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月光風靡 ヤミノシズク  作者: 青紙 ノエ
Freesia refracta 始まり
4/13

楽園リスィー

 目の前で起こる突然の離婚劇・・・。

 

 ロキシリアとイデュイアを罵倒し、姿を消した望月 葵。

 車の運転を村沢 律へと変更し、改めて編入先の高校へと向かう四人。


 律の姉、花音はその車中で終始、笑顔であった。


「ほら、見えてきたわよ」

 花音は楽しそうに指をさした。


 ゆるい坂道を上りきると、途中まで解放された重量感のある門が見える。

 

「私が開けてくるわね」

「大丈夫よ」

 車を降りようとした花音・・・もとい、母さんをイデュイアが呼び止めた。


「ロキ」

 そう言ってアゴを門に向ける。

「はーい」


 ロキシリアは気だるそうに人差し指で門を開ける動作をする。


 ゴゴー! ガシャン! っと大きな音を立てて門は開き、門はストッパーに当たり止まった。


「ガサツ・・・」

 イデュイアは鼻で笑うように言った。


「すごーい! 今の何!? エスパー!?」

 盛り上がる花音をよそに、車は駐車スペースへと到着をした。


 四人は車を降り、校舎へと向かう。その間にも先ほどのことが気になるようすの花音。

 花音はロキシリアの腕に纏わりつきながら、先ほどの能力について聞きたがっている。

 

「花音! ロキにまとわりつくな! ロキは私のものだ!」

 イデュイアは花音に対し、イラついたように怒鳴りつけた。


「コラ、イデュイアちゃん。私のことはお母さんかママでしょ? それに私は親なんだから、ロキは私のものでもあるのよ?」

「ウヌヌヌヌ・・・」

 イデュイアはさらにイラついたようだ。


「母さん、イデュイアは俺の大事な人なんだ。イデュイアが嫌がることは俺も嫌だ。でも俺たちを自分の子として見てくれるのなら、俺のことはロキと呼んで構わない。そして今は俺から離れてもらえる?」

「アーン・・・。わかったわロキ。で? イデュイアちゃんは?」

「ふんっ・・・。私もイアでいい・・・。でも過剰にロキに触れるな! ロキも私以外の女に触れさせるな!」

「はーい」


 何これ?

 この子達、姉弟(きょうだい)じゃないの?

 恋人同士みたいじゃない?

 可愛いんだけど!

 花音は心の中で思いつつ、校舎内へと向かった。

 


 

  〜・〜・〜・〜




 この学校の学園長室。広い空間に居間スペースがある。その奥にも部屋があるようだ。

 四人はその居間スペースにあるソファーに座らされた。


「初めまして、私が当学園の管理を任されている桐山 爽子(さわこ)です。フェンダーくんとエピフォンさんですね?」

 40代だろうか。気品のある趣は貴族を思わせる。


「はい、初めまして。ロキシリア・フェンダーです」

「初めまして。イデュイア・エピフォンですわ」


「言語の習得は問題が無いようですね? 先日提出していただいた試験の答案も問題は無いようです。二人とも当学院に編入できますよ。ようこそ国立FLOS高等学習院へ」

「ありがとうございます」

 ロキシリアとイデュイアは声を揃えた。


「早速ですが、先ほど環境省から連絡があり、望月さんは離婚をされるとか?」


 情報、ハヤッ!? っと言わんばかりの顔をする村沢姉妹。


「嫌ですわ。お恥ずかしいです」

「この件は国家機密です。この子たちは、ただの戦争孤児ではないのですよ? この子たちの里親として生活はできるのですか?」

「私の離婚とこの子たちは関係ありませんわ。それにあんなクズ野・・・失礼。元旦那と一緒ではこの子達が可哀想でしてよ?」


「まったく・・・。相変わらずの辛口トークね」

「桐山先生、私も姉のサポートを致します。どうぞ、この件は私たちにお任せ下さい。この子たちを立派な成人に育てます」


 桐山はニコッと笑いため息を吐いた。


「わかりました。上層部(うえ)には問題なしと伝えます」


 ハイタッチをする村沢姉妹。


「それでは説明を続けますよ。これはあなた達、リュコスの民、限定の学園規則です」

 桐山はそう言って、小冊子をロキシリアとイデュイアに渡した。


「簡単に説明をすると、身体能力を全開で解放しないこと。スポーツだけでも世界記録になってしまいます。あとは先ほど門を開けたような能力も禁止ですよ。地球上でそんな能力があるのはリュコスの民だけですからね」


「そう! あれは何ですの?」

 

 花音は先ほどの興奮が蘇った!


「あれは聖霊術。私は風と水属性。ロキはケツァクアトル様の加護を頂いているわ。風だけじゃなく水と雷撃も使えるのよ!」

 イデュイアはまるで自分の事のようにロキシリアの加護を自慢をしている。


「神からの加護なんて、フェンダーくんは素晴らしいのですね?」


 桐山からの言葉が嬉しかったのか、イデュイアは今にも エヘン! と声に出そうなくらいの顔をしている。

 イデュイアを温かい眼差しで見る、桐山と村沢姉妹。


「そうそう最後に。あなた達は姉と弟という事になってます。この学園にいる間は婚約者同士ということは伏せてくださいね?」


「はぁ!? 婚約者ぁ!?」

 花音の叫び声のような声が部屋中にリフレインした・・・。






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