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月光風靡 ヤミノシズク  作者: 青紙 ノエ
Freesia refracta 始まり
3/13

村沢家の人々ファミリア

 村沢 律より、現状の故郷についてと今後についての話を聞いた、ロキシリアとイデュイア。

 二人にとって、故郷の現状と親の訃報はあまりにも衝撃のこと。の筈だが当の本人達はあまり動揺したように見えない。

 逆に話の進行をする村沢が気を使っている様にも見えた。


 そして施設での全ての検査を終了したロキシリアとイデュイアは村沢 律の姉夫婦、望月家へと向かった・・・。



 ロキシリアとイデュイアが施設の自動ドアから出てきた。

 その後ろには律もいる。

 二人を待つように、律に似た女と線の細い男が二人を待っていた。


「初めまして、望月 (あおい)です。こっちは私の妻で律の姉の花音(かのん)です」

「ワオ! キャノン!? 本名?」


 ロキシリアが楽しそうにキャノンに聞いた。


「日本人は大砲(キャノン)を名前に使うの?」

「ロキシリアさん、姉の名前は花という漢字と、音という漢字で、か・の・んと読むの。大砲のキャノンでは無いのよ」

「あぁ、ごめんなさい。さっそく難しいですね。俺はロキシリア・フェンダーです」

「私はイデュイア・エピフォン。宜しくね、葵と花音」


 驚いた顔をする葵と花音。


「すごいね! 日本語はどこで覚えたの?」

「はぁ? ステータスの変更で可能ですよ?」

「ああ! 説明は後で! 早く車に乗って!」


 イデュイアがそう言うと、律は慌てたようにみんなを車に乗せた。

 もう、ステータスの事は言わないでって言ったのに・・・。


   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


 車を走らせ、今日の予定を律が話し始める。


「今日は土曜日で生徒も少ないから、あなた達が通う高校に行き、編入手続きをします」

「高校って何? 学校?」


 イデュイアは律の話に興味津々のようだ。

 その反面、ロキシリアは車窓から、無表情で外を眺めている。


「ルーナニアは8−2−2。小学校が八年、中学校が二年。高校は二年までが義務教育でしょ? 日本は6−3−3で、小学校が六年、中学校が三年。ここまでが義務教育。高校の三年間はフリーなの」

「お金がかかるの? 私たちはお金ないよ?」

「あなた達は国からの支援があるから大丈夫よ。 国というか全世界からあなた達、リュカスの民は支援の対象なの。あなた達はたまたま日本に来ただけ。他の国でもリュカスの民は保護を受けているの」

「私たち以外の狼人族が生きているの?」


 イデュイアがそう言うと、車が急停止した。


「狼人族って、どう言うことだ!?」

「花音? 話していなかったの?」

「言ったわよ」

「確かに聞いたけど、そんなこと実際にある訳が無いじゃないか!」

 息を荒くして葵が言う。


「あのMのマークの所にいる二匹、ルガットだよ」

 ロキシリアがそう言うと、葵と花音がその方向を見る。


「日本にもいるんだね。アイツらは自分がルガットって事もわかっていないみたい。ねえ律、今のうちにヤっとく?」

 律はため息の後にロキシリアに言う。

「ロキシリアさん。日本の法律ではノーよ。覚醒者だけ」

「ふーん。アイツらが覚醒しなければいいね・・・」


「ヤっとくって? ロキシリアくん、何で彼らがルガットだってわかるんだい?」

「瞳が獣の目じゃない? あとは匂い・・・ひどい匂いだわ。密室の車の中まで臭っているもの・・・」

 葵の問いに答えたのはイデュイア。

 イデュイアがそう言うと葵は青ざめた顔をしている。


「君たちは俺たちのことも殺すのかい?」

 葵はハンドルを見つめながらロキシリアとイデュイアに聞く。


「何で? 葵と花音は人間でしょ? ルガットと繋がっているの? 俺たちを殺そうと考えているの?」


 葵の顔は真っ青になり突然、車から降りてしまった。


「もうたくさんだ! 離婚だ! もうたくさんだ! 化け物と一緒に暮らせるか!」


 葵が車から離れると、花音の肩が震え出した。

 それは後部座席に座る、ロキシリアとイデュイア、律にも見えている。


「あははは! あぁ可笑しい! ロキシリアくんとイデュイアちゃんに感謝だわ! 離婚なんて、こっちから言ってやりたかったわ!」

 花音が高らかに笑っている。


「嫌な思いをさせてしまって、二人ともごめんなさいね・・・」

 律がロキシリアとイデュイアに頭を下げた。


「えー? 別に・・・。いいよ、人間から見たら俺たちは化け物でしょ?」

「違うわよ。ロキシリアとイデュイアは今日から人間の村沢 花音の子供。村沢 ロキシリア・フェンダーと、村沢 イデュイア・エピフォンよ。今日から私のことはカノンじゃなく、お母さんと呼びなさい。わかりましたか?」


「はーい。お母さん」

「よろしい!」



「いさぎよい離婚劇だこと・・・」


 村沢 律はそう言って外を眺めていた。




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― 新着の感想 ―
先が読めない展開、葵さんが離婚してしまうとは、いったいどうなるんだろう、続きが気になるよ、興味深い小説です。率直な感想でした。
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