第一話 獅子と女神
――ひと目ぼれなんて、物語の中だけのことだと、この日までは思っていた――
静寂に支配された夜。
闇に侵食されつつある街の人気の少ない場所をとおり、その建物の前に辿りつく。
建物の名称は、魔道学会フロート・シティ本部。
本当は王宮のほうに忍び込みたかったのだが、そちらはさすがに警戒の目が強すぎた。
人並み外れた跳躍で外壁を飛び越え、見張りの魔道士を三人、手刀で順に昏倒させていく。
それにかけた時間は、わずか数瞬。
手間をかけていては、三人のうちの誰かに気づかれ、ぼくの侵入がすぐに発覚してしまうから。
もちろん、声をあげることも許さずに気絶させたとはいえ、安心することはできない。
一刻も早く建物の中へと忍び込み、当面の目的地へと向かわなければ。
魔道士という人種は、必ず地下に秘密の研究室というものを持っている。
決して安くはない金と手間とをかけてまで、連中がそんなものを用意しているのは、偏に自分の研究成果を他者に横取りされるのを恐れてのことだ。
ゆえに、魔道士の隠れ家を見つけようと思うのならば、その地下室の発見が必須となる。
存在しない、などということはあり得ない。
魔道士とは、己の得た成果を隠す生き物。
そして隠すということは、そのための場所を必要とするということだ。
ゆえに、しらみ潰しに探していけば、絶対に見つかる。
キリがない、などということはない。
始まりがある以上、終わりもまた必ず存在するのだから。
ゆえに、探す。
可能な限り速やかに、手際よく、昼のうちに見当をつけておいた数箇所を中心に、魔道学会の内部を探索する。
それは魔道士ではない『魔道の使い手』の、常識にして定石だ。
そんな常道を歩みつつ、ぼくは埒もないことを考える。
いまは蒼き惑星歴1903年、闇の月。
比較的、モンスターがその凶暴性を露にする時期だ。
それに呼応したとでもいうのだろうか、遥かな昔、神によって異世界へと飛ばされた魔王――漆黒の王が、間もなく完全な形で復活するという噂が、スペリオル共和国内で流れ始めたという。
そして、それを歓迎するかのように下級や中級の魔族が姿を現し、大陸の各地で人間たちを襲い始めた。
むろん、この状況下で静観に徹するような権力者など存在しない。
ガルス帝国の王は声高に魔族の駆逐を兵たちに命じ。
ここ、フロート公国の王も魔族を討伐するべく、国にある領の各地から特に有能な者たちを集め、スペリオル共和国へと送り込んだ。
噂の発生源である共和国の惨状は、幸いなことに、ぼくの耳には届いてきていない。少なくとも、いまはまだ。
魔王の復活などという噂と、大量に発生した魔族たち。
たったそれだけのことで、ぼくたちの住まうこのリューシャー大陸は、混迷を極めることとなってしまった。
「――本当なら、次期領主であるぼくや、姉上とダグラスも共和国に行くべきなのでしょうけど……」
意図せず、そんなつぶやきが口から漏れてしまう。
おっと、と掌で口を押さえ、周囲を見回し――
「……っ!?」
――そこに、誰かがいた。
年の頃は十七くらいだろうか。
端正な顔立ちに、青い瞳。
肩より下に伸びている髪は金色で、腰には一振りの剣を差している。
身につけているのは、銀色の軽装鎧。
その表情には驚きの色がありありと浮かんでおり、まるで何者かの襲撃に不意を突かれたかのような印象を――
「――って、これは……」
対面している人物は、間抜けなことに、壁に立てかけられている巨大な鏡に映しだされているぼく自身の姿だった。
「そもそも、自分の顔を見て『端正』とか。……ぼくにナルシストの気はないはずなのですけどね」
思わずため息をついてしまう。眼前の鏡像も寸分違わぬ動作で嘆息し、眉尻を下げた。
と、目線を落としたところで気づく。
「――魔力の痕跡? いや、これは……」
魔力に似て、非なるものであるような。
生まれつき膨大な魔力をこの身に宿していながら、しかし、魔道の才にはさほど恵まれなかったぼく。
そのぼくにさえ、『異質』だと感じさせるなにかが、そこにはあった。
辿ってみますか、と声には出さずにつぶやいて、ぼくは歩行を再開した。
この廊下の先に、『異質な魔力』を辿った果てに、一体なにが待ち受けているのだろうかと、身をわずかに硬くしつつ――。
◆ ◆ ◆
辿った先には、扉があった。
開いてさえいなければ、壁と勘違いして素通りしていたであろうもの。
だというのに、そうとわかるようになっているのは、すでに何者かが中に侵入しているからに他ならない。
その何者かは、この『異質な魔力』の持ち主と同一なのだろうか。
それとも、ぼくというネズミを捕らえるための、学会内の魔道士が仕掛けた罠なのだろうか。
……どちらでも、かまわないか。
前者であるなら正体を確かめてみたいし、後者であれば破るだけだ。
そのくらいの力量がないようでは、こちら側の世界でなんてやっていけない。
そう心の中だけでうなずいて。
ぼくは扉の先にあった階段を下っていった。
下へ下へと降りていくこと、しばし。
その終着点で、ぼくはまたしても扉に出迎えられることになった。
しかも、この扉もまた開け放たれている。
この侵入者には、自分が『忍び込んでいる者』だという自覚があるのだろうか?
扉の向こう側からは、鼻歌のような声がかすかに漏れてきていて、自分のことでもないというのに、なぜか頭が痛くなった。
しかし、相手がいかに呑気なようであろうとも、侵入者であることには変わりない。
聞こえてくる鼻歌の声は高め。
ゆえに、おそらくは女性だろうと見当をつけるものの、この目でじかに確かめたわけではないのだ。
油断だけは、してはならない。
ぼくの属する組織には、華奢な外見をしているくせに、恐ろしい怪力を発揮する少女だっているのだから。
すぐに抜けるよう、腰にある剣――斬魔輝神剣の柄に手をかける。
現時点においては相手を殺す気など微塵もないのだから、漏れでるような殺気は皆無。
それでも湧き出る闘気は、限りなく無に近づけて。
そうして、どの位置からの奇襲であっても応戦できるよう気を整え、ぼくは室内へと踊り込んだ。
そこにあったのは、ひとりの少女の背中。
天井まで届きそうなほど高い本棚を前にして、そこに収められている本たちの背表紙を、身を屈めながら覗き込んでいるようだった。
断続的に漏れているのは、「ふんふ~ん♪」という綺麗な声。
ポニーテールにされている金色の髪は彼女が動くたびに揺れ、夜空に流れる星々を連想させた。
華奢な体躯にまとっているのは、黒い服。
ローブのようにゆったりとはしておらず、身体の線が浮き出るタイプのものだ。
わずかなたるみもないスカートの丈はとても短く、二の腕も肩の辺りまで露出している。
けれど、決して下品な印象を受けることはなかった。
……なぜだろう、そういう露出度が高い服装は、姉上が好んで着用していることもあって、全然、慣れているはずなのに。
その、白く細い腕から。
しなやかな脚から。
わずかに屈められている背中から。
彼女の、その美しい立ち姿から。
どうしてか、目を離せずにいるぼくがいた。
背後で声もなく硬直しているぼくに気づいたのだろうか、動揺の気配なんて微塵もみせることなく、ぼくのほうへと身体ごと振り向く彼女。
ぼくなんて、まだ柄から手を離すことすらできていないというのに。
これじゃ、立場があべこべだ。
本当なら、驚いて固まるのはあちらのほうであるはずだろう。
だというのに、彼女は。
次いで邪気のない笑顔を向けてきた。
それは、探し求めていたものがようやく見つかった、とでも言いたげな笑み。
一瞬にして男の心を奪ってしまうような、女神のような微笑。
その赤い瞳に、喜びと安堵の色を宿し、彼女はつぶやく。
「――これでひとつ、目的達成ね」
「目的……?」
「ええ。蒼き惑星暦1903年から数えること約十七年前、『エリュシオン』から斬魔輝神剣という一振りの剣が召喚されてしまった。それを回収することが私の今回の目的。……のひとつ」
「回収?」
ぼくの持っているこの剣は、現在からおよそ十七年前に父上――シュヴァルツラント領の領主が、とある召喚儀式を用いて現世へと降臨させたものだ。
それはつまり、降臨させるまでは別の場所にあった、ということに他ならない。
なら、元の持ち主が取り戻しにくることもあるだろう。
けど、はいそうですかと返却することはできなかった。
なぜなら、これは……。
「盗人猛々しいとは、ぼくも思うのですが……。この剣はぼくたちにとっても必要なものです。なので申し訳ありませんが、貴女の求めに応じることはできません」
これは、高位の魔族とも渡りあうことのできる『魔殺しの神剣』。
シュヴァルツラント家の家宝とすら呼べるものなのだ。
ぼくの一存で軽々しく手放すことなど、できるはずがない。
「そ、そう……。まさか、拒まれるとは思わなかったわ……」
先ほどまであった神秘的な雰囲気を霧散させ、どうしたものか、と人差し指をあごに当てる少女。
ぼくとしても、もっとこう、『いいから返せ』の一点張りでくると思っていたものだから、なんとなく拍子抜けしてしまう。
それからも「う~ん、だとすると……」などと漏らしながら困った表情を浮かべる彼女。
それを見ながら、ぼくはとても場違い――というか、呑気なことを考えてしまっていた。
その……なんというか、本当に美しい少女だな、と。
ぼくよりも少しばかり幼くみえるから、年齢は十六くらいだろうか。
美人かと問われれば躊躇なくうなずけ、可愛いかと訊かれても微塵のためらいもなく首を縦に振ってしまえるような、そんな、どちらの形容詞も当てはまってしまう顔立ち。
その体躯に張りつくようなものであるがゆえに、華奢ながらも女性らしい身体のラインがよく見てとれ、また、彼女の白い肌がより眩しく感じられてしまう、黒い服。
しかし、特に目を引かれたのは、その両の瞳だった。
彼女のそれはまるでルビーのように赤く、その輝きがぼくの心を捉えて離さない。
とにかく美しい少女だった。
全身から活力が感じられ、内面からも光を放っているように感じられる。
容姿からして、名のある貴族の令嬢であってもおかしくはないが、しかし、それはないと思われた。
もし貴族であるのなら、シュヴァルツラント領の次期領主であるぼくが彼女のことを知らずにいるなどという事態は、起こりえないのだから。
いや、そもそも彼女は、一体どこの組織に所属する者なんだ?
誰の命を受けて動いている者なんだ?
その疑念にようやく思い至ると同時、唐突に彼女がぼくの顔を覗き込んできた。
「じゃあひとつ、交渉といかない?」
「こ、交渉ですか? いえ、その前に少し離れてください! 顔、近すぎです!」
「顔? 意外と細かいことを気にするのね。まあ、いいわ。……これでいい?」
さっと一歩退がる少女。
まったく、無防備というか、なんというか……。
「それで、交渉……でしたっけ?」
「ええ、そう。あ、でもその前にひとつ確認。あなたはシュヴァルツラント領の次期領主、レオンハルト・ロレン・シュヴァルツラントで合ってるわよね?」
「はい。……そういえば、ぼくも貴女の名前をまだ聞いていませんね」
「あははっ、そういえば名乗ってなかったわね。……私はイリスフィール・トリスト・アイセル。長いからイリスでいいわ」
「では、ぼくのことはレオと」
「レオ、か。確かにレオンハルトだと長いし、なにより……」
「なにより……なんです?」
「う~ん……。ま、いいか。なにより、あなたには似合わないと思うのよ、レオンハルトっていう仰々しい名前。はっきり言って、名前負けしてるなって」
本当にはっきり言われた。
容赦なんて微塵もない……。
「よく、言われます……」
「あっ……。あはは、大丈夫よ! あと十年……だと難しいかしら。……二十年もすれば、『レオンハルト』って響きがしっくりくるような顔になれるわよ。……きっと」
「最後にポソッと『きっと』をつけられるくらい、ぼくの顔には威厳というものがないのですね……」
「そこはほら! 威厳の代わりに親しみやすさでカバーするとか!」
「最近は、苦労人オーラでなんとかしてる節がありますよ……」
どよ~ん、となり始めたぼくに、イリスが「あわわ……」と口を手で押さえる。
それを見て、意図せず苦笑が口の端に浮かんでいた。
「まあ、それはいいです。ところで、交渉というのは? 早くしないと学会の人間に見つかるかもしれませんから、手短に済ませ……」
そこまで口にして、思わず黙り込む。
「どうしたの? レオ」
「いえ、なんでも……」
手短に済ませれば済ませるほど、この少女と一緒にいられる時間は短くなるのだと、そんな当たり前のことに思い当たっただけだった。
イリスはぼくの言葉を真に受けたのか、はたまた他になにか思うところがあったのか、「あっ!」と小さく漏らす。
「そうよね、見つかる危険があるかもしれないのよね……。早いところ、もうひとつの目的も果たして外に出ないと」
「もうひとつの目的、ですか?」
「ええ。始めに言ったでしょ? その剣を回収することは、私の目的のひとつだって。……そういえば、あなたはどうしてここに? こうして運よく出会えたのだもの、私には文句なんてないわけだけど、あなたもあなたの目的があってここにやってきたんでしょ?」
そうだった。
どうして彼女に言われるまで忘れていたのだろうか。
「いくつかの予備知識が必要になるかと思いますが、それでもよろしいですか?」
「ええ、かまわないわ。あなたの素性は大体、把握できているつもりだし」
「じゃあ、説明の必要はなさそうですね。ぼくの目的を推測するのも、貴女になら簡単そうだと思えます」
「わーっ! うそうそ!! なんっにも把握できてないから! 時間もたくさんあるわけじゃないし、かいつまんで説明をお願いします!」
「……わかりましたよ。まず、ぼくはちょっとした組織に所属しているのですが――」
「ああ、はいはい! 皇帝騎士団ってやつね!」
「……知ってるんじゃないですか。もう全体像も想像がついているのでは?」
「ちょっとちょっと、そんな意地悪言わないで! わかったから! もう余計な口は挟まないから!!」
なんというか、とても賑やかな人だった。
しかし、こんなに騒いでいるのによく人が来ないな。
まあ、いいや。長時間ここに留まっていることで生じるメリットもあるわけだし、説明を続けるとしよう。
……その、ぼくも彼女と長く話していたいし。
「まあ、その、皇帝騎士団の連中はなかなかに腰が重くて、ですね。いまの状況が状況だというのに、一向に動こうとしないんですよ」
「ああ、あちこちに魔族が姿を現しているものねえ、いま……」
「ええ。もとより気まぐれな人間が揃ってますから、傍観に回る人も多くて……。で、痺れを切らして『それならぼくがひとりでやります!』と魔族の指揮を執っている者を捜しに出たわけです。
それで、魔族って高位の存在になればなるほど、人間と同じ姿をとるようになるじゃないですか? なら、そういった高位魔族は各国の中枢に潜り込んでるんじゃないかって思ったんですよ、ぼくは」
「確かに、それは魔族の常套手段とも呼べる手口だものね。昔からの」
そうなのか。
しかし、なぜそんなことを知ってるんだ? イリスは。
「でも、ならなんで魔道学会の本部に来てるの? そういう調査が目的なら、王宮に行くのが一番なんじゃない?」
「それは、ごもっともなんですけどね。王宮のほうは警備が厳重でして。収穫はないかもしれませんが、今日のところはこちらに忍び込んでみようかな、と」
「なるほど。そして私とばったり遭遇した、と。あなた、運がないわねえ……」
「え? あ、ああ。剣のことですか? 言っておきますが、返しませんよ? これはシュヴァルツラント家の家宝である以上に、『エリュシオン』へと向かうために必要とされるかもしれない『魔法の品』なのですから」
『エリュシオン』というのは、簡潔に言うならば『神々の住まう世界にある楽園』といったところだ。
『あの世』とも呼ばれる世界にある、小さな孤島。
ぼくの姉上はかつて『この世界のすべての事柄が記されている書物』――『聖本』からその存在を知り、また、いまから一年ほど前に、ミカ・ロックウェーブという実際に『エリュシオン』を訪れたという少女からも、同じようなことを聞かされた……らしい。
らしい、というなんとも曖昧な言い方しかできないのは、ぼくがその場に居合わせていなかったからだ。
なんというか、いつものことではあるのだけど、事態はぼくのいないところでどんどん動いていってしまう。
それは、なんだか脇役のような扱いを受けているようで、正直、面白くなかった。
そんな埒もないことを考えていると、イリスが「とりあえず、いまは剣や『エリュシオン』のことは置いておきましょう?」と提案してきた。
「私のもうひとつの目的はね、ここ――魔道学会本部の特別資料閲覧室に保管されているという、『解読書』のひとつを手に入れることなのよ」
『解読書』。
それは『聖本』を解読するために必要とされる、六つの書の総称だ。
書にはそれぞれ、『土』、『水』、『火』、『風』、『光』、『闇』と名がつけられており、一般には『土の書』などと呼ばれている。
そしてフロート公国に保管されているものは……確か『水の書』と『風の書』であったはず。
いや、そんなことよりも、だ。
彼女はいま『手に入れる』と言ったけれど、それって『盗む』ということなのではないだろうか。
ぼくの疑いの眼差しなんて気にも留めず、彼女は「でね」と続けてきた。
「それを近いうちに、『妖かしの森』からやってくる『ある人物』に渡さないといけないの。というわけでレオ、探すのを手伝ってくれないかしら?」
小首を傾けて可愛くお願いされる。
計算してやったにせよ、そうでなかったにせよ、その破壊力はかなりのものだ。
おまけに、ぼくには断る理由がないときている。
ここ――魔道士の研究に使われる場所に留まっていれば、それの利用を企んでいる高位の魔族が襲撃してきてくれる可能性があるし、イリスに恩を売っておけば、のちのち『剣を返せ』と言ってこなくなるかもしれないし、それに彼女は、少なからず『エリュシオン』のことも知っているようだし。
『エリュシオン』に辿りつくことは、姉上の悲願だ。ぼくで力になれるのなら、力になりたい。
あと、それから……『解読書』探しを手伝っている間は、イリスと一緒にもいられるわけだし。
しかし、先ほどからなんとなく思ってはいたことなのだけれど。
ぼくがイリスに抱いているものは、もしかしたら、恋愛感情と呼ばれるものだったりするのだろうか。
そうでなければ、ぼくの言動には説明のつかないところが多々ある気がする。
そして、もしそうだとするならば、これはおそらく『ひと目ぼれ』というやつだ。
現実には絶対に起こりえないだろうと思っていた、ひと目ぼれ。
もちろん、ぼくはまだ十七年ほどしか生きていない若造だ。
けれど、若造なりに悟っていることもある。
たとえば……そう。
自分の気持ちを偽ることで得られるものなどありはしない、とか。
だから、こういうことはごまかさずに、ちゃんと認められる自分でいようと。
ぼくは、そう決めていた――。
いかがでしたでしょうか?
『獅子と女神』の出会いの話。
正直、説明が多いなあと思いながら書いていました。
あと、イリスの外見描写にはかなり力が入っています。
これは作者がイリス大好き人間であるがゆえに起こったこと。必然なのです、ええ。
次回はもうちょっとお話が動きますよ。まあ、それでもまだバトルには突入しないのですが(汗)。
しかしレオ、主人公の定番ともいえる『鈍感』属性を微塵も持ち合わせていないな……。




