表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーAliceー  作者: 藍哀 蒼碧
第一幕
4/6

What you looking for?

『あなたは何を探しているのですか?』





『ね。きみが、ありす、なの、かい。』


上から声がした。

ありすは上に目を向ける。

木にぶら下がり煙管をくわえている人(?)と目が合った。

深く、暗い青色の髪に

吸い込まれそうなほどに暗く、深い、綺麗な緑の目をしている人物。

そいつは煙管を口から外すと、木から降りてきた。そして長いコートを手で払い、細い銀のフレームの眼鏡を押し上げる。


『てまえ、ありす、だよね。』


そいつはもう一度問う。しばらくありすが黙っていると思いついたように眉を上げた。


『ぁ、ぼく、いもむし。……わたし、なまえ、いった。…あなた、ありす、だよね。』


…こいつ一人称と二人称が定まってないのか?


ありすは不思議な喋り方をするいもむしとやらと少し距離をおく。そんなこと気にせずにいもむしは、ありすをじっと見つめる。


『きさま、はなせない、の。』

「…っ!はなせる!」


ありすは無視するつもりだったが、あまりにも馬鹿にされた気がしたので思わず声を張り上げた。急にありすが大声を出すものだからいもむしは驚き目を見開き一歩後ずさる。その様子をみてありすは一つ溜息をつくと、落ち着きを取り戻した。


「…あぁ、ありすだ。それがどうした」


それを聞くといもむしの表情が少し明るくなる。いもむしはありすに顔を近付けた。そして煙管を口にくわえ、口から煙を吐き出す。煙がありすの顔面に直撃して噎せる。


『やっぱ、ありすだ、おぼえてた(・・・・・)、よかった。』


そう言っていもむしは微笑んだ。ありすはいもむしの言葉に首を傾げる。急にいもむしは顔を曇らせた。不思議に思い、ありすはいもむしの顔を覗き込む。


『ありす、おれ、じぶんのこと、いろいろ、わすれちゃったんだ…。ひとのことも、すこしわすれちゃって。はぁとのじょうおうさまに、おこられた。』

「ハートの女王…?」


いもむしは悲しい顔をして俯いた。それより気になる事がありすにはあった。…ハートの女王。聞いたことある。


記憶の片隅にあるんだ。

昔懐かしいような。


ありすが考え込んでいると、今度はいもむしが顔を覗き込む。すごく心配そうな顔をしていた。ありすは焦って片手で口元を隠し、目をそらす。その様子をみていもむしは少し微笑んだ。


『ありす、も、なにか、わすれちゃったんだね、かわいそうに。』


そう言うといもむしは少し考える仕草をして、手を叩いた。いもむしは道の先を指差しありすをじっと見る。


『このさき、おちゃかい、してる。そこで、なにか、わかる、かも。ね。』


ありすはいもむしが指差した方を見た。大きな毒々しい色をしたキノコが沢山並んでいる。いもむしの方に目を戻すと、いもむしは木の上に戻り居眠りをはじめていた。これは先に進むしかないのか…と諦め、ありすはキノコが並んだ道に足を向けた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ