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ーAliceー  作者: 藍哀 蒼碧
第一幕
3/6

What is a happy time for you?

『あなたのための幸せな時間は何?』





はぁ、はぁ…


運動は苦手だ。息切れが酷い。さっき食べたアップルパイがお腹を締め付ける。ありすの視界から兎は消えていた。


(すばしっこい兎だ……)


いらついて地面に転がった小石を蹴る。

ふと顔をあげると、兎が此方をじっと見ていた。ありすと目が合うと背を向け草むらに消える。いつのまにか来たこともない場所に来ていた。長く育った草達。小さい兎は草に囲まれてよく見えない。ありすは汚いのは嫌いだが仕方ないと草の中に足を踏み入れた。


「っ……!」


草の中に入れた足は地面につかなかった。ありすはそのまま穴の中に落ちる。穴が深い。このまま地面に落ちれば…


(やばいっ)


ありすは咄嗟に穴の壁に手を伸ばし、掴まれる物を探す。

がっ、ががががっ…


「ぅ…〜〜〜〜!」


壁に指先が触れて擦れる。指先が触れた後に赤いものが付着する。ありすは痛さに我慢できず壁から手を離す。下に目をやると地面が見えた。走馬灯が走る。



怖くなり目をつむる。

周りから音が消えた。落ちてる感覚も消える。痛くもない。ゆっくり目を開ける。



部屋…。

人形がたくさん置かれた部屋。

人形全てがこちらを見ている気がして気味が悪い。


『いやァ、毎回この仕事こわいわァ。まァ死なない(・・・・)んだろうけどさァ』


何処からか声がする。辺りを見回すが、人形ばかりで声を発したと思われる人物は見当たらない。


「誰か…いるのか」

『ありャ…ありすさんじャん!兎に連れて来られたのかァ。お疲れ様☆』


ありすの問いには答えずその声は弾んだ声で話す。ありすは顔を顰めた。その声はクスクスと笑う。何処だ。ありすは笑い声が聞こえた方へ足を運び、壁にぎっしりと並べられている人形に手を伸ばす。そしてありすの顔の位置ほどにある人形を掴むと、床に投げる。かたっと人形は音を立てて床に転がる。


『ありャ』


人形をどかした棚の奥にピンクの髪をした猫耳がついた人物がいた。


「みぃつけた…」


そう言ってにやりと笑うとそいつの耳を引っ張る。


『いッ!いたたたたたッ!痛いよ!ありすさんッ!』

「お前は誰だ」


そいつは涙目でありすの手を叩く。ありすはそんな猫耳の様子など気にもとめず、さらに引っ張る。



…とたん。部屋が消える。

人形も

猫耳も

そして目の前には森。

大きな草花。


…体が縮んだのか?

それより此処は何処だ。さっきの猫耳は…


ありすは辺りの景色を見回すと、首を傾げる。すると上から声が聞こえた。



『ね。きみが、ありす、なの、かい。』





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