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第5話 ゴミ拾い

 翌日。

 教室に入ってくる俺を待ち受けていたのは、雪菜ではなく、奈留だった。

 奈留は髪を黒髪へと戻し、スカート丈も長くなっていたから驚きだ。

 奈留はその様子だけ見せて満足したのか、俺の目の前から消えたが、一つだけ問題がある。

 待ち受けていたことにより、俺の噂は更に拡散、するかもしれない。


 それを解決したい、早く解決したいが、しかし今の俺には、もう一つの問題を解決するほうが重要だった。


 今日は土曜日。

 本来は休みのはずだが、ゴミ拾いをしなけれないけないようだ、もちろん学校行事で。

 俺はゴミ拾いのことを、きれいさっぱり忘れていた。

 というより、少し前の俺は、配布された行事一覧のプリントを確認していなかったわけだ。

 そしてどうやら、先生が決めたグループで、ゴミを拾わなければいけないらしい。

 こういう行事ごとは、友達同士で組むのかと思っていたけど、入学からまだ1週間しか経っていないから、先生が配慮したのかもしれない。


 閑静な住宅街にあるゴミ捨て場。

 待ち合わせ場所であるそこに向かうと、桜華が1番らしい、そこにいた。

 休みの日は普段と違う格好なのか、髪飾りを付けた桜華は手を振っている。


「和人くん! おはよう!」

「おはよう。その、早いんだな」

「リーダーだからね」


 微笑む桜華の顔が眩しい。

 なんだろう、このオーラ。

 ゴミ袋と軍手という最悪のアイテムを付与されているのに、眩しい。

 それと悪い噂が耳に入っているだろうに、一切聞いてこない優しさ。


「ねぇ、和人くん」

「ん?」

「和人くんって、普段なにしてるの?」

「普段……ゲームしたりアニメみたり、かな」


 オタク趣味を言うのは、悪手だったか。

 いや、こういうのは堂々と言わないと、例え相手が桜華さんだとしても。


「私もね、深夜アニメ見たりするよ」

「そ、そっか」


 桜華がアニメを見るだと!?

 たしかに最近は、深夜アニメが市民権を獲得しているかも、と思ったけど。


「うん。ビチ子ちゃんと陽キャ男とか」

「え? ビチ男みてるの?」

「うん。最初は名前が嫌だったけど、中身はちゃんとした恋愛で良かったー」


 ビチ子と陽キャ男。

 ビッチと呼ばれていた女の子が実は清楚系で、陽キャ男は実はゲーマー引きこもりだったという話だ。

 二人は、お互いの趣味を否定しつつも最終的には受け入れる。


 しかし、結構コアなアニメだから、驚いてしまう。


「二人の心情の変化がよかった」

「そうそう、キュンキュンするよね」


 桜華は、目を輝かせながら笑っていた。

 なんだろう、楽しい。

 まさか桜華にこんな一面があるとは思わなかった。


「そうなんだよ! 俺もあんな恋愛がして……あんな恋愛物がみたい」


 つい口を滑らせてしまった。

 恋愛したいとか、恥ずかしすぎる。


「ふーん、そっかぁー」


 桜華は、俺の盛った発言をスルーしてくれていた。

 コクンコクンと首を縦に振っている。

 さらに風が吹いたおかげで、桜華からシャンプーの匂いが漂う。


 こ、これは緊張する……


「私もね、徐々に距離を近づける恋愛、してみたいよ」


 ドキン。

 自然に上がっている口角。

 やわらかなボディーライン。

 正直、これ以上はきつい、色々な意味で。

 桜華から素早く視線を外すと、雪菜とクラスメイトの須藤が並んでこっちに向かってるのが見えた。


「あれー、二人ともはえー!」


 須藤だ。

 須藤は、学校のときと同じで、長い髪を上げていた。

 相変らずチャラそうだ。

 そしてその隣には、雪菜。


「俺、結構早く出たと思ったんだけど! みんなはやすぎでしょ!」

「そんなことないよ、ちょっと前に着いたところだから」

「そか、てか俺この組に入れるって超らっきー! 桜華も雪菜、さんも超かわいいわー」

「そんなことないよー」

「いやー違うって! そう、違わない! 羨ましいぞ和人っち、こんなかわいい子がいるなんて」


 須藤はそう言うと、俺に近づいた。


「その、関係がどうであれさ!」


 須藤は満面の笑みで俺を見ていた。

 そして俺が懸念していたことが今まさに起こっている。

 須藤は、人との距離が近いし、遠慮がない。

 この話をされたくない俺からすると、最悪だ。

 なおさら桜華がいる前では、この話をされたくない。


「それは勘違いで! 昔から仲がいいだけで、全て冗談で!」

「お? なんで慌ててるんだ?」

「須藤くん。私たちはただの友達だわ。学校で悪さをするね」


 ナイスアシスト、最後の言葉を除いて。

 流石、頼れる悪友。


「え? そうなの? でもいつも変態なこと言い合ってるだろー」

「……」


 予想外の質問。

 おい須藤。空気を読んでくれ。

 それと俺は、全く言ってないと思う。


「ふふ。この私が、そんなこと言うと思うのかしら?」


 無表情で雪菜は、須藤を見つめていた。

 そのあまりにも奇麗な氷の結晶みたいな表情をみて、須藤は一歩後退する。


「え? あ、た、たしかに! たしかにそうだ! やっぱ噂だなぁー」

「そうだよ。ところで――」


 話題を変えようとする前に、桜華が口を開いていた。


「でも、二人ってすっごく仲が良いよね」

「桜華さん。私はたしかにチョロインよ。でも和人くんは一途なの。桜華さんが考えているような仲じゃないと思うわ」


 首を横に振る雪菜を見て、なぜか違和感を覚えた。

 雪菜ってこんなやつだっけ。

 本来ならばもう少し俺をディすったり、エロい発言をしているような。

 もしかして、気を遣っているのか!?


「違う違う、そう言う意味じゃないの! ただ羨ましいなーって。幼馴染とか?」

「雪菜とは中学からの知り合いなんだ」

「そういうことでしたか!」


 桜華はそう言うと、腕時計を確認する。


「そろそろ行きましょうか!」


 ということで、雪菜のファインプレイのおかげで、軽症で俺は近くの河川敷に行くことができた。

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