初めての敗戦 その9
[チェンジ!ドリルアーム]
チュウィーン。
トウゴウの腕がドリルに換わる。[至近距離ならカードの詠唱時間もないはず]バックステップで回避するメイジ。[いつまで逃げられるかな?]トウゴウが踏み込む。[ホウ。考えたな。カードオープン。ジャック!]
シュピッ!グロロロッ
カードのジャックを投げるメイジ。カードから鷲が召喚される。
ピィキィー
鷲は素早く舞い降り、クチバシでトウゴウをつついた。[イテテテッ………なんだ?こいつ][ピュー。戻れジャック]メイジの肩に乗るジャック。[いい子だ。ジャック。ファイヤーバードに換われ]ピィキィー
ジャックは再び舞い上がり、翼を広げ火の鳥に変身した。急降下するファイヤーバード。[なんだと?火の鳥だと?]ガードを固めるトウゴウ[チェンジ!シールドアーム!]量腕が展開し盾になる。
ガガガガガッ!ズズズー!
後ろに後退するトウゴウ。ジャックは再び舞い上がる。[ケッ。キョウカがいりゃーな。水虎の力があるのに。待てよ。奴は手薄だ!魔法を召喚してる間、何もしていない。本体はそこか!][行くぞ!メイジ!チェンジブーストレッグ!]トウゴウの両足にローラースケートが出る。[ヘッ。本当はシャクヤに教わったんだがな。借りるぜ列!]
量腕にシールドをしたまま、体を丸めて足を滑らす。[ソウリャー!ショルダータックルじゃい][フン。ジャック!ホールドカード!エース。カードオープン!]
シュピッ。グロロロッ
鋼鉄の槍を持つ剣士が現れる。
スカーン
槍で地面を叩き、衝撃波を発する。その波動で吹き飛ばされるトウゴウ。[クッ。かすっただけだ。無駄に踏み込めないな][戻れエース。行け!ジャック!]
ピィキィー
ジャックは旋回しトウゴウを狙う。[フッグッ…………ヤバイ!衝撃波の威力でガードを下げていた]ダイレクトに攻撃を食らうトウゴウ。[ナゼだ?詠唱時間がほとんど無い。こんな強い者を召喚しているのに][戻れジャック]回りながら落ちてくるトウゴウ。[熊のクイーン。鷲のジャック。剣士のエース。読めない。どのカードを投げるのか。シルバーオックス。法則性はあるか?][カードの法則性?イヤ無い。その場に合ったカードを投げている。言わば主を守る守護神。そう。そのカードは守護神なのだ。あるいは体の一部。いずれにしてもバランスが取れている]
[やはり。間違いない。あれは古代魔法。封印されし力。しかしナゼ奴が?]ムーンドゥースは顎に手を当てた。
シルバーオックス、鋼のトウゴウ。これは大変な事になったぞ。そもそも失われた力。解析など無理なのだ。あの魔法は、おおよそ1万年前の秘法。継承者などいなかったのだ。先ほどシルバーオックスの言っていたファウスト。それが奴なのか?…………ムーンドゥースは静かに椅子に座った。
初めての敗戦 完結
次回、黙示録