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第2話 奈留

 昼休み。

 俺と雪菜は待ち合わせ場所である食堂に行くと、奈留と思わしき人物は手を振っていた。

 血色が良い肌、茶髪の女の子。

 少なくともチョロインのような感じではないが、いわゆる俺とは別な世界線を生きている女の子だろう。

 手首には未知の輪っかがあり、スカートの丈がやや短い。

 放課後は、友達とお喋りしたり、カラオケに行ったりしていそうな感じだ。


 明かに俺に用がありそうな女の子には見えない。

 俺は雪菜を見ると、雪菜は顎に手を当ててニヤリと微笑んだ。


「戸惑っているようね。桜華さんみたいな清楚系、でなくて」

「なにがいいたい?」

「私、気付いてしまったの。和人くんは清楚系の女の子を拉致監禁したいようだけど……」


 色々と突っ込みたかったが、余りにも爽やかな笑みを浮かべるので、黙っておこう。

 雪菜は肩にかかった髪を払うと、続けた。


「チョロイン、かっこ変人かっことじ、に好かれると思ったの」

「なるほどなぁー」


 俺はどや顔している雪菜を放置して、奈留のところに向かう。

 突っ込むのも馬鹿馬鹿しい。

 どう考えても、俺の目の前にいる明るい女の子は、別の用事があるに違いない。

 チョロインが好きとか嫌いとか、そう言う次元の話ではない。


 目の前にいる女の子が俺のことを好きだとは思えない。

 なぜなら、俺は、オタクでそんなに目立たないただの男子高校生だからだ。


「雪菜ちゃん! 呼んでくれてありがとね!」


 通る声をしている。

 雪菜はいつの間にか、俺の横にある座席に座っているし。

 俺は奈留と対面して座ると、奈留は雪菜の方を向く。


「雪菜ちゃん、ふわふわもちもちの肌だよね。どうやってるの?」

「特に何もしてない、と思うわ」

「へーなるほど!」


 奈留は話しを広げようとしているようだ。

 だが、雪菜は口を開く。


「私はお邪魔虫だと思うから」


 そう言って席を立つが、俺は雪菜のスカートを掴む。


「まて。トラとライオンが戦った場合、どちらが勝つ」

「……?? 群れている場合、ライオンね」

「そういうことだ」

「どちらかと言えば、今の和人くんはスカンクレベルだと思うけど」


 侮辱しつつも再び席に座る雪菜を、奈留は不思議そうに見ていた。


「……?? どういうこと?」

「戦でトラウマを抱えたオスが、荒野で亜種のメスと出会ったということかしら」

「……?? ごめん理解できないけど、雪菜さんにもかかわる話だし」


 奈留が少し頭が弱くて助かった。

 ドストレートに言うから、再び大きな傷を負うことになると思った。

 俺は雪菜を睨むが、雪菜は無視をする。


「私に?」

「うん。私が連絡先を知りたいのは、和人くんのことが好きだからなんだ」


 なん、だって!?

 どう考えても、そうはならない意味が分からない。

 さっき言ったように、トラとライオンくらい差がある。

 意味が、分からない。


「奈留さんは、私が和人くんに惚れていると思っているのね」

「もちろんそうでしょ!」

「でも、私たちは、悪い友達関係みたいなものだから」


 雪菜がそう言った瞬間、ハッとした表情で奈留は頷いた。


「あ~、そうだよね~! やっぱりそういうことか~!」

「どういうことだよ!?」


 思わず突っ込んでしまった。


「え? だから、あれでしょ、そのセ〇レってやつ」

「いや、違うから!」

「え、そうなの? よかったー、だって噂あるじゃん」

「噂?」

「あ、ごめん。もしかして知らなかった?」


 頷く俺と雪菜。

 すると、申し訳なさそうに奈留は口を開く。


「自称ゆるい女とそれを飼いならす男がいるみたいな、そういう感じの!?」

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