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勇者、不在。〜俺の国だけ勇者がいないので、俺が暗躍する事にした。〜  作者: 片桐 りのん
リロテット国編

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2/7

第1話 ハジマリハ、オワリカラ。

 鮮やかなステンドグラスの窓、山積みの書類、秒針が動く音。

 部屋の扉が開き、白い軍服を着た少女が入ってくる。

 彼女は部屋を見た瞬間、ため息を吐いた。

 そして、床を埋め尽くす書類を踏まないよう、一歩一歩慎重に部屋の奥へ進んでいく。


 部屋の端、書類の山の中で毛布に包まっている何か。

 それが彼女の目的だった。

 彼女は声をかける。

「副団長、起きてください。」

 起きない。

「副団長、起きてください!」

 だが、起きない。

 深く深呼吸して、


「起きろ!!」


 不安定な書類の山が揺れ始める。

 声圧により書類の雪崩が発生、少年に襲いかかる。

[ドサササササッ!!!]

 しばらくして、雪崩の中から動く人影が。

「イタタァ…」

 その声とともに現れたのは、肩まである長い青髪が特徴の少年だった。

 彼女は半分呆れたような声で、

「しっかりしてください、『副団長』」

 と声を掛けていた。


 ハレト=ルーセント――アスタリア帝国騎士団副団長。

 わずか16歳という若さで、アスタリア帝国騎士団の副団長に上り詰めた実力者である。


 ハレトは苦笑いしながら、

「いつもありがとう、リアナ」

 と返答した。

 ハレトの補佐であるリアナ=ガーネットは、毎朝、ハレトの部屋へ呼びに行くのが日課となっていた。

「それでどうしたんだい?」

「いつもとだいぶ様子が違うようだけど」

 リアナは一息置くと、


「『召集』です」


と答えるのだった。




 レティアーズ城――アスタリア帝国の帝都にある、アスタリア帝国騎士団の拠点である。

 レティアーズ城の1階、大広間に騎士団は集められていた。

 リアナは台に立つと、

「我々は今回、『召集』された」

「相手はリロテット国、勇者有りという情報だ」

「軍は6割方壊滅」

「王の許可により、軍からの救援要請を受諾した」

「明日、帝国の東側にあるナートバ高原へと向かう」

 淡々と紙に書かれている事を述べていく。


 アスタリア帝国は3年間戦争で勝っていない。

 帝国騎士団は帝王直属の近衛部隊だったが、最近は兵力の不足により戦場に駆り出される事が増えた。

 帝国は兵力が不足しているという現状だ。

 騎士団員の反応は最悪だった。

 『勇者』という単語を恐れている。

 『勇者』と戦うというのは死にに行くのと同じだと、彼ら自身よく分かっているのだ。

 この戦で負ければ、帝国が滅亡するのは時間の問題となる。

 しかし、『勇者』と戦うにはあまりにも兵力不足。

 勝ち目は無い。


 この終末的状況、どう打開しようか?

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