初めての敗戦 その8
デット メイジはカジノのディーラーの様に巧みにカードを捌く。
[クイーンのカードから熊が?彼は何者なんだ?カードによって攻撃スタイルが違うのか?]
[クックックッ…………面白い。実に滑稽だ][随分と楽しそうではないか?死神][これはこれは、夜叉の鴉様。ごきげんよう][最終戦か?どうなんだ?勝敗は?][1対1の五分。最終戦は負ければ撤退します。勝てば生け贄を差し出すと][ホウ。見事な軍配だ。観戦させて貰えるかな?チケットはまだあるか?][どうぞどうぞ。顔パスで][フム。ワインはあるか?][ございますとも。乾杯しましょう。祝杯のシャンパーンは残してますがね]
シャキン[貴公ら。手出しは無用だぞ。私の目があるうちは]首もとに刀を突き付けられる鴉。[ムッ…………何奴?][我が名はムーンドゥース][アア。君かい?どうだ?一杯やらんか?][結構。私も観戦に来た][そうですか?あいにく、チケットは売り切れててね。ムーンドゥースさん][そうか?立ち見で構わないが?それに俺もプレイヤーだろ?][ケッ…………まあな]
それにしても気になるのはデット メイジ。見たところ古代魔法だ。ナゼ使える?
[さて、シルバーオックスさん。どうしますかね?まだベットしますかね?降りますかね?][ベットだ。聞くな。我々には降りるのオの字も無いのだから]ムーンドゥースは親指を立てた。チラッと見たシルバーオックスは[お師匠様。来ていたのですか?見ていて下さい。我等、カオス予備軍の絆を。シャクヤが繋いだ絆を][ベットですか?まだカードは有りますから構いませんが。シルバーオックス。知ってますか?カードは相手の生命力。最初は気楽で後からジワリと効く。破滅する人もいるみたいですよ][読めた!お前の正体。人間の心に住むディーラー。欲や希望と言う名の黒いメイジ。つまりお前は死神四天王であり、元々この者の心にいた好奇心。違うか?][パチパチパチ。見事だ。さすがムーンドゥースの弟子。私はソーサラー軍であり、死神の弟子ではない。彼は利用しただけだ。私から見れば、死神も貴殿方も大切なカモなのですよ][聞いた事がある。カジノの番人。ファウスト。それがお前だな?][ファウスト?かつての名ですかね?今はデット メイジですがね。そろそろ時間です。さあゲームの続きをしましょう][シルバーオックス。君が解析したらもう大丈夫だ。俺と代われ][トウゴウ。行ってこい]トウゴウと代わるシルバーオックス。肩をぐっと掴み助言をする。[トウゴウ。気をつけろ。デット メイジ。彼はまだ手の内を見せていない。私が解析したのは奴の素性だ。まだわからん。何も][わかってますよ。休んでて下さい。少しはウォーミングアップもしとかないとね][行くぞ!メイジ!武装!]トウゴウに鋼の鎧がまとわりつく。[武装ですか?モンクさんとやり合えば楽しいゲームになりそうですね。ですが今は私がカードを切りましょう]
カード。組合せで攻撃が決まる。同じカードでも配列によって決まる。イカサマが無ければな。
ガッガッガッガッ
金属音を響かせてトウゴウが前に出る。[チェンジ!ドリルアーム]
チュウィーン
トウゴウの腕がドリルに換わる。[至近距離ならカードの召喚分。ソリャー!]