第1話 ハジマリハ、オワリカラ。
鮮やかなステンドグラスの窓、山積みの書類、秒針が動く音。
部屋の扉が開き、白い軍服を着た少女が入ってくる。
彼女は部屋を見た瞬間、ため息を吐いた。
そして、床を埋め尽くす書類を踏まないよう、一歩一歩慎重に部屋の奥へ進んでいく。
部屋の端、書類の山の中で毛布に包まっている何か。
それが彼女の目的だった。
彼女は声をかける。
「副団長、起きてください。」
起きない。
「副団長、起きてください!」
だが、起きない。
深く深呼吸して、
「起きろ!!」
不安定な書類の山が揺れ始める。
声圧により書類の雪崩が発生、少年に襲いかかる。
[ドサササササッ!!!]
しばらくして、雪崩の中から動く人影が。
「イタタァ…」
その声とともに現れたのは、肩まである長い青髪が特徴の少年だった。
彼女は半分呆れたような声で、
「しっかりしてください、『副団長』」
と声を掛けていた。
ハレト=ルーセント――アスタリア帝国騎士団副団長。
わずか16歳という若さで、アスタリア帝国騎士団の副団長に上り詰めた実力者である。
ハレトは苦笑いしながら、
「いつもありがとう、リアナ」
と返答した。
ハレトの補佐であるリアナ=ガーネットは、毎朝、ハレトの部屋へ呼びに行くのが日課となっていた。
「それでどうしたんだい?」
「いつもとだいぶ様子が違うようだけど」
リアナは一息置くと、
「『召集』です」
と答えるのだった。
レティアーズ城――アスタリア帝国の帝都にある、アスタリア帝国騎士団の拠点である。
レティアーズ城の1階、大広間に騎士団は集められていた。
リアナは台に立つと、
「我々は今回、『召集』された」
「相手はリロテット国、勇者有りという情報だ」
「軍は6割方壊滅」
「王の許可により、軍からの救援要請を受諾した」
「明日、帝国の東側にあるナートバ高原へと向かう」
淡々と紙に書かれている事を述べていく。
アスタリア帝国は3年間戦争で勝っていない。
帝国騎士団は帝王直属の近衛部隊だったが、最近は兵力の不足により戦場に駆り出される事が増えた。
帝国は兵力が不足しているという現状だ。
騎士団員の反応は最悪だった。
『勇者』という単語を恐れている。
『勇者』と戦うというのは死にに行くのと同じだと、彼ら自身よく分かっているのだ。
この戦で負ければ、帝国が滅亡するのは時間の問題となる。
しかし、『勇者』と戦うにはあまりにも兵力不足。
勝ち目は無い。
この終末的状況、どう打開しようか?




