう。


 むろん、イリスフィールに『痛みを覚える機能がない』というわけではない。

 今回に限り、痛みを覚えずに済むよう、あらかじめ細工を施しておいたのだ。

 神族や魔族といった『階層世界に住まう者』とは本来、精神のみにって生きる存在もの

 肉体は仮初かりそめのものに過ぎず、おのが魔力をって実体化しているに過ぎない。

 ゆえに、神経の実体化のみを解くことができるのならば、痛覚をも完全にシャットダウンすることができる。


 しかし、これは決して容易なことではない。

 脚のみ、あるいは腕のみの一時的な消去くらいなら、可能な者も多いだろう。

 だが彼女が消失してみせたのは、腕の中に詰まっている神経のみなのである。

 腕や身体はそのままに、眼前の戦士に悟られることなく、イリスフィールはそのような細かい工程こうていよどみなくやってのけたのだ。


 例えるならそれは、全力疾走しながら針の穴に糸を通すようなものだ。

 そのようなこと、できなくて当然。

 そも、成功させる必要性がない。

 そのようなことに挑む者など、世界中のどこを探しても、彼女の他にはいないだろう。


 つまり彼女は、常人では成し得ない技術を修得したのではなく。

 誰もが不要と断じるような『芸』を会得えとくしたに過ぎないのだ。


「――これで終わりか? 天上てんじょう存在」


「まさか。いまのは、ほんの小手調べってやつよ」


 強がりではない。

 イリスフィールという存在は、果たして近接戦闘でデュークに一撃を見舞みまえるものなのか。

 いまの一瞬の攻防は、それを試すためだけに行ったものに過ぎなかった。


 だが、その『小手調べ』によって失ってしまった『力』は、予想以上のもの。

 こことは別の次元――『第四階層世界』に存在する『次元ときの狭間』を介することによって距離をとることには成功したものの、もし眼前の魔王からの追撃が行われていれば、致命傷を負っていた可能性も捨てきれない。


 ――階層世界。

 それは、端的に言い表すのならば『あの世』のことである。

 死後の世界。

 人間が、この世に生まれ落ちる前にいた世界。

 『エリュシオン』や『アーカーシャー』、『本質の柱』が存在する世界。


 厳密に言えば、いまイリスフィールの立っている『この世』も、『階層世界』の一部ではある。

 『物質界』は、彼女の認識からすれば『第三階層世界』。

 あるいは、『三次元世界』とも呼べるだろうか。

 どちらにせよ、この『物質界』は『魂を磨くための修行場しゅぎょうば』とされていた。


 イリスフィールの知る限りでは、階層世界はさらに『第四』から『第九』までが存在し――果てはない。

 『第九階層世界』以上の階層に住まう者は『人間としての意識』を失くすと聞かされたことはあったが、それも彼女には実感できない。


 しかし、それは無理のないことなのだ。

 イリスフィールは『第七階層世界』に存在することを許された『第七階層存在』。

 より正確にいうのなら、『第七階層世界』の『中段ちゅうだん』の世界に住まう存在ものなのだから。


 『階層世界』にある各階層。

 そこには、『下段』・『中段』・『上段』の区別が存在する。

 ゆえに、イリスフィールという存在をより正確に言い表すのならば、『第七階層中段存在』がもっとも相応しい。


 『この世』で死亡した者は、例外なく『階層世界』へとかえっていく。

 それは果てのない――しかし、確かに存在する階層に住まう創造主が創った、絶対の法だ。

 だが、どの階層に還るのかは、創造主ではなく『己』が決める。


 イリスフィールという存在が、魔族にとっては『ただ在るだけ』で心灼かれるように。

 自らの『魂』よりも眩しく輝く天上の世界には、『己の精神』がおのずと還ることを拒絶する。

 清流せいりゅうの中にあるわずかな泥は、共に在るだけで、その存在を消されてしまうというのと同じこと。

 それを恐れて人間は、自らのもっとも相応しいと感じる階層に住まおうとするのだ。


 ゆえに、『現世』から還ってきた人間が低階層に住まうということは。

 その人間にとっては『その階層』こそがもっとも相応しく、居心地がよかったというだけの話。

 創造主の一存で決められたわけではなく、当然、その創造主が責めを負うものでもない。


 そして、低階層に住まう存在の最たるものが魔族である。

 魔族の住まう『魔界』は、『第四階層世界』の奥も奥にある領域。

 『魔』に堕ちた者が、あるいは『闇の力』に心奪われた者が、もっとも『居心地のよさ』を感じる世界。

 『幸福』になる手段を模索する意思を捨て、『不幸にならないこと』を目的とし、また他者をもその思想に染めあげようとする者たちが集まる地獄。


 いかに、本質は変わらずとも。

 その思考の方向性が、魔王――漆黒の王ブラック・スターにより『悪しきもの』になってしまった以上、『神』にであろうと、容易に救うことはできない。


 理由は、前述ぜんじゅつしたとおりだ。

 天上からの『救い』は魔族にとって、もはや猛毒でしかない。

 『向上せよ』という言葉は、魔族にとっての『救い』にはなりえない。

 すべての魔族の至上目的は、この世界と共に『無』へと帰ることなのだから。


 魔族は『救い』を拒否する。

 未来への可能性を否定する。

 世界の在りようから目を背け、その『醜さ』ごとすべてを『無』にそうとしている。


 上層に住まう存在にできることは、その在り方を強制的に浄化することくらいだった。

 たとえ、魔族というものを否定することになろうとも。

 それが、自らの心を引き裂くほど辛く、哀しいことであろうとも。

 それでも、『人格』レベルでの変革を促すしかないと結論したのだ。


 それが、『神』と『魔』の争いの本質。

 いまこうしてデュークと向かい合っている彼女を含んだ、『神』の哀しい戦いの歴史であった。


 イリスフィールは『第七階層存在』という『神』である。

 人間は『第六階層世界の上段』以上に住まう存在になると、『神格しんかく』を得て、『天上存在』と称されるようになる。

 地上に住まう人間には、『天使』と呼ばれることもあろう。


 そして『神格』を得ると同時、膨大なまでの『光』を宿すこととなる。

 それは人の心に在る『闇』を払う『力』だ。

 誰かになにかを与え、未来を創る『力』だ。

 『善』という名の、あるいは『愛』という名の、『力』だ。


 その清らかさ、在りようの眩しさは、どうしようもなく魔族の目を灼く。

 それは、人間が太陽の光を直視できないのと似ていよう。

 ゆえに――『天上存在』。


 魔族にとっての、最大の希望ぜつぼう

 敵うことなどありえない、永遠の絶望きぼう

 矛盾した話ではあるが、それこそが魔族が抱く『神』という存在への認識だった。


 ゆえに、並の魔族ではイリスフィールを視界に収めることすら適わない。

 まして、矛を交えることなど到底不可能だ。

 しかし、眼前の黒き戦士は違う。

 魔王とまで呼ばれるほどの魔族であれば、『天上存在』の放つ輝きにこうしうるのだ。

 事実、デュークは表情を微塵も歪ませずに、距離をとったイリスフィールへと問いかけてきた。


「汝は、戦闘行為に向いていない。……なるほど、『光の天使』であるがゆえに、その身に宿す『光』の量は相当なものだろう。だが、それと戦闘能力は比例するものではない。その程度のことは理解できていると思っていたが?」


 イリスフィールは肯定する。

 『光』とは、敵を傷つけるためのものではない。

 ゆえに、争うことに特化した『闇の力』には及ばない。

 たとえ、『一』の『光』を覆い隠すためには『十』の『闇』が必要であっても、だ。


「ええ、認めているわ。私の直接的な『力』は弱い。戦うということ――特に肉弾戦となれば、絶望的なまでに不向き。そういうふうに、私は創造主の手によって創られた。……でもね、だからといって『戦わなくてもいい』とはいかないのよ、困ったことに」


「……ふむ。だが私も、天上存在との戦闘はできれば避けたい。『風の書』を渡してさえもらえれば、この場は大人しく引き下がろう。デューク・ストライドの名にかけて、必ずだ」


 堕ちてもなお、誇り高き騎士であろうとする者の言葉。

 それには一片の偽りもないだろう。

 だが、しかし。


「お断りよ。魔族であるあなたに渡そうものなら、世界はまた終わってしまいかねないもの。私としては、これを渡すどころか、あなたの持つ『水の書』を譲ってほしいくらいなんだから」


「それは聞けぬ相談だな。私たちの今回の目的は、六つの解読書を揃え、『聖本』から漆黒の王さまの完全なる復活の方法を見つけだすことなのだから」


「そう。別に期待はしてなかったから、落胆もないけど。――なんにせよ……これで交渉は完全に決裂したということで、いいわよね?」


「――そうなるな」


「じゃあ――と、そうそう、ひとつ断っておくわ。私は生前、一度も騎士として生きたことがないの。だから卑怯と呼ばれるような戦法をとることもあるけど、そういう無礼は見逃してね?」


「かまわん。騎士でもない者に騎士道にのっとって戦えというつもりはない。そも、私とて堕ちた身だ」


「物わかりがよくて――助かるわっ!」


 その言葉が発せられたのと、果たしてどちらが速かっただろうか。

 イリスフィールの右脚が膝のあたりからかき消え、どこからともなく打撃音が響いた。

 次の瞬間、少女の口から苦い息が漏れる。


 レオンハルトが見れば、なにが起こったのかすら捉えられなかったであろう。

 それも当然。

 いまのは『次元ときの狭間』を介しての攻防だったのだから。


 しかけたのはイリスフィールのほうからだった。

 それは事実である。

 彼女の唯一とも呼べる肉弾戦用の攻撃手段――渾身こんしんの蹴りを、イリスフィールは『空間を超えて』デュークへと見舞おうとした。

 しかし、それは物質界と『次元ときの狭間』のさらに狭間、薄紙一枚隔てたような場所で迎撃されてしまったのだ。

 他ならぬ、黒き騎士の右肘で。


 即座に脚を戻し、体勢を整えるイリスフィール。

 だが、いかに空間を超越しようとも、その時間はゼロにはならない。

 次はこちらの手番とばかりに、漆黒の戦士の剣が振るわれる。


 虚空を薙ぐは、黒き一閃。

 空間を超えて襲い来る斬撃を、少女は紙一重の差でかわしてみせた。

 しかし、余裕はない。

 黄金と見まごうような金色の糸が、はらりと地に落ちたのがその証拠。

 二撃、三撃とくりだされるたびに、その糸の数は増えていく。


 なにもないところから出現し、軌跡のみを宙に描いては消失していく闇のつるぎ

 それをイリスフィールは、ただただかろやかなステップでかわし続けていく。


 端から見れば、それは鮮やかな舞だった。

 本来であれば、捧げられる側に立つ神が自ら踊る、誰よりも神々しい舞踊ぶよう

 目にすれば、誰もが知らず息を漏らすに違いない。

 そんな、危ういほどの美しさを備えた――イリスフィールにとっては、消滅へと至るステップを踏まされている死の舞踏ぶとう


 踏破しきれば仕舞いとなろう。

 ゆえに、彼女もまた反撃の機会を狙う。

 蝶のように、あるいは狂ったように舞い乱れながら、物質界と階層世界の両側から機をうかがう。

 そして――それは唐突に訪れた。


 荒れ狂う突風かぜが、イリスフィールとデューク、双方の髪と衣服を揺らす。

 それは暴風――否、狂風きょうふう

 その狂風かぜを受け流しながら、彼女は悟る。

 レオンハルトと魔風王ダーク・ウインドシルフェス。

 その戦闘は、どうやら新たな局面に移ったようだ、と。


 同時に、剣を振るう戦士の意識が、わずかに自分から逸れたことを察知する。

 これが好機と呼ばずして、なんと呼ぼう。

 イリスフィールは再び階層世界を介し、眼前の騎士へと蹴りを浴びせた。

 だが、それを許してくれるほど敵は甘くない。

 今度は、そのつま先を物質界へと到達させることすら適わず、伸ばした脚に剣の一撃を食らってしまう。


「――あくっ……!?」


 思わず漏れる苦悶くもんの声。

 「きゃあ」などというような、余裕のある悲鳴をあげることはしなかったし、できなかった。

 そも、そのようなもの、敵の加虐心かぎゃくしんあおるだけではないか。

 むろん、眼前の戦士がそんな感情を持っているとは思えないが。


 先の攻防、イリスフィールに油断はなかった。

 だが、通用しない。

 通用するはずがないのだ。

 どれほど巧妙こうみょうに隙をつこうとも、戦士であるデュークには必ずはばまれてしまうのだ。

 それは、単純な相性の話。


 たとえ空間を超えて攻撃をしかけようとも。

 こと、肉弾戦において。

 イリスフィールという『魔術の使い手』は。

 デュークという『近接戦闘の達人』には、どうやっても及ばないのだ。


 それは、レオンハルトと魔風王シルフェスにおいても同じこと。

 イリスフィールの頭の中に、あの少年が魔風王に敗北する仮定がまったく浮かんでこないのも、すべてはそれゆえだ。


 足運びを見ればわかる。

 レオンハルトは、疑いようなく剣術の達人だ。

 対するシルフェスは、魔術を用いて戦う存在もの

 であるからこそ、近接戦闘にさえ持ち込んでしまえば、レオンハルトはの魔王に圧勝できる。


 否、彼には近接戦闘に持ち込む必要すらないのだ。

 レオンハルトが手にしているのは『魔殺まごろしの神剣しんけん』、斬魔輝神剣シャイニング・ブレード

 『聖剣』を超える『神剣』にして、魂の輝きを断つあの剣であれば、魔族の持つ闇色の輝きであろうとも容易たやすく両断してしまえる。


 さらにあれには、人間には不可能である『空間の超越』を可能とさせる『力』が備わってもいるのだ。

 である以上、遠く隣で行われている戦闘に限っていえば、間合いなどというものは意味を成さない。

 レオンハルトは、常に魔風王の懐にいるも同じなのだ。


 あの剣を用いる以上、レオンハルトには万にひとつも敗北の可能性はない。

 『空間を超えての攻撃を放つこと』に慣れると同時、彼はただの一撃で決着をつけてしまえることだろう。

 そしてそうなれば、ことはやさしい。

 デュークという魔王は、自らの信念に背くことをよしとしない。

 ゆえに、駆けつけてきたレオンハルトの力を借り、二対一の状況に移行することは容易であるはず。


 ――だと、いうのに。

 なぜレオンハルトは、まだ決着をつけられずにいるのだろうか。

 イリスフィールにとっての勝機は、レオンハルトがいてこそ得られるものなのだ。

 その彼が、なぜまだ加勢に来れないのだろうか。

 まさか、魔風王ごときに手こずっているとでも……?


 かぶりを振り、その思考をイリスフィールは断ち切った。

 ありえないのだ、そのようなことは。

 レオンハルトは剣術の達人であり、魔風王は魔術に頼って戦う存在もの

 であれば、相性的に見てレオンハルトが負けることはありえない。

 だから自分は、彼が駆けつけてきてくれるまで、なんとか持ちこたえてさえいればいいのだ。


 黒い刃が、空間を裂いて顔を出す。

 幾度となく階層世界の側で防いできていたそれを、彼女はとうとう捉えきれなくなり、物質界にまで顕現けんげんさせてしまった。

 戦況は、この上なく劣勢れっせい

 しかし余裕だけは失うまいと、イリスフィールは思考を推し進める。


 いまデュークが振るっている剣は、彼が自らの『闇の力』で作りだしただけのもの。

 眼前の戦士が得物えものとしていた武器は、確か他にあったはずだ。

 そのめいは、魔剣、漆黒の剣カオス・ブレード


 この戦闘において、なぜそれを使わずにいるのか。

 そんな疑問ことは、彼女の興味の埒外らちがいにあった。

 重要なのは、デュークは本来の力を発揮しきっていないという、その事実。


 慣れ親しんだはずの武器を手にせずともなお、彼はこれほど戦えるのだ。

 もしもその手に漆黒の剣が握られようものなら、デュークはどれほどの強さを誇るのか。

 その『力』は、まさに『悪魔』のそれか。

 そうなってしまえば、自分には足止めすら難しくなるだろう。


 いけない、と彼女は再び首を横に振る。

 思考を暗いほうに持っていってはいけない。

 イリスフィールは――階層世界に住まう者は、皆、精神生命体。

 客観的には可能なことであろうとも、主観として『不可能』と認めたその瞬間から、それは彼女にとって不可能ごとに変わってしまうのだから。


 精神生命体にとっては、主観こそがすべて。

 イリスフィールとデューク、いまはそのお互いが己の勝利を疑っていないからこそ、辛うじて戦況が均衡しているが。

 敗北の可能性を彼女が強く受け入れてしまえば、イリスフィールの『光』――『創造主の加護』とも呼べるものはあっけなく消失し、瞬時にして膝をつかされてしまうことになる。


 それは、彼女が『加護』を『不要』と感じてしまうがゆえに起こることだ。

 諦観ていかんに囚われると同時、敗北は決定する。

 己の可能性を信じぬ者は、自ら救いの光を拒絶してしまう。

 ああ、それはなんて――なんて、当然あたりまえのこと。


 ゆえに、イリスフィールは自らの勝利を信じ続ける。

 余裕を徐々に失いながらも、諦観という名の蛇に脚を絡め取られぬよう、必死にあがく。


 その姿を見て、誰が哀れと笑えよう。

 誰に無様とののしれよう。

 不安と焦燥に表情を歪ませながらも、自らの勝利を信じて踊り続けるその姿は、どこまでも躍動感やくどうかんにあふれ、誰よりも美しく気高かった。


 しかし、それだけで現実を変えることはできない。

 軽口も叩けない。

 そんな余裕など、とうに消し飛んでいる。

 無理に取りつくろえば、瞬時に自分の首が宙を舞うだろう。

 レオンハルトの加勢は――まだ、期待できそうにない。


「……仕方ない。そろそろ『あれ』を試してみましょうか――!」


 『魔術の使い手』が本領を発揮できるのは、遠距離戦においてである。

 懐に飛び込ませれば敗北が確定するがゆえに、『魔術の使い手』は必ず近接戦闘に持ち込まれる前に敵の機動力を奪わなければならない。

 しかし精神生命体同士の戦いには、そもそも間合いという概念がない。

 である以上、遠距離攻撃は『少しうっとうしい』だけの、足止めの手段にしかならないのだ。


 だが、それでも。

 一秒であっても、黒き戦士の足を止めることができるのならば。


 刻むステップはそのままに、イリスフィールは右の腕を伸ばす。

 その掌の中にあるのは金色の盾ではなく、光の球。


 そして彼女は、叫ぶようにその言葉を口にした――!


「――絶対境界わたしにできる楽園幻想あらゆることをっ!」


 光の線がほとばしる。

 否、線などという生やさしいものではない。

 それは空間そのものを消し飛ばすような、聖なる奔流ほんりゅう

 すべてを浄化せんと突き進む、蒼白あおじろく輝く光の波動だ。


 攻撃を中断し、迷わず回避行動に移る漆黒の戦士。

 魔王といえど、これをまともに食らえば致命傷になる。

 剣を犠牲に、軌道を逸らしたとしても同じことだ。

 手にしている剣は、デュークの一部。

 イリスフィールの金色の盾と同じく、その剣を破壊されれば、彼は大きく『力』を消耗してしまうことになるのだから。


 ゆえに、彼がとる行動は回避一択。

 そして、それがわかっているのならば――


「――はあっ!」


「がっ……!?」


 馬鹿のひとつ覚えのような蹴りであっても、叩き込むことは充分に可能――!


「どうしても攻撃を当てられないようなら、手数を増やして、絶対に攻撃をかわせない状況を作りだすまで、か。……本当、あなたに教わったことは多いわね、ルアルド」


 感慨深げにそうつぶやき、イリスフィールは次々と光の波動をデュークへ飛ばす。

 この戦法を続ければ、もういくらかはつだろう。

 それまでにレオンハルトが魔風王を撃破し、数の上で有利に立てれば――


 否、希望的観測はすべて捨て去るべきだ。

 この戦法はすぐに破られる。

 レオンハルトの加勢も、当てにはできない。

 未来をそう仮定した上で、イリスフィールは対策を立てるべく頭を働かせる。


「要するに、私ひとりでデュークを倒せってことよねえ、それって……」


 夜の空気に溶け消えていく、女神のぼやき。

 返答は望んでいない。

 ただ、その現実を己に認識させたかっただけのこと。


「まあ、やってやれないことはない……わよね?」


 そのわずかな弱気が、どうしても彼女の脚に絡みつく。

 チロチロと舌を動かす蛇の姿が幻視される。

 けれど、それは錯覚だ。

 敗北することなど、ありえない。

 自分には、まだ最後の手段が残っている――!


 だが、それでも思わずにはいられない。

 なぜここにやってきたのがデュークなのか、と。

 今回の作戦の指揮を執っていたのが、『魔王の翼デビル・ウイング』と称される四体の魔族のいずれかであれば、自分ひとりでも余裕で勝利を収められたのに、と。


 そもそもフロート公国は、その国の在り方に問題がありすぎるのだ。

 三国さんごくの中でもっとも広い――あまりにも広すぎる、その領土。

 それを数十人もの貴族たちに割りふり、王がまとめる。

 そんな体制であれば必然、王の目の届かないところが多くなる。発言力だって弱くなる。

 結果、この国は他の国に比べて、魔族につけ込まれやすい風土ふうどとなってしまっているのだ。


 その侵入の容易さは、もはや異常の域。

 なにせ人間を装って現れた魔族を、宮廷魔道士として召し抱えた過去すらあるのだから。

 むろん、似たような事例は他の国にも存在しているわけなのだが……。


 それにしたって、この国の在り方にはさすがに頭が痛くもなろうというものだ。

 しかし、そのようなことは思ってもせん無きこと。

 いまはいまの最善を尽くさなければ。

 人間を――『生命いのちあるもの』を見守る『天上存在』として。


 だが、とイリスフィールはつい心の中で愚痴ぐちをこぼしてしまう。

 それならそれで、自分をもっと戦闘能力のある存在として創ってくれてもよさそうなものなのに、と。


 先ほどデュークにも指摘されたことではあるが、自分は致命的に戦闘という行為に向いていない。

 それは人間に転生し、ルアルドという青年と共に旅をしていたときも変わらなかった。


 けれど、そんな脆弱ぜいじゃくな存在でありながらも、彼女はひとつの理想ユメを見たのだ。

 あるいはただの錯覚、幻想の類のものかもしれないが、確かに彼と共に理想きぼうを見たのだ。


 そして、彼に誓った。

 彼も、自分に誓ってくれた。

 この世界――物質界と階層世界の両方で、苦しむ人のすべてを救う、と。

 自分の幸福のすべてを投げ捨ててでも、自らの成すことを最後まで成し続けていく、と。


 ルアルドは人間として、物質界で。

 イリスフィールは神として、階層世界で。

 それでも、同じ理想ばしょを目指して、いつまでも共に歩んでゆこう、と。


 『世界破壊者ワールドブレイカー』であると同時に、『救世主セイヴァー』でもあったルアルド・デベロップ。

 その彼の苦悩を、苦痛を、イリスフィールは知らない。

 別の人間である以上、同じ苦しみは味わえない。

 それと同じく、ルアルドにもイリスフィールの悲しみは、孤独は、きっと理解できていないだろう。


 イリスフィール・トリスト・アイセルとルアルド・デベロップ。

 一組の男女は、しかし、同じ人間にはなりえないからこそ、永遠に理解しあえない。

 いつまでも、ずっとずっと交われないまま。


 ――それでも、同じだったのだ。

 大切な人を護りたいという、その思いは。

 不幸な人間を救いたいという、その願いは。

 『この世』を『楽園』にしたいという、その祈りは。


 だから、二人は――


「――この程度のことで、めげてなんかいられない。嘆いてなんかいられない。……そうよね? ルアルド」


 ――二人は、その志を『絆』に変えて、永遠に繋がり続けていられるはず。


 『わたしにできる、あらゆることを』。

 それは、彼女の誓いが『魔術』となったものだ。

 イリスフィールの誓いを、『力』に変えるためのものだ。


 否、これはもはや『魔術』ではなかった。

 魔術に似て、非なる術式。

 レオンハルトが感じた、『異質な魔力』の正体。

 それこそが――


「――我が名はイリスフィール・トリスト・アイセル。第七階層存在にして、『時間ときけ、空間を律する存在もの』」


 おごそかな、その名乗り。

 デューク・ストライドが動きを止めた。

 そして、それが終わるのを静かに待つ。

 侵すことはしない。

 そのような卑怯な真似は、彼の信じる騎士道が許しはしない。


 ゆえに激突が起こるのは、彼女が名乗りを終えたあとのこと。

 その名乗りそのものがイリスフィールの『詠唱』であると気づいていても、それを邪魔することだけは、絶対に――。


 彼女はまぶたを下ろし、詠唱を続ける。


「――誓いを胸に」


 どこまでも厳かに。


「――絆はここに」


 誰よりも気高く。


「――いつか見た『楽園ユメ』を、この場所せかいに」


 その場の何者をも陵駕する、強い意志を込めて。


「――その救いを、理想ユメを、いつか現実へと成すために、いまは――」


 そうして、瞳を開き。

 彼女は、最後の一節ちかいを口にした。


「――絶対境界わたしにできる楽園幻想あらゆることを


 それだけを、いまは成すのだと――!


「――むぅっ……!」


 眼前の戦士の口から、驚愕の声が漏れる。

 無理もない。

 遥かな天空。

 闇色に染まった空高くに。

 いまは無数の光の欠片が浮いており。

 そしてそれが、彼を浄化するためだけに降り注ごうとしているのだから――!


 『能動のうどう防御ぼうぎょ』。

 そのような言葉を、かつてイリスフィールはルアルドから聞かされたことがあった。

 当時、まだ人間であった頃の彼女が持っていた特殊能力、すべての『闇』を防ぎきる『金色の盾』。

 それを、どうにかして攻撃の手段に転じさせることはできないだろうか、とルアルドに相談したときのことだ。


『投げてぶつける!』


 返ってきたのは、そんなミもフタもない言葉だった。

 しかも大真面目な顔で、恐ろしく得意げに口にされたのだからたまらない。

 結局、腕力のないイリスフィールにその手段は取れず、やはり脚技あしわざのみで騙し騙し戦っていくしかないのだろうか、と結論づけかけたのだが。


『そもそもさ、掌以外の場所に『盾』を出したり、掌から切り離すようにして『撃ちだす』ってことはできないのか? あ、空中から何百何千って数を降らせられると、なお――』


 戯言たわごとは、無理やり黙らせた。

 目からウロコの発想ではあったが、何百何千と出すのは、いくらなんでも不可能というものだ。

 当時、イリスフィールは『こいつはもう少し、自分が『世界最高の魔道士』なんだという自覚を持ったほうがいい』と思ったものである。


 ともあれ、そうして彼女の攻撃手段は増えた。

 人間であった頃は、使う『光』の量が莫大であったため、盾を二つほど作って撃ちだすのが限界であったが、『天上存在』となったいまであれば話は別。

 創造主から常に『光』の供給を受けられるため、何百何千、それどころか何万であろうと作りだせるようになったのだ。

 それはまさしく、能動防御の極みといえよう。


 もっとも、仮にルアルドと再会できることがあったとしても、イリスフィールはこの『奥の手』を彼には隠しとおすつもりでいた。

 理由は、単純にして幼稚。

 なんだかしゃくだから、だ。


 『天上存在』、あるいは『真理体得者』などが用いる『光』というエネルギー。

 これのことを階層世界では『愛』や『善』と呼ぶ。

 そしてこの力は、魔術に似て非なる術式――『希術きじゅつ』を発動させるために必要不可欠なものでもある。


 『希術』とは、創造主の力を借りた術のこと。

 この世界に希望をもたらす術式の総称だ。

 それは魔術よりもよほど効率的に『魔』を浄化し、『生命あるもの』を救うことができる。

 また、創造主が絶えず作りだしているエネルギーであるため、いくら消費しようとも尽きはしない。


 唯一の欠点は、攻撃に用いることのできる『希術』がとても少ない、ということだろうか。

 だが、それも『生命あるもの』を相手にした場合のみの話。

 相手が魔族であるならば――


 遥かな天空から、金色の光が無数に降り注ぐ。

 あるものは一直線に、またあるものは弧を描いて。

 しかし、その終着点はどれも同じ。

 それはむろん、驚愕の表情を収め、その苦痛のことごとくに耐える決意を固めた魔王、デューク・ストライドである。


 その光景は、流星群さながらの煌きだった。

 攻撃を受けとめる役割しか持ち得ないはずの、金色の盾。

 それがいまは魔王を貫く矛となり、彼の全身を無限回も打ち据えている。


 落下する速度は光速を超え、もはや神速しんそく

 デュークには階層世界に転移する様子が見られないが、仮にそれを行おうとも無意味。

 この光り輝く盾の群れは、どのような階層に退避たいひしようとも、三千世界まで追いすがろう。


 耐えきることとて不可能。

 眼前の魔王を浄化することはできずとも、これで一時的に物質界に現界げんかいすることは不可能になると、イリスフィールは確信している。

 この光景が終局を迎えたとき、の魔王が立っていることなど、絶対にありえない――!


 どれくらいの時間が過ぎただろうか。

 飛来する金色の盾がすべてなくなり、デュークの姿がようやくあらわになった。

 彼は満身創痍まんしんそういていさらし、肩で息をしつつも、闇色の剣を地面に突き立てており――


「…………」


 それにもたれかかりながら、辛うじて立っていた。

 それの意味するところはひとつだ。

 イリスフィールの抱いた勝利の確信は。

 デュークの『耐えきってみせよう』という鋼の意志に勝らなかった。


「――嘘、でしょ……」


 意識せず漏れたつぶやき。

 しかし、それに答える声はなく。


「――――」


 刹那、空間を渡ってイリスフィールの懐に飛び込んだデュークが、手にした剣を無造作に振るった。

 それは、果たして誰に閉幕を告げるためのものだったのだろうか。


「――あ……」


 イリスフィールの首は、胴体から離れ。

 まるで子供が蹴り遊ぶ球のように、あっけなく宙へと舞った。


「――うおおおおおおおおあああああああああっ!!」


 ルビーのような赤い瞳が見開かれた、そのままで――。

いやはや、すっかりお待たせしてしまいました。

この回で書きたいこと、書いておくべきことが多すぎて、主に構成の面で苦戦しておりました。

本当、難産だった……。


けれど、それだけに個人的には満足のいく内容に仕上がりました。

若干の飽和状態になっている気もしますし、長すぎるとも思いはしますが、それでも満足のいく内容には仕上がったのです、ええ。


ちなみに、最初は『時間は戻って』みたいな一文を冒頭なり前書きなりに入れようかとも思っていたのですが、それは敢えて没案に。

戦闘中にちょこちょことレオの状況を入れることで、徐々に『ああ、そういうことか』と納得してもらえるような構成を目指しました。

上手くいっているかは別の話になりますが(苦笑)。


あ、今回のサブタイトルは『光闇舞踏こうあんぶとう』と読みます。

『聖魔』だと少し語呂が悪かったので、こうしてみました。

それでは、次の更新はなるべく早くできればと思います。

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