0029 後悔と激情[視点:竜牙]
初代竜主『贖罪』のメレスウィリケはかつてこう言った。
――我らは神の似姿を喰らう罪深き咎負う獣なり。然れど、我らその罪を以て、神に代わり人の世の安寧を保つ唯一つの力負いし種なり。
――恐れよ、我が同胞よ。恐れよ、我が子らよ。我らが雄大なる力を持て余すこの身を決して傲るなかれ。断じて我ら『竜種』は主ならず。我ら、似姿達の命を糧に彼らに仕え、世界を去りし神々に代わり、大災を退くべき者である。
多くを殺し、多くを生かし、多くを悩み、多くを成した『贖罪竜』が『虐食竜』により弑されし後。
初代竜主の弟にして、我ら竜人の祖たる『下天』のクルグドゥウードはかつてこう言った。
――我ら神の似姿に混じり獣から人と成らんことを欲す。然れど、其は我らが罪を忘るることならず。我ら人に交わり人を支配せんとするものならず。
――耐えよ、我が子らよ。忍べよ、我が同士らよ。我ら神々の代行為す権を捨て卑小なる人族の身に姿を変えようとも、世界則の調停を志す大命を忘るるなかれ。我ら、似姿の中に入り潜みて世界に仕え、今なお世界を見つめる神々の干渉を拒むべき者である。
――ウヴルスの里の古老の教えより
炎の夢を見た。
恐ろしき"炎"が石造りの小屋を燃やして燻し、集落の全てを燃やし尽くす灼熱の洪水となって、里の全てを飲み込む光景であった。
だが、それはゲール=デスティオ火山が噴火した火砕流や熔岩流の類によるものではない。
かつて父祖が数百年の流浪を経て、その地に"隠れ"里を築いてから1,000年余り、火山の炎によって直接に焼かれたということは『ウヴルスの里』の歴史が始まって以来、1度足りとも無かったことであった。
その"火"を放ったのは自分である。
それが竜人ソルファイドの後悔であった。
久しく封じていた、考えないようにしていた後悔であったが――夢が過去を映し出していることに気づいたソルファイドは、あるいは過去に己が戻ったのではないかとすら感じた。
だが声を叫ぼうにも、また走り出そうにも、夢の中の自分の体は全く意識の思う通りにならない。ただ咆哮を上げるままに、両手にそれぞれ構えた愛剣二振りを構え、前方へ突進していく自分自身の姿が遠く感じられる。
怒りと焦燥。まるでこの身の内側から全てを焦がし、それでも焼き尽くし足りない、抑えることの出来ない巨大な激情が、ソルファイドの腹に生まれ胸まで逆流して自らの喉を焼き尽くしながら【竜の息吹】と化して一気に口元までこみ上げてくる。吐き出してはいけない、と必死に夢の中の自分を止めようとする今の自分の意識に反し、抵抗する上顎と下顎を跳ね除け、眼前に一筋の紅蓮の火線を生み出す。
"先祖返り"とはいえ、たかだか竜人が吐く息吹に過ぎぬ。
しかし――両の手の二振りの愛剣をソルファイドは斜め十字に構え、剣気によって『息吹』の威力を増幅させる。
それはただの剣ではなかった。
『塔の如き炎』たる2代目竜主ギルクォース自らの炎によって鍛造された秘剣。里の危機を護るためにのみ使うことを許された秘宝であった。
そっちではない、そっちへ行くな、とソルファイドは必死に夢の中の己に叫び続けていた。
その後、どうなるかを知っていたからであった。
既に灼熱の火災嵐に飲まれ、轟々と燃え盛る集落のその中に向かって、火竜を継ぐ炎を帯びた剣気を叩き込んだ形であったが――足りないのだ。
殺し切るにはソルファイドの全霊を以てしても足りないのだ。
渾身の火焔の緞帳を、まるで水で濡らした紙を貫くかのように、黄金色の甲冑に身をまとった騎士達が引き裂くのを見た。騎乗槍を整然と構え、平原を駆けるかのように集落を踏み荒らし突き崩しながら突切ってくる、大小様々な騎獣達は、ある者は焼け崩れ落ちながらも、ある者は火焔を意にも介さず味方の躯を踏み潰しながら、一糸乱れずに吶喊してくる。
そして自分はその後、その騎士達と血みどろの闘いを半日も続けるのである。
貴重な半日を、そしてその後に激戦の傷から回復するのに要した半月を、無為に過ごすこととなる。
故に、それがソルファイドの後悔の記憶であった。
だが――と意識の乖離、目覚めの気配がソルファイドを追憶の戦場から白く引き離し始める最中、夢と現の双方で彼は自問していた。
己が何に後悔していたのか、ふと、わからなくなってしまったからだ。
――掛けた命が足りず、敵を焼き殺しきれなかったことであったか。
――里を捨てて再び流浪となろう、という"里巫女"の決断に逆らったことであったか。
――我を忘れた闘争で時間を無駄にし、生死もわからずに離散した里の者達の手がかりすら掴めぬ失態を演じたことであったか。
――それとも"楔"の民を見抜けなかったことであったか。もっと早く、親友だった者を手に掛けていれば、それは避けられたか。
***
「……あるいは【闇世】にまで落ち伸びて、あの迷宮領主の甘言に乗ったことか」
夢と現が入れ替わる。
夢うつつの自問が実際に自身の口から言葉として吐き出された、その声によってソルファイドは目を醒ました。
そして次の瞬間には弾かれたように飛び起き、いつでも飛び出せるような片膝をついた体勢となる。その目は瞬時に周囲に向けられ、次に己の枕元と、身体の装いに向けられる。
じめじめした薄暗い船室が、実に2週間余りも揺られ続けた船上であることに気づき、また愛剣二振りが鞘に入ったまま、すぐに抜き放てる位置にあることに気づいて、そこでソルファイドはようやく警戒のレベルを下げた。
どうやら、夢と現実の境が曖昧になり、うつつに寝言を漏らしてしまうほど、自分自身が深い眠りに沈んでいたらしいことに気づく。そしてごく軽いため息をつき、腐食の気配を見せるただの木の板にしか見えない船室の壁に背を預け、腕を組んで座り直した。
糧食の入った革の袋から、様々な穀類と香草を肉切れで何重にも包み、それを天日と火山の熱気代わりにソルファイド自身の「火」によって炙って乾燥させ、固めた『肉兵糧』を一つ口にする。
視界にはお節介な雇い主が用立てた「船酔いした時に使う箱」が映ったが……あれだけ自分の身体をいじくり回しておいて、ついぞ彼はそれがソルファイドには不要のものであったとは理解できなかったらしい。かつて大空を暴力的に飛び交っていた『竜種』の末である竜人の平衡感覚は、波を受けた船の揺れ程度で狂うものではなかった。
「あと二日の距離といったところか」
それは"船"とすら言えぬものであった。
人一人が入ることのできる船倉を備え、かろうじて水面に浮かべることのできる形に整えているが――単なる気の利いた"棺桶"と言われても驚くものではない。ソルファイドの他に、その"船"に乗る者は一人としていなかったからである。
そして唯一の船員であるソルファイドでさえも、操舵や天測による航海を行うことはなく、ただ船室に押し込められたまま、着くのを待てと告げられたのみであった。
雇い主たる【人体使い】曰く、『潮騒都市』アモアスの"幽霊船"を【死霊使い】が解読した技術であるらしい。それは"魔素"であるとか"命素"であるといった迷宮領主かその眷属でなければ扱えぬ「技術」であり、それを利用できぬ者達が計測と検証によって作り上げる「船」とは、役割は同じでも原理が異なるものである――とのこと。
要するに、元の世界――【人世】で言う「魔法」の類であるかと理解したソルファイドであったが、そのことをあえて【人体使い】テルミト伯に言おうとは思わなかった。まだ、彼が【闇世】に迷い込んでテルミト伯に拾われた頃、似たようなことで同じ感想を既に言っていたからである。
その時、テルミト伯は露骨に哀れんで蔑むような眼差しをして、「そのようなものとは根本から異なる偉大なる神の確かな恩寵」と謡っていた。だが、そもそもが「魔法」にすら疎いソルファイドには、違いのわからぬものではあったが。
ただ、何らかの因果や理を捻じ曲げた強引な技がこの"幽霊船もどき"には込められていることは、肌で感じ取ることができていた。如何にテルミト伯が自身とその同類達の技を自慢しようとも、船で十日もの距離の「島」へ己を運ぶのが、このような粗末な木箱であっては、何かが間違い何かが狂えば容易に本物の「棺桶」に変わるだろう。
正気であれば、受けるべき"依頼"ではなかった。
だが、それでもソルファイドはそれを受けた。
受けざるをえぬ理由が彼にはあった。
(まさか本当に居たとはな……そしてついに見える、か。数奇だ)
もはや"隠れ里"に隠れ続けること叶わぬならば、せめて侵略者達に一太刀浴びせようと、里巫女や他の「守護戦士」達の制止を振り切り、殿軍のつもりで、皆が避難を終えた集落を丸ごと「火種」とした火計。
しかし、侵攻者である【黄金の馬蹄国】の部隊を殺し切ることができず、孤軍奮闘の泥沼の殺し合いをする羽目となり、結果、里の仲間達と合流することができなかった。あるいは捕らわれ連れ去られ、あるいは殺されたかも杳として知れなかった。
追撃を避けるために、地虫のように潜み夜陰に這って移動し、辿り着いた街から街を流浪すること半年。
ついには逃げ切れず、追い詰められたソルファイドであったが、いくつもの偶然が重なった結果、地図にも載らぬ忘れられた廃墟の1つに迷い込み――そこに里の古老の伝承でしか聞いたことの無かった『異界の裂け目』があり、ソルファイドは意を決して飛び込んだ。
そうして迷い込んだ原野で、天の紫なるを、太陽の漆黒なるをソルファイドは目の当たりにする。
古老達の言う『竜による調停』とは斯くの如しであったか、と衝撃を受けるような次元で【人世】とは異なる環境であった【闇世】の灰色の荒野を数ヶ月は彷徨ったか。あるいは、今思い返せば、その荒野もまた迷宮の一種であったか。
そこで"二叉の巨大な針を先端に備えた尾を持つ巨人"を斃した時に、『目玉を生やした目玉』やら『髪の毛の塊』やら『踊り狂う巨大な手』といった魔獣の類からなる異形の軍勢を率いて現れたのが、テルミト伯だった。
それが、今より1年半ほど前のことである。
以来、ソルファイドはテルミト伯から数年前に裏切ったという迷宮領主の"副伯"たる【樹木使い】との闘いに傭兵待遇で参陣し、幾多の『樹木』型の眷属や魔獣を焼き払い、切り捨ててきた。
その中でテルミト伯と、彼が時折"会合"を開いている"伯爵"である迷宮領主達は、ある理由からソルファイドが竜人であるという理由で、その存在を可能な限り秘匿しようとしていたようであったが――。
『"竜"のお仲間に会ってはみたくありませんか?』
その1年間、常にそうであったように、その日も『兵舎』で瞑想を行い、対【樹木使い】にいつ駆り出されるかと備えていたソルファイドに、テルミト伯は意外な話を持ってきた。
その後、伯からハルラーシ地方の南南西海岸に連れてこられ、そこで遥か海の彼方に、遠雷のような、海が鳴るような真なる『竜の咆哮』を聞いたのであった。
否、聞いたのではない。
全身がそれを受け止め、古く古く血に刻まれた本能が、ずっと眠っていたものが底から呼び起こされるような衝撃が、ソルファイド自身の内側から溢れ出てきたのであった。
『私はこれでも功績には報いるタイプでしてね。貴方のお仲間――竜人の方ですね、そういう方々が他にも【闇世】に迷い込んでいないかどうか、伝手をたどって調べていたのですよ。結果は残念でしたが……』
だが、とテルミト伯は続けた。
『かつて竜でありながら、あえて黄金の比率……いや、【人世】では"神の似姿"と言うのでしたか、まぁいわゆる「人族」になろうとして本当になってしまった、そんな「第二の道」を選んだ竜人達』
なぜその言葉を知っている、とソルファイドはあえて問おうとはしなかった。
どういうわけか、テルミト伯とその同類達は、ウヴルスの里においてさえ秘匿されてきた――いまや【人世】ではそれを知る者が消えゆこうとしている【竜主国】の時代について、ある程度の知識を共有していたのである。
だが同時に自身の直接の出身である『ウヴルスの里』に関する詳しい話は何も知らなかったようであり、歴史と背景を探られるようなことが幾度となくあったため、ソルファイドはテルミト伯からのこの手の問いには沈黙で答えることとしていた。
そんなソルファイドの常の態度に、テルミト伯も期待は特にしていなかったように言葉を続ける。
『対してこの大海の彼方、「最果ての島」を"庭"として囲う存在は正真正銘、竜であり続けるという「第一の道」を選んだ一派の、その末裔とも言うべき者です! ――あれと貴方は話すことも、そして戦うこともできる。何か、貴方の求めるもののヒントが得られるのではないかと思ったのですよ』
『……あれを排除させたいならば、素直に俺にそう言えば良いだろう。何が狙いだ?』
『残念ですが貴方にそこまで期待はしていません。竜人が生まれた経緯も私は知っていますが、1人で竜1体斃せるなどと夢は見ていませんよ。貴方には、生き延びてほしいのです。生き延びてあの忌々しい多頭竜蛇の"庭"の先にあるはずの「島」に辿り着いてほしい』
『そこで何をしろと?』
ソルファイドが疑問を呈すや、テルミト伯は企みを秘め、しかしそれを隠すような曖昧な笑みを浮かべ、ただこう告げるのみであった。
『島を隈なく調べ、そしてそこに"リーデロット"という名前の痕跡があるかどうかを……確かめてきてもらいたいのです』
ソルファイドには、【人体使い】テルミト伯が自ら「竜」とは戦いたくない、そうするわけにはいかないという強い意思があるように感じられた。と同時に、なんとしてでもその"庭"をくぐり抜け、「島」にまで手駒を送り込んで確かめたい何かがある、そのような強い意思も感じられた。
なるほど、その2つを満たす――「竜」と曲がりなりにも対峙して生き延び、かつ、正式な従徒ではなく、いざとなれば切り捨てることのできる傭兵に過ぎない自分が適任であろう。そして探しているのが「人物」であるならば、自分が1年半かけてようやく【闇世】の言葉を、不自由無い程度には覚えるまで、待っていたということであるか。
(陰謀家である奴のこと。おそらくは他にも、色々な理由と奴の中での条件が重なった結果ではあろうが)
【闇世】に迷い込んだまま、身寄りの無かったソルファイドに、部下であるメイドや給仕、執事達を通してであるが【闇世】での言葉と常識をある程度教えたテルミト伯ではある。しかしあまりの無体を言うならば、テルミト伯の抱える眷属達と戦い、単身出奔することはできるだろうと見極めていた。
――だがそうせず、1年もの間テルミト伯の元に厄介になっていた理由は……"後悔"であるか。
ソルファイドは己の中の矛盾に気づいていた。
もし「傭兵」でなくなった時、自分は、既に死んでいる可能性が高い『ウヴルスの里』の仲間達を探しに行かなければならないのだろう、と。
そしてテルミト伯はソルファイドの中のそのような迷いを、おそらくは出会った当初から、何らかの手管によって見抜いているようであった。
『この任務に成功すれば、あなたを「回廊」諸都市に案内しましょう。そして、いけ好かない輩ではあるのですが……【人世】に詳しい者を私は一人知っていましてね。その者の"商売"に、貴方を紹介しても良い。お仲間を探す有力な情報が、私のところにいるよりもずっと手に入りやすいはずです』
だが、テルミト伯は。
いや、迷宮領主という存在は――。
ソルファイドは後悔するたびに、選択を間違えるたびに、代償を支払い続けてきたと感じていた。今、この棺桶のような"幽霊船"の中にいる彼の後悔は――あるいは、もっと早くテルミト伯の元を去って、自分自身の「目」で【闇世】を辿る決断をすべきだった、ということであったか。
『ただし、対価が必要です――なぁに、一生私の元で"樹焼き"をしてくれるというなら、それもそれでまぁいいのですが……あれは泳がせているだけですので。いずれ、いや、首尾よく行けばそろそろ討ち取る予定ですしね』
小さい頃の失敗で父母を亡くしたこと。
優柔不断であったために友を殺した挙げ句、その死すらも無駄にしたこと。
そして徹底抗戦を繰り広げた挙げ句、「守護」すべき里の仲間達も生死と消息を不明にさせたこと。
何もかも失ったと思っていたが、ソルファイドにはまだまだ、失うものがあることを、迷宮領主と呼ばれる【闇世】の絶対権力者が、好奇半分、嬲り半分に告げる。
『貴方の"瞳"を片方、いただきたい。私の"黄金の比率"の研究の役に立てたいのです……でもそうすると今度は私が受け取り過ぎですからね、どうでしょう、お返しにこの私【人体使い】の技術をほんの少しばかり披露して、貴方を"強化"してあげましょう? ――例えば竜人特有の器官である、そのとてもとても興味深い『息吹嚢』をより強靭にしてあげましょう。どうですか? だって、貴方、』
――「竜」に、「第一の道」に本当は貴方、興味があるんでしょう?
失うことや、失敗することを恐れたわけではなかった。
その意味で、後悔することや、振り返ることそれ自体を厭うわけでもなかった。
ただ、ソルファイドは、『ウヴルスの里』の【牙の守護戦士】ソルファイド=ギルクォースは、自らの中に秘められていた激情を恐れた。
それをテルミト伯に見抜かれ、言い当てられたと認めること自体が、恐ろしかった。
――それを解放してしまいそうになる己があることに気づいていたからだった。
そこに虚空のように深く底の見えない、何もかも燃やし尽くしてしまいそうになる歓喜があることを本能的に悟っている己自身を、ソルファイドは恐れていたのであった。
しかし、遥か遠くの存在でいて、そしてすぐ近い場所にまで迫っていた同胞が、まるで自分の懊悩を全て知ったかのように、そしてその上でそれを恐れ偽ることを許さないかのように"咆哮"を上げた。
幾重にも重なる、合奏のように咆哮が輪唱し、海流が渦巻くかのように船が激しく揺れ始める。
幾重にも幾重にも、その"海鳴り"が衝撃波のように押し寄せる。十重二十重に折り重なる重低音の唸りと咆哮が、深き海底から響き来たる。
そのような海の広大さの前には、いかな自律して航行する"幽霊船"であっても一切れの木っ端に等しく、腐食した木の板はもろく軋み悲鳴を上げ、船体は激しく揺さぶられるのみ。
残された片目をカっと見開いた、その次の瞬間。
轟音とともに"幽霊船"が引き裂かれ、天地がひっくり返るような衝撃と共に【牙の守護戦士】ソルファイドは裂空へと放り出されたのであった。





