Your enjoyment What?
マイペースすぎる作者に天罰を!
『あなたの楽しみは何?』
「待てっ、こんな事をしてる場合じゃないんだ!!」
ありすはテーブルに勢いよくティーカップを置く。高い音が響き、これまで音楽でも鳴っているかのように騒がしかったあたりが静寂に包まれた。
『…急いでるのかい?ありすちゃん』
三月ウサギは静けさを気にせず、ありすに笑かける。
「あぁ…そうだ。…早く戻りたいんだ」
ありすはぐっと拳を握った。そう、早く帰りたい。あの何も変わらないいつもの大樹の下へ…
『戻りたいって…。もう戻ってきてるじゃない』
不機嫌そうに眠りネズミは睨んだ。眠りネズミの言葉を聞いてありすは眉をひそめる。
戻ってきてるって…なに言ってんだ。こいつ
『っあれじゃないかな?ほら…忘れてること、あるんだろ♪』
マッドハッターがありすと眠りネズミの間に入りわざとらしい笑顔を浮かべる。その笑顔がありすをさらに苛つかせた。
…?
「何故。知ってる?」
『?』
そうだ、こいつの前で忘れてる事があるなど言っていない。さっき会った眼鏡の変な奴が言ったことだ…
何か、知ってる……。こいつ、何でも知ってる…のか?
「何故、忘れてる事があるというのを知ってるのか聞いているんだ。」
偉そうに…と眠りネズミは不機嫌をありすに投げつけるように呟く。そんなこと、ありすは気にせずマッドハッターに近づく。
『あー…えっと☆ワタシ、耳がいいのさ♪』
マッドハッターは耳をすます仕草をしてみせる。
誤魔化すのが下手なのか、さっきから。
ありすは呆れてしまった。自分の苛立ちが馬鹿馬鹿しくなった。
「っいい…もう、何でもいいから…。忘れてる事、教えてくれ」
力の抜けた声でありすは静かに叫んだ。今は早くここから出て、元の場所へ…
『忘れてる事ネェ…☆』
マッドハッターは急に真面目な顔をして腕を組む。そして、少し考えると口を開き優しく言った。
『君が“アリス”だって。事かナ♪』
ーー戻ってきて…アリス
この度は誠に申し訳ございませんでした