0083 童は花咲き、樹海に踊る
7/8 …… 2章の改稿・再構築完了
絶海の孤島である『最果ての島』の地上部は、広大な『樹冠回廊』によって陽射しが遮られ、わずかな木漏れ日のみが届く鬱蒼とした樹海に覆われている。
その中で、時折、絡み合った巨大質量の枝の塊が折れたり崩れたりして崩落することで『木漏れ日群生地』が生まれ――その狭い空間で低木や様々な種類の草花や胞子、茸の類が熾烈な生存競争を繰り広げ、またそれに適応した種々の動植物達が生息する。
俺が迷宮領主として、島全体の掌握を進めるために小醜鬼を壊滅させたことで、そうした生態系にも変化が訪れていたが――食物連鎖の変化といった間接的なものだけではなく、より積極的な地上開発も順調に進んでいた。
それこそが、小醜鬼を労働力として投入している『農場』と『牧場』である。
新しい『因子』の解析はできなかったものでも、小醜鬼や亥象を始めとした動物達の食料として、そして代胎嚢や紡腑茸のような、魔素と命素以外の資源を利用するエイリアン=ファンガル達のために活用する資材として、"作物"の栽培が進んでいた。
その中心地となるのが、ポラゴの実の群生地でもある『赤い泉』である。
島の最高標高地である『帰らずの丘』から流れ出たいくつもの小川が、海に流れ注ぐ過程で一旦合流する地点の一つでもあるこの泉の周囲では、現在、簡単なものではあるが灌漑設備の導入が進んでいた。混ぜる土質を粘土中心とした"水路用"の『エイリアン建材』を新たに開発しつつ、戦線獣と触肢茸らに、地表を這う巨木の"根"や落ちて苔生した枝塊、岩や礫の類を掃除させた後に、労役蟲達が鋏脚で掘って耕した用地を整備していくのである。
元の世界で言う米や小麦だとか、トウモロコシのような主食を張れるような穀類は見つからなかったが――11氏族時代からの小醜鬼達の共通の主食であった、ジャガイモに似た3種類のイモ類をこの『農場』には植えつけている。ル・ベリ曰く、肉食を尊ぶ小醜鬼達にとっては「雌や幼体の食い物」であるとして蔑まれていたイモ類であるが、それを食って幼体から成体に成長する主食ではあったということなので、栄養が偏りすぎるということはないだろう。
……何より、イモ類は増やすのが簡単で良い。
一定の大きさの塊に割って、それをそれぞれ間隔を空けて植えればよく、小醜鬼の頭脳でもなんとか理解させることができる程度の作業で済むのである。
そしてこれは他の、鎧モグラを始めとした肉食ではない中小型の生物達や、粉状にすり潰せば小鳥の類や海中生物に与えることもできる。また、3種類のうち、赤紫がかった皮をしたどことなく甘薯を彷彿とさせるものは――青々とした丈の長い芽を生やすが、これは三叉鉾角山羊の好物であった。
その他にも、木漏れ日群生地で見つかった種々の果実や薬効のある花々がある。
これらも、今後【人世】での需要次第では量産して栽培して持ち込むということもできるかもしれないが――『農場』に期待するのは、一旦は『最果ての島』における資源提供であった。
特に、肉類の需要が高い。"臓器"を丸ごと生み出してしまう紡腑茸や、生物の幼体を生育させてしまう代胎嚢は"経済的"なファンガル種であるが、その役割と機能を果たすために必要となる「タンパク質」を得るために――その供給元となる野生生物など養う主食として、今はイモ類を大量に島中から収奪しているのである。
地上部の『農場』はそうした思想によって設営を進めており、そして『牧畜』は、単に囲いを作って野生動物達を放牧するというだけのものではなく――そうして収穫された資源から代胎嚢によって小型中型の野生動物を生み出す設備も含めてのものである。
まぁ、現状では小醜鬼の"なり損ない"の処理と同じく、タンパク質化が中心であるが。
「【情報閲覧】」
そんな『農場』や『牧場』で、まばらに働く小醜鬼奴隷達に向けて、俺は【領域】を支配する迷宮領主の特権として「ステータス画面」を次々に表示させていく。
従徒ではないため、詳細な技能テーブルまでは見れないが、それでも若者手前程度まで成長した"なり損なわない"達は【農家】やら【牧童】、【運搬者】といった職業となっている。
俺が今一番確認したかったことは、位階と年齢の関係についてであった。
多くの「工場産」は、生まれ立てではいずれも位階は「1」であり、ル・ベリによる【弔いの魔眼】を食らってそれが「5」から「8」程度となる。そして、この『農場』と『牧場』にいる者達のそれは、いくらか"経験"が積まれたのか、そこからさらに1か2高くなっていた。
「……こうして見ると、やはり純粋な"年齢"が位階の上限、とは違うのかもしれない。だが、それもそうか。仮に仮を重ねて小醜鬼が『人種』に何かの間違いでこびりついた染みのような種族だとしても――10年で死ぬなら、位階は10幾つ。技能点は最大でも30~40ちょい。もしも『種族技能』や『職業技能』のテーブルが『ルフェアの血裔』と同じような技能数だったなら、全然取りきれないはずだ」
取りきれもしない技能を技能テーブルとして、このような生物にまで与える意味などあるのか。
一つ、別の仮説が俺の中で浮かんでいた。
この工場産小醜鬼達の位階を"肉体年齢"と考えれば、どうであろうか。
実際の生育年数という意味では、小醜鬼は「成体」までは3年かかる存在である。だが、その「成体」が――例えば「標準的な人間種」を基準として、それと比較していたならば、どうであろう。
俺の主観的な「認識」でしかないが、しかし、小醜鬼の3歳はどうも……通常の人間種では15歳に相当する程度の"身体的発達"をしているように思えてならないのである。
もしも「位階の上昇のしやすさ」というパラメータが存在しているとして、それが参照しているのが暦の上での年齢ではなく――こうした「人を基準とした」実質的な"肉体年齢"であるとするならば、どうであろうか。
3歳相当の小醜鬼にとって、上昇しやすい位階の中央値だか平均的な上限だかは「15」である、と仮定することはできないだろうか。
――そしてそれが"肉体年齢"であるが故に、代胎嚢によって「小醜鬼3歳相当」に急激に成長させられるということは、すなわち「人間15歳相当」に急激に成長させられることである。ならば、"なり損ない"の発生条件とは、位階の上昇スピード、つまり"経験"の獲得スピードと、その「肉体年齢」として望ましい標準的な位階が乖離してしまうこと……ではなかろうか。
さて。
何故、このような考察を『牧場』で働く「工場産」の小醜鬼に対してしていたかというと。
頭上の『樹冠回廊』が遠くから揺れながら、何者かがガサゴソと、遠くから枝々を鳴らす気配が近づいてくる。
果たして、樹上から小枝を撒き散らし葉を多数ばら撒きながら飛び降りてきたのは、頭部をタンブルウィードに突っ込んで絡みつかれたかのようにがっしりと"枝"やら"根"やらで締め上げられながら、それを【異形:四肢触手】でやんわりとしかし強い意思で引き剥がそうと静かな闘争を繰り広げる、そんな苦虫顔のル・ベリ。
そして、そんなル・ベリの闘争を遊んでもらっていると思ってきゃっきゃと楽しむ『魔人樹』の幼児グウィースであった。
「大変、お待たせいたしました、御方様……おいこら、早く降りろ御方様の御前だぞグウィース」
「あ! た! ま!」
「ははは、大樹海での大冒険はどうだった? 頼りになる兄の頭の上ほど、心安らぐ場所も無いだろうな。だが、グウィース、一つお勉強だ。お前の"蔓"の締め付ける力はちょっと強すぎるからな、せめて眼とか耳とか鼻とかに巻き付くのはやめてやれ――首もだぞ?」
「あい! わかった」
グウィースがル・ベリの顔面から両腕と下半身の根枝蔓蔦をほどいていき、肩の辺り、三の腕の辺りに巻き付いていく。頭車は解いても、肩車はやはり譲れないか。
スキンシップ、接触によるコミュニケーションが未だ、世界との向き合い方という観点で、本能と感性レベルで重要な精神成熟度であることが窺える――だが、その"肉体年齢"はどうであるか。
俺は改めてグウィースに【情報閲覧】を諳んじた。
【基本情報】
名称:グウィース
種族:イリレティアの播種[人族:ルフェアの血裔系]
職業:軽騎手
従徒職:※※未設定※※
位階:4(技能点:残り10点)
――工場産小醜鬼で考察したのと同じことが言えるならば、グウィースは純粋な暦の上での"年齢"で言えば、未だ生後数日に過ぎない幼児どころか胎児嬰児レベルでしかない。
だが、その"肉体年齢"はどう見ても、「人間で言えば」4~5歳程度のやんちゃなちびっ子坊主であり、ル・ベリだろうがソルファイドだろうが、ぷるきゅぴだろうがその頭部によじ登るという行動もまた、年相応のものであった。
そう、4歳児程度なのだ。
そして、生まれたばかりの数日前は位階「1」であったのが……職業経験を意図的に積みやすくさせた効果が現れたかもしれないが、既にその位階は「4」となっていたのであった。
『イリレティアの播種』というこの"新種"が、通常の人間種と比較して、どのような速度で成長するのかまではわからない。だが、少なくともその樹木化している両腕と下半身以外は、ごくごく普通の人間種にしか見えない。
「年齢と同じ数値までは位階が上がりやすい」という俺の従前の仮説は、
「肉体年齢を人間種に換算した数値」まで上がりやすい、というものに今は修正されていた。
そして現時点では、グウィースや工場産ゴブリン達から観察された範囲では、その通りであるように思われるが――現時点で考察できるのは、ここまでであろう。
「さて、それじゃグウィース。一体、どんな良いもの見つけたのか、あるじたまに教えてくれるかなー?」
「あい! これ!」
元気の良い凛とした声で――ル・ベリの耳元で――答えるなり、グウィースが人間形態に引き絞られた"お手々"を突き出してくる。
その若葉や蔓などで形成された掌の中には、ぶどうサイズほどの『種』がいくつか握り締められていた。それに【情報閲覧】をしてみれば――なんと【枝獣の種子核】とかいう"名称"の代物。しかも、改めて【情報閲覧】を何度か連発してみたところ――【枝獣の種子核(装填:宿り木樹精)】と表示されたのであった。
「……なるほど、リッケルの"置き土産"の、そのまたオマケがまだあった、ということか」
「いかがいたしましょうか、御方様。滅びたらしいとはいえ、【樹木使い】の眷属であった魔獣の"種"……焼却してしまうべきでは――ッッおいこらグウィース何をする、うぐぉ!?」
「にーたま、だめ! わ! る! い! こ!」
焼却してしまうべきでは、に反応してグウィースがル・ベリをぺちぺちと叩き始める。
――その樹木の腕が枝や蔓や根にばらけたかと思うや、ちょっとした子供用サイズの槌の形を象ったことに気付いて、俺はグウィースに問いかける。
「おや、おや? グウィース、かっこいいなそのお手々……いつの間にそんなことができるようになったんだ?」
「グウィース? えへへ」
代わりに答えたのはル・ベリであった。
「厄介な技を覚えたものです……実は、グウィースを見つけたのは【樹木使い】リッケルの眷属どもの残骸の中だったのです」
【人世】を経由して【鉄使い】の娘であるところのネフィ――正式な名前は「ネフェフィト」というらしい――と合流することを見込んで、俺は【情報戦】における防諜的な意味で、グウィースにとってはリッケルの忘れ形見にも等しい『ゲロ鉢植え』を封印してこの幼児の手の届かない場所にしまっていた。
だが、それによって心の中にあった親を思う寂しい気持ちが掻き立てられたのか、地下迷宮の『環状迷路』中の『大陥穽』から運び出したものなども含めて、元リッケルの眷属であったところの樹木の残骸達を、グウィースは島中を冒険してかき集め、漁っていたらしかった。
そしてその中で見つけたのが、件の【種子核】であり、そして多数の『武具喰らい』達の"残骸"であったのだ。
「ええいやめろ、俺の髪の毛を弦代わりにするんじゃない!」
――今度はグウィースは右手を「弓」の形状に変化させている。
だが、蔓の部分が上手く作れないのか、ル・ベリの銀髪のキラキラに目を奪われたのか知らないがむしり取ろうと手を伸ばし、それを防ごうとする触手戦が始まっていた。
「リッケルの"武器"の情報を……サルベージでもしたってことか?」
それは、ル・ベリが対峙した【樹木使い】にして『樹人』たる存在であったリッケルが阿修羅の如く振るった数多の武器から見れば、まさしく子供の玩具といった具合のかわいらしい槌であり、あるいは弓であり、あるいは斧である。
叩かれれば多少痛いで済むものでしかないが――少なくともグウィースが今有している種々の技能から説明できるものではなかった。
「あるいは本当に【樹木使い】の力が種族化したか。はたまた、リッケルの子としての特別な特権であるか……それとも【根の隠者】の加護か? まぁ、ル・ベリ、とりあえず武器の使い方もちゃんと教えておけよ? 思ったよりも、グウィースは成長が早いかもしれない。流石に小醜鬼ほどじゃないかもしれないがな」
「御意……ええい、いい加減にしろ全く……おほん。して、御方様。この"種"はどうしましょうか」
「ちょうどいい、実験に付き合え――ル・ベリよ、お前を【農務卿】から解く。代わって【内務卿】に任じる」
「恐れ多くも、拝命致します」
「――そしてグウィース」
「あい!」
「お前を【農務卿】に任命するからな、頑張ってその"種"を育ててみてくれ――他にもいろんな植物や果実もいる。みんなの機嫌を取ってくれないかな? 俺はなかなか、エイリアンは大丈夫なんだが、森の木々とは直接は話せないからなぁ」
「おーまたま! わかった、グウィース! がんばる」
胸を張り、再び人間の掌形態に戻して胸をどんと叩く。
そして【枝獣の種子核(装填:宿り木樹精)】をまるで戦利品のように堂々と、同時に形見のように恭しく掲げ、えっへんと言った具合にグウィースが宣言する。
俺はその様子を微笑ましい気持ちで見やりながら――ル・ベリのものと同時表示した「ステータス画面」の変化に目をやる。
すると、グウィースの『従徒職』が【農務卿】となって技能点が3点獲得。
ル・ベリの方は、新たに【内務卿】に変化はしたが、技能点は獲得されなかった。予想通りではあるが。流石にそれが許されてしまうならば、次々に役職をロンダリングすれば技能点が稼ぎ放題になってしまうだろう。
ともあれ、グウィースはこれで13点分新たに振ることができるようになったわけであるが――。
【農務卿】の称号技能としての技能テーブルは、これも半ば予想していたことではあるが、ル・ベリの【農務卿】とは異なっていた。
そしてそのことも加味しつつ、俺はグウィースに次の通りに振ってやったのであった。
ル・ベリに高い管理能力があることを確信し。
グウィースが、人と樹木の間の子の新種族として、その保有する技能以上の潜在性を発揮しようとしているならば、それをさらに活かす形で先行投資するように振った。
新たなる【農務卿】として、可能ならば【エイリアン使い】の力とは別口で――理想を言うならばリッケルの【樹木使い】に近い形でこの最果ての島の"森"に影響を及ぼしてくれたりは、しないだろうか。
そう考えて、ビルド方針から寄り道して【無垢なる大器】と【草花伝心】を取り、ゼロスキルで【樹海伝心】まで至らせている。【樹木使い】の再現……は求めすぎであるにしても、しかし、リッケルの眷属達からサルベージした"情報"が、何らかの形でこの最果ての島の地上部森林に生きるならば、それはそのまま【エイリアン使い】ばかり警戒しているであろう"励界派"その他の迷宮領主に対する伏兵とすることもできると言えた。
『農場』も『牧場』も、そして"森"そのものも、下手をするとグウィースほど任せるのが適任なものはいないかもしれない。今はまだ幼児であるが――。
そして取得させた【第一の果実】。
「! 出る!」
……まるで催したかのようにグウィースがびくんと動く。
そして頭を両手で抱えるようにうんうんと唸り――はっとこの世の真理に気づいたかのように目を見開いて、掌の中の【枝獣の種子核】をおもむろに食った。
「できる!」
さらにうなること5分。
不意にそう声を上げたグウィースの、枝で形成された両腕に――小さな小さな、とても小さな"花"が咲いたかと思うや、技能【花咲か童】と【第一の果実】の力によってか、その小さな白い花はみるみるうちに成熟し、さくらんぼよりも小さな果実を生らせて、そして落ち。
果肉を、まるで卵の殻を割るかのように破って這い出してきたのは、雀ほどの大きさしかない、ポケットに入りそうなほどに小さな、新芽と若枝で四肢と頭を形成した【小人の樹精】という名前の樹木型の魔獣だったのであった。
「あぁ、ル・ベリ。お前の"弟"は、早くもパパであるところの【樹木使い】をぐいぐいと追い越していきそうな"大器"を示したな」
「――全ては御方様の偉大なる采配の妙。御方様は、神、にご警戒を抱かれているようですが、私にとっては御方様こそが神の如き御方です」
「とりあえず、このちっこいのは……俺の眷属ではないな? 念のため【眷属心話】で確認してみろ、副脳蟲ども」
≪きゅぴぃ、グウィースちゃんと違って――ごく普通さんの一般通行生物さんだきゅぴ! きゅぴぃ、なんと小さくてあいらしい……キーホルダーさんにして腰からぶら下げたいのだきゅぴ!≫
「だめ! あげない!」
≪きゅぴががーん! ぐ、グウィースちゃんに嫌われた……もうだめだ、も、もう僕はご飯が3杯しかのどを通らない……≫
俺の脳内に【共鳴心域】によって独自の「心域領域」を形成ている副脳蟲どもが、新たな玩具の登場にわいわいし始めていることはさておき。
――このグウィースが生み出したか、呼び出したかした小さな小さな"お友達"が、俺の眷属ではないとするならば。
「グウィース。君さえよければ、この小さなお友達に新しい"森"を見せてやろう。こいつも【人世】に送り出してみないか? あぁ、すぐにじゃなくていい。もう少し増やしてからでもいいが」
「グウィース! おーまたまのおやくに立つ!」
どこでどんな脳みそどもに教わったのか、びしっと掌をおでこに当てる敬礼を取るグウィース。その真似をして、同じように"腕"を自身の新芽の頭部にびしっとぶつける【小人の樹精】。
「ル・ベリ、予定を少し変更だ――"裂け目"の近くまで行くぞ。我らが【武芸指南役】の"仕事ぶり"を、ちょっと視察しに行ってやろうじゃないか」
――ソルファイドを【人世】に派遣してから既に数日が経過していた。
"裂け目"に関する様々な「検証」を含め、一度、状況を確認しに行く頃合いではある、そう判断して俺は『農場』と『牧場』を後にし、迷宮への戻りの途についたのであった。





