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勇者、不在。〜俺の国だけ勇者がいないので、俺が暗躍する事にした。〜  作者: 片桐 りのん
リロテット国編

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7/7

エピローグ アラタナ、セカイ。

 人通りもすっかり減った夜更け。


 ハレトは裏路地の古物商の店に来ていた。

「わるい、ちょっと遅れた」

 軽く謝る。

「ほんとに悪いと思ってるのかしら…?」

 面前には不貞腐れるリリスの姿。

 ハレトは卓上の紅茶を飲む。

 一息ついた後、リリスに話しかける。

「容態は?」

 端的に訊く。

「向こうで寝てる」

 リリスは部屋の奥を指さす。

 部屋の隅にあるベッドを見る。

 そこには、勇者を殺した際に助けた少女がいた。

「まったく、急に来た時は驚いたわよ」

「アンタ全身血だらけで、背中にあの子をおぶって来てさ」

 縮こまる彼。

 リリスは追撃する。

「それに、勝手に渡した上で『あとは任せる』って言って、どっか行くし…」

 まだ、言う。

「着替えとベッドの用意、大変だったのよ?」

 反論の余地、無し。

 ハレトは机に金貨を並べ始める。

 その数、15。

 パンを1年食べられる金額。

「……」

 ハレト、無言の反撃。

「…まぁ、いいわ」

 それを胸に収めていくリリス。


 ハレトは話を変える。

「それで、アレは――」

「無理だった」

 言葉を遮る。

「リロテットは何一つ勇者の情報を記録してなかった」

「勇者が口にしていた『愚民ども、我にひれ伏せ』って口にすると、脳が破裂したっていう噂だけ」

 ハレトは頭を掻く。

「クソっ、アイツの名前さえ分かれば――」

「勇者の力が使えるかも、って?」

 言葉を遮る。

「それは難しい話よ」

 メガネを指で押し上げて話す。

「あくまで、万面は人に変身できるってだけのシロモノ。」

「そもそも、勇者の力は女神の加護によるものでしょ?」

 円卓の上に座って話を続ける。

「仮に力が使えたとしても、先に体が壊れるわよ」

「それでもハレト、戦う理由は――」


「ある。」


 迷いなく答える。

「俺は『勇者』を全員殺すまで戦う」

 眼には復讐と覚悟。

 その答えにリリスは、これ以上なにも言わなかった。


「…んぅ」

 少女が起きたのはしばらく経った後だった。

 ハレトが近づき、声をかける。

「大丈夫かい?」

 彼女は最初こそ不思議そうな顔をしていたが、顔を見て彼を思い出すと、


「マスターぁ!」


 そう言い抱きついてきた。

「へ?」

 時が止まる。

「ハレト、そういう趣味が…」

 距離が離れていくリリスに対し、

「…………………ぁえ?」

 脳の思考が追いついていないマスター、ハレト。

「へへ、マスターあったかぁい!」

 脚に抱きつく少女。

 状況が収束しない、ただそれだけ。


 30分後、ハレトが少女に話を聞くことに。

「君の名前はなんだい?」

「うーんとねぇ、ワタシはぁ――」

 見つめる2人。

「わかんない!」

「わかんないかぁ…」

 微笑むリリス。

「ねぇ、名前つけてあげたら?」

 急に言われるハレト。

「えっ」

「うーん、そうだなぁ…」

 刹那、浮かぶ1つの単語。


『ルカ』


「『ルカ』はどうかな?」

 少女の顔を見つめる。

「『ルカ』、可愛い名前!」

 笑顔を見せ、喜ぶ『ルカ』。

「思ったより良いじゃん」

 肘で脇腹を突くリリス。


 ハレトは急にリリスの方を向く。

「なぁ、1つ頼み事していいか?」

「…なによ」

 両手を合わせて、


「ルカをここに住まわせてくれないか…?」


 と言った。

「…はぁ」

「そんな事だろうと思った」

 彼女は笑う。

「いいわよ」

「ただし、金はたんまり貰うけど♡」

 リリスは魔性に微笑む。


 緩やかで心地よい時間が流れている。

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