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風に吹かれて  作者: cyabo
8/14

いなさ 参

更新!






ーリィィィィィィイィィンー







静寂を破るように




塊が微かに震え鈴が鳴るような音が聞こえ始める。




それと同時に体の芯から何かを突き破らんとする痛みが体中に広がる




「くぅっ………」



うめき声がもれる。




なにこれ……




「クケケケケケックケヶ」




腕の中にいたケイルが急に鳴き出し必死に腕から逃れようともがく、




この鳴き方はかなり切羽詰っている時にしか出さないので素直に開放する。




「く…」




腕を少し動かすだけでもものすごい気力と体力が消耗される。





ケイルを下ろした後ゆっくりと塊のほうを見る。





黒い実は相変わらず振るえながら浮んでいる。






ーリィィィィイイィィンー






「あら…あなた達、イグドラシスの実に惹かれているわね…

ドブネズミもアネモスも鍵の解除をしていないから力が抑制されて苦しいのね。」





なんて言いながらイスから立ち上がりこちらに近付いてくる。




「?」

なに?どうゆう事?

惹かれるとかアレに!?嫌なんだけど…

ケイルも鍵がついてるってどういう事?まったく持って聞いてないんだけど…




私は眉間にしわを寄せケイルを見る。




ケイルは相当苦しいのか床に爪を立て耐えている。


パチン、パチンとケイルの周りで小さい雷まで出てきている。




んーケイルに鍵………まぁ、考えても仕方ないか。




ちょうど考えるのがめんどくさくなった時、背後から艶やかなこえが聞こえた。





「んー何度見ても綺麗な背中だゎ……

胸もお尻も可愛らしいけどこの背中が一番よね………

…………なんで男じゃないのかしら

男だったらぜったいベッドの上で官能しつくすのに………」



うっとりとしかし残念そうに言い放った。







………ヤバイ…鳥肌が……







…男に生まれなくて良かった……ある意味男に生まれていたら天国……


いやシス姉様の性格だったらひたすら女王様だから地獄だ……





なんてどうしようもない事を考え寒気と鳥肌を自分から招きよせてしまった……





「あらッアネモス、なに考えていたのかしら…」





なんてうれしそうな声が後ろから聞こえ、背筋をツッとなでられる。




「ひッ」



体が微かに跳ね声が出てしまった。




「んもぅ…そんなにおびえないで頂戴、鍵の解除するだけなんだから……」




そんなうれしそうな声で言われても安心できるか……!!




「まったく安心できませんて顔してるわねーうふふ…いいのよ安心なんてしなくてそっちのほうが燃える…じゃなくて鍵の解除しやすいから。」




クソッ!気にしたら負けだ!!

こうなったら早く鍵の解除してもらってこの痛みからも解放してもらおう。




「………シス姉様、鍵を解除するなら早くして………」




「あら、つれないわね……まぁいいわ」






少し残念そうに言ったシス姉様は私の首の後ろに手を置いた。



私の体に無意識に力が入る。









ーリィィィイイィィンー









黒い実の音がやけに耳に響く。





シス姉様が詠う



《月は満ちた雛は育ち空に旅立つ》



シス姉様の手が背中に移動し紋様を刻んでいくのが敏感になった肌から感じる。


紋様を刻むたびに体の中から甘い痛みが湧き上がる。


開放される喜びが心の底から湧き出る。


その2つが体と心を支配してすべてが白に包まれる。




「あぁ……」




半開きになった口から言葉にならない音が漏れ出る…


なおもシス姉様は言の葉をつむぎ続ける。



《異界の雛はその大きな翼を広げる我は雛を見守る空、

オプシオス・エイス・アイオーン・アレリャーノ》




《今枷を外し檻を壊す!!》



「ぁああぁぁ……ッ」

シス姉様が詠い終るのと同時に体の奥から熱いものが溢れ出る…



おなかの奥が熱い…ヤバイ…絶えられない…



思わずしゃがみこんで片手を床に着く。



プルプルと体が振るえ、パタパタと床に涙が落ちる。



「んーやっぱり完璧に解除すると背中の紋様が綺麗に浮き出るわ、

仮解除にしようと思ったけど完璧な解除にしてよっかったわ。さて次はドブネズミね……」



何とか鍵の解除による激しい熱の波をのりきった私の耳にシス姉様の声が聞こえてくる。


ふぅ…しんどかった……


ゆっくりと2回瞬きをして眦にたまった涙を落としきる。




クリアになった視界に宙に浮かんだケイルの姿が映る黒い塊の影響か少しぐったりしている。





珍しくシス姉様がケイルに触る。

その触り方はいつもの乱暴さは感じられないやさしいものだった。




「イグドラシスの実が無かったら絶対にこの鍵解除しなかったわよ?感謝なさい…」




と私には理解できない会話をケイルと交わしている。


ケイルも今回はしっかりとシス姉様を見つめ二又に分かれた尻尾を揺らしている、きっと念話で会話しているのだろう。




「ふんッ…そんな風に思うなら一生私と妹であるアネモスに仕えるがいいわ…」



会話がひと段落したらしい。




シス姉様が小さく息を吸い口を動かし始める。




しかし私にその声は聞こえず黒い実が発する音しか耳に聞こえてこない…




ケイルが苦しそうに身悶える…

ケイルの角と鱗がチカチカと光だし

ケイルの回りにバチバチと電気の塊が現れたり消えたりを繰り返している。




そして1回直視出来ないほどの光が放たれた。





「うわ……」





そのまぶしさに耐え切れず思わず顔を背けて目をつぶった。





やっと鍵の解除まできました!






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