ERROR 01 役立たずの鑑定士
「……やっぱりそうするしかないか」
勇者パーティーのリーダー、アルドがため息をついた。
俺はその言葉を聞いた瞬間、ああ来たかと思った。
「ルクス。お前を今日限りでこのパーティーから追放とする。」
周りにいた仲間たちも目をそらす。
戦士のガルド、魔法使いのミリア、神官のセラ。
みんな気まずそうな顔をしていた。
まあ当然だ。
俺の職業は鑑定士。
武器やアイテムの情報を見るだけの地味な職業だ。
戦えない。
回復できない。
魔法も使えない。
つまり──戦闘では完全な足手まとい。
「……わかってる」
俺が答えると、アルドは腕を組んだ。
「正直に言う。今まではお前を荷物持ちとしてパーティーに入れていたが、ここから先のダンジョンは危険だ。お前を連れていく余裕はない」
ついに来た。
勇者パーティー追放。
「だから――今日でパーティーを抜けてくれ」
やっぱりか。
胸が少しだけ痛んだが、驚きはなかった。
むしろ今までよく持ったほうだ。
「……そうか」
俺は背負っていた荷物を下ろした。
ガルドが気まずそうに言う。
「悪いな、ルクス」
「気にするなよ」
本当に仕方ない。
戦えない仲間なんて、ただの荷物だ。
俺は荷物の中から自分の分の装備だけを取り出した。
アルドが最後に言う。
「今までありがとな」
「……ああ」
それだけ言って、俺はダンジョンを後にした。
⸻
夕方。
俺は一人で街へ戻る途中だった。
「はぁ……これからどうすっかな」
鑑定士の仕事なんて、普通は商人の店くらいしかない。
冒険者としては完全に終わりだ。
そのときだった。
道端で、妙な剣を見つけた。
錆びたボロボロの剣だ。
「こんなの誰が落としたんだ?」
何気なく鑑定してみる。
いつものように、頭の中に文字が浮かぶ――はずだった。
だが。
その瞬間。
世界が一瞬だけ歪んだ。
そして、俺の視界に見えた文字はいつもと違っていた。
⸻
〈鉄の剣〉
攻撃力:12
その下に、見たことのない文字が表示されていた。
⸻
〈ERROR〉
本来の攻撃力:248
⸻
「……は?」
俺は思わず声を出した。
さらに、その剣をよく見る。
すると――
剣の周りに、まるで割れたガラスみたいな線が見えた。
触れると、
パキッ
と音がした気がした。
次の瞬間。
⸻
〈鉄の剣〉
攻撃力:248
⸻
表示が変わった。
「……は?」
もう一度言った。
いや待て。
今のは何だ?
俺は剣を振ってみる。
ブンッ
空気を裂く音がした。
さっきまでのボロ剣とは、明らかに違う。
「……嘘だろ」
もう一度鑑定する。
⸻
〈鉄の剣〉
攻撃力:248
⸻
「……」
つまり。
この世界には――
“バグ”がある。
そして俺には、それが見える。
俺はゆっくりと空を見上げた。
「……もしかして」
勇者パーティーを追放されたその日。
俺はこの世界で一番、とんでもない能力を手に入れてしまったのかもしれない。
ままままです。初めてなろうに投稿してみました。これからよろしくお願いします!




