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夜の学校、探検しませんか?  作者: 三日月 帆立


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1/4

集まった8人

:登場人物:

主人公

今作の視点、彼と7人はいつも遊んでいた。よく三城が偶然にも悪い役(鬼ごっこの始めの鬼)などに当たっていた。


:長良 一色:(ながら いっしき)

イツメン。成績優秀、運動神経もいい陸上部の中間層。


:戌屋 優紀:(いぬや ゆうき)

イツメン。三城に対し罰ゲームで告白し、つい先日まで付き合っていた。


:鷹芽 桜:(たかめ さくら)

イツメン。戌屋を実は好きだった。


:央方 千裕:(おうかた ちよ)

イツメン。おじいちゃんっ子で昔からよく遊びに行っていた。おじいちゃんと同じで待つのが嫌い。


:白又 白夜:(はくまた はくや)

イツメン。ハクハクのあだ名で学年から周知されているムードメーカー。


:伊井茶屋 蘇芳:(いいじゃや すおう)

イツメン。名前読まれにくいランキング学年トップであるが、成績は逆。音感が人よりあるため、合唱祭のピアノも担当したことがある。


:三城 七日:(さんじょう なのか)

イツメン。いつもなにかとドジを引いてしまう子、鬼ごっこの鬼や、ドッジボールの最初の的など、クラス中からも不幸体質だと思われている。

「全員集まったね…」

「お前が肝試しなんて珍しいな」

「え? 私じゃないです」

「は? じゃあこの手紙は?」


 全員が真っ白な便せんに、赤いペンで書かれた肝試しの挑戦状が送られてきた。頭文字のNで皆、長良ちゃんの招待だと思っていた。校門も、校舎の裏口も全て鍵が開いており、職員準備室に23時半に集合と書いてあった。7人は数分の遅れはありつつも、全員揃っていた。1学年前から仲のいいグループで、いつも休み時間に教室から集まって遊ぶほど仲がいい。


「長良の招待じゃないのか…そいえば陰陽はまだなのか?」

「まぁあの子いつも遅いし? ねぇ? 戌屋」

「なんで俺に振るんだよ! あいつに罰ゲームで告白させたからってよ!」

「てか暗くね? あーし電気つけるわ」


 鷹芽が準備室の電気をつける。一瞬白くなった視界に人間の目が適応し、準備室の中がはっきり見える。机の上には8人分の懐中電灯があり、時計は22時44分を過ぎている。一番待つのが嫌いな央方が懐中電灯を一本取る。

「あんな奴これ以上待つ価値ないわ、行こうぜ」

 そう言って準備室から出て行く。コツコツとブーツの音が遠ざかっていき…

「うわあぁぁぁ!」

 叫び声が聞こえた。場にいた残りの6人も、懐中電灯を持って叫び声の方に走る。途中で戌屋が、

「くっさ…血の匂いがする」

 と言った。誰もが不安を煽られながら、央方の所にたどり着いた。


「うわ…」

「おいおいマジかよ…!」

 そこには見るも無残な三城の姿があった。お腹からはらわたが飛び出し、内臓も出ている。吐き気を催す光景…鷹芽が窓を開けようと手をかけた瞬間、キン、と甲高い音を立て窓の錠は折れてしまった。

「と、とりあえず電気、電気!」

 狼狽えながらも白又は、近くの廊下のスイッチを押した。


 改めて三城が死んでいる。鼻や目からも血が流れているが、致命傷は腹を切り開かれていることだろう。

「…一番遅かったの誰だよ」

「な…俺が殺したって言いたいのかよ!」

「考えらんないだろうが普通!」

 今日最後に到着した伊井茶屋を、訝しんだ目でみんなが見る。それに腹を立てた彼は、懐中電灯も持たずにズカズカと階段を上がった。


「教室の忘れもんとって帰るわ! じゃあな!」

「おい! 警察だろうが! 逃がさねぇぞ!」

 戌屋が後を追いかけ、暗い階段の電気をつけながら上がる。と、次の瞬間バチンと大きな音がして電気が消える。

「いや、いやぁ!」

 一人の悲鳴を皮切りに、暗闇の中を一斉に駆け出した。階段を駆け上がる音廊下を走る音が反響し、何人が、どこへ走ったかもわからず、気が付けば準備室にたどり着いていたのは僕だけだった。


 

 僕は肩で息をしながら、懐中電灯をつける。暗い中よくもまぁ、準備室に駆け込めたものだ。懐中電灯をつけると、鉄製のロッカーに学校の見取り図がマグネットで貼られていた。この学校は一直線に作られており、3階と4階は増設されてL字に、屋上は2か所Lの真反対に付けられている。


「とにかく皆を探さないとか…一人でも合流できれば」

 その前に外に出れるかを確認したい、そう思って裏口のカギを見る。鍵は差込口があるタイプで、入ってきた時の様には開かなかった。誰かが閉めたか、外からしか入れないのか。準備室に入るには職員室隣のドアか、この裏口しかないため、外から入られても問題ないのかもしれないが…前者の可能性が高いと判断した。なぜなら、既に一人死んでいるからだ。


 職員室のドアをそっと開ける。ここのカギは閉められていない様だ。入り口すぐ横の鍵保管箱を開ける。中は明らかに荒らされており、校舎の外に通じる鍵は軒並みねじ曲がっており、使えないようになっていた。代わりに、各教室のスペアキーだけは壊されていない。


 職員室も、廊下も電気をつけようとしたが押してもスイッチが付かない。ブレーカーが落とされている気がするのでまずは発電室に行った。発電室は放送室横の地下階段から入ることができ、暗い数十段降りると、目の前に大きな発電機が現れる。この発電機が、昼夜問わず働き日々の生活で暑い夏や寒い冬から生徒も守っている。


……はずなのだが、今は静まり返っている。燃料計は満タン、一切の問題はなさそうだ。

「……ふぅ、よし」

 発電機の動作レバーを思い切って下げ、発電機が唸り声をあげる。発電室が騒音で反響し、誰かが叫ぶのに近い音が出ている。

 

 バン!


 大きな音を立てて発電機が止まる。発電室には発電機の横に、電源供給ができているか確認できるパネルが点滅している。発電室と、給食エレベーター。3階の増設部分に電気が通っている。

「なんでまた中途半端な…」

 そこまでして、異臭に気が付く。何かの焦げるような臭いが発電機の陰から…そぉっと覗くと、そこには黒焦げになり、目玉が飛び出た長良の死体があった。よく見ると、彼女の服に発電機とその先の配線が通されているではないか。


「まじかよ…」

 目先の希望に捕らわれ、周囲に人が居るかを見ていなかったし、そもそも発電室は鍵がかかっていた。誰も入っていない。そういった先入観があった。これは現実じゃない、そう思おうとするが、目の前の光景、そして発電機に張られた一枚のメモ、先ほどは暗くて気が付かなかった。

『鍵、開いてたよ?』


 まるで自分の疑問に回答するかのようなメモ、これは現実、誰かが確実にやっている。止めなくては…

「ごめん、長良」

 彼女の死体を背に階段を上がった。人間の焼ける臭いは焦げたパンの様な臭いだった。



 給食室へ入り、ドアを閉める。今度こそカギがかかっていた。いつもは扉が完全に閉まると電気がつく仕様だが、今日は通電していないのでつくことはない。が、給食のなべなどを上層階に運ぶ専用のエレベーターが通電している。どうやら今は3階にあるようだ。と、


ゴウンゴウン


 エレベーターの表記が3階から4階になり駆動音が響く。そして1階の呼び鈴ボタンが黄色く点灯した。僕は考え込む。

(エレベーターを呼ぶべきか? 何者かの罠の可能性は?)

 辺りを見回してもあるのは給食を運ぶワゴンだけ、調理室に入るカギはない。仕方なく呼び鈴ボタンを押した。


チーン! 


 呼び鈴が鳴り駆動音が響く。3階、2階…最後に1階。グシャっと、何かがつぶれる音が足元から聞こえる。足元と言うよりはエレベーターの下か? 意を決してエレベーターの扉を上げる。そこには目に釘を打ち込まれ、頭部だけになった鷹芽が入っていた。

「ヴォエ」

 横にあった給食の鍋をとっさに掴み、嘔吐する。さすがに耐えきれなかった。まだ胴体と離れてあまり時間が経っていないのか、首と目からは真っ赤な血が滴っている。


 数分でどうにか立ち上がり、おでこに付けられた張り紙を見る。

『あーあ、エレベーター下には央方いたのになぁ』

 なんということだ。それが本当であれば、僕は2人殺したことになる。足が、足がガクガクと震える。尿意も感じ2階のトイレへ走った。1階は教員用トイレしかないからだ。



 2階の男子トイレの個室に入り、思わずため息をつく。懐中電灯はここまで肌身離さずに持っていた。あまり点けていないので、電池は少なくないだろう。

「二人、二人も殺したのか…?」 

 自問自答する。答えは誰も返してくれない。そう思っていたが、


コツ…コツ…


 誰かの歩く音が聞こえる。しかし早くは歩いていない。


キン…キンキン…


 金属音もする。絶対にこの殺人、皆を集めた本人だ。そう思い必死に息を殺し、個室で震える。音は次第に遠ざかり、ついに聞こえなくなった。静かに扉を開け、トイレから脱出する。床には赤いラインが引かれ、時間が経つにつれ黒く変色し始めた。どうやら、血のようだ。そしてそこに一枚のメモがある、

『そんなんじゃ見つかっちゃうよ?』


 何者かはあえて、僕を見逃した。そう解釈できる文章だし、実際そうなのかもしれない。階段と逆方向を向くと、誰かが経っている。暗くてよく見えない。

「おい! おーい!」

 ユラユラと立っており、確実に体系的に白又な気がする。

「おいってば! 白夜!」

 月明かりが彼を照らす、顔は風船で、体は天井からピアノ線で吊りあげられていた。次の瞬間頭の風船がパン!と勢いよく破裂した。中から一枚のメモが飛び出す。

『逃げ場はない、どこを探してもね』


 3階と4階を繋ぐ階段、増設部分に来た。ここを調べればあとは屋上だけ、と言うより血は階段の上へ繋がっていた。道中の教室には特に何もなかったため、足早に階段を上る。しかし、4階の階段を上り切ったところで血痕が消えてしまった。まるでここで出血が終わったかのような突然の消え方をしていた。


 4階の一番奥の教室、音楽室だ。そこから音楽が流れて、廊下に響き渡っている。防音室仕様の音楽室なので、3階では一切聞こえなかった。そっと扉を開けると椅子に拘束され、ピアノを弾いている伊井茶屋がいた。

「蘇芳お前何してんだ」

「な、なぁその斧、外してくれないか? 外れないと止まんねぇんだ」


 見ると何かの機械が接続されており、バツ印が二つ付いている。そもそも彼がいる場所に僕が辿り着くまでには机とガムテープで作られたバリケードを超えなければならない。そしてバリケードには、

『三回音を外すと死んじゃうよ?』

 と書かれていた。ほんとのデスゲームだ。


「今行くからな!」

 ガタガタ音を立て、バリケードを上る。

「あ、あまり大きな音出すな! 音が聞こえない!」

 頂点まで昇り一気に飛び降りたその時、


ブー!


 シュンと言う音と共に、伊井茶屋の体に斧が振り下ろされた。

「カヒュ」

 か細い声を上げて胸を砕かれ、痙攣する彼を前に何もできない。

「ぉ、お前な…」

 蘇芳が何か言っているのですぐさま駆け寄った。


「お、おれを…縛った奴は屋上に…そいつ、は」

 そこで彼はこと切れてしまった。徐々に冷たくなり、瞳孔の開いた眼をそっと手で閉じて怒りを押しとどめる。

「もっと早く来ていれば…!」


 絶対に許さない。そう決意し、最後の階。屋上へ向かった。





屋上に上がる、鍵は掛かっていない。キィと音を立てた鉄ドアはガチャンと閉まった。L字の角に立ち街を見下ろす。


コツ…コツ…


 足音がする。金属音は聞こえない…振り返る事はしない。足音は後ろ、人一人分ほど間を開けて止まる。


…後ろにいるのは、、、

今まで出会っていないのはそう、彼しかいない。震える足に力を入れ、僕は叫んだ。


Aルート

「優紀…お前だ!」とばッと振り返る。


Bルート

「なんでお前だけ生きているんだ… 戌屋!」と、振り返る。

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