初めての敗戦 その3
[烈火のシャクヤ。君は唯一無二の奥義を体得する。2つとない道。それこそが無双。その道の先はカオスでもソーサラーでも無い。今からその極意を伝授する。かかってこい][ウオーッ。烈火、灼熱剣!]シャクヤの二刀流が燃え盛る。[…………なんて気迫だ。アイツ。どこにそんな力が?トウゴウ。シャクヤを分析してくれ][その必要は無さそうですよ。シルバーオックス。人は立ち上がる時、凄まじい生命力を発揮する。それが体内から外に出ただけです][つまり元々あったの?その力は][おそらく彼が引き出したのだろう。ムーンドゥースが]
[ヒョヒョヒョ。アッジーナー。なあメイジ。思わねーか?あの坊主。更に強くなってんぜ][それが目的なんだろ?ナイト様の。人は2つのタイプがいる。がむしゃらにやるタイプとがむしゃらに教えるタイプと。お互いに純粋なんだろうよ。ところでお前は誰とやるんだ?あのお嬢ちゃんは先客がいるらしいが?][もちろんシルバーオックスよ。活きも良いしタイプも違う。オリャー楽しみてぇのよ][俺はトウゴウか。見た所、良い仕事をしている。バックアップをな。おそらく最後に出るだろう。キョウカ、シルバーオックス、トウゴウの順かな][チェッ。女の後かよ。まあ、構わねーがな。それよりあの死神を見てみろ。裏切りがあったっチューのに微動だにしない。アイツ無関心なのか?][イヤ。まだ心が揺れている。コレが俺の道かと。確認済みだ]
アリーナではシャクヤの闘士が燃えていた。[行くぞ!セリヤーッ][ヒュン。踏み込みが甘いわ。そんな事では、スパイダーなど夢幻だぞ。戦いとは武器で殺る物では無い。武器に頼るから道を誤る][そうか。わかった。俺の道。二刀流では無い]シャクヤは二刀流を地面に突き刺した。[戦いとは相手を見る事。次の動きを分析する事][ホウ。そこまで体得したか。なら私も刀を取らなくてはいけないな]ムーンドゥースは背中にさしたサヤを構えた。[今だ!セリヤーッ]シャクヤが地面を蹴り空に飛んだ。[俺流殺法!回転カカト蹴り]シャクヤはグンッと体を丸め、空中で回転した。カカトを敵の頭に当て、落ちてくる反動で首を足で固め、旋回する。
宙に飛ばされるムーンドゥース。[俺流殺法!手刀居合い抜き]落ちてくるムーンドゥースの下に滑り込み、右手で横に切り裂く。金網に飛ばされるムーンドゥース。[ガフッ………敵の首を足で固め上空に蹴り飛ばし、手刀を当てる。これだけの短時間にしては見事だ。だが未完成。私の技も見せてやろう。剣義!真空カマイタチ]サヤがキラッと光る。白い閃光は斬撃となりシャクヤを襲う。ガードするシャクヤ。[なんだ?この風圧!プレッシャー!]
[トウゴウ。見えたか。今のモーション][刀を抜いた風圧でカマイタチを起こした][あの技が体得できれば最高よね。シャクヤの灼熱にカマイタチ。熱風よね]
[グガーッ………打ち返してみせる。俺の闘志よ!燃え盛れ!ウオーッ]全身でカマイタチを受け止めるシャクヤ。ジリジリと下がっていく。[ナゼだ!俺が耐える度に強くなる。俺の力を吸収している][受け止めようとするからだ][だけど後ろには皆がいるんだ!だから僕が止めなくてはいけないんだ][その想い。どこまで持つかな][傷つけたく無いんだ!夜叉の死神にしても。連れて帰るんだ!エドワード・スカイ!聞いてるか!]死神は腕を組んだまま微動だにしなかった。
[ウオーッ!烈火爆風!]シャクヤは渾身の力で打ち返した。カマイタチは竜巻になり、ムーンドゥースに襲いかかる。[オオ。返したか。コレが奴の道。仲間を守る想いが彼を覚醒させた。それで良い。これが彼の無双。シャクヤ。よくやった。コレが唯一無二の奥義。烈火爆風。しかと受け止めてやる]ムーンドゥースは竜巻に飲み込まれ消えた。
[師匠!ありがとうございます。貴方に教わった奥義。必ずや自分の物にします]
[終わりか。さあ、次にしよう。今回は私の負けだ。烈火のシャクヤ]死神はマントを直し指を鳴らした。金網の舞台が消える。
[ガクッ…………終わった。兄さん、キョウカ。肩を貸してくれないか?][スノちゃん。回復を][ザーザー。スノ………スノ。了解でスノ!お疲れさまでスノ!]
[次は誰だ?][私ね。シルバーオックスはサポートして欲しいしトウゴウは分析して欲しいしね。あのオバサンとやるわ。ネー良いでしょ?][構わんが][わかった。奴だな][…………ウッググ………気をつけろ。キョウカ][カツカツカッ。わかってるわ。ありがとう。シャクヤ。お疲れさま。チュッ][…………なんだよ。疲れてんだから。力、使いすぎたよ。俺。少し休ませてくれ][わかったわ。後は任せなさい。私たちに]
[ネーお嬢ちゃん。マーダー?早くしなさいな。お姉さんを待たせないで]
[よし。役者は揃ったな。サア。次のステージを用意しよう。次はコレだ!]再び死神が指を鳴らした。
続く