表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/271

※主要な登場人物の紹介~その他(第2章終了時点)

※重大なネタバレを多少含んでいるため、もしよろしければ、第ニ章をお読みいただいてからご覧いただければ幸いです。

※※※リュグルソゥム家関係者※※※

○シィル=フェルフ・リュグルソゥム

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第13位頭顱侯【皆哲】のリュグルソゥム家当主。

 ルク、ミシェールらの父。


 『末子国』からリュグルソゥム家にとって重要な意味を持つ【癒やしの乙女】の聖女が亡命するという情報を受け、罠の可能性を疑いつつも一族を引き連れて王都に向かう。十分に警戒し、いずれの頭顱侯が首謀者となって陰謀を仕掛けてきたとしても対処する備えを万全にしていたが、()頭顱侯が結託したこと、そしてこのためだけとしか思えない各家の秘密の存在を投入してくるという事態は想定できなかった。


 自らだけではなく、西方の前線の弟ガウェロットとその子供達、侯邸に残した子供達も、末息子ルクと末娘ミシェールを除いた全員が討ち果たされる。

 最後は【冬嵐】家と【遺灰】家と【騙し絵】家の連合部隊に捕らえられ、喉を切られつつも時間を稼いで『止まり木』にルクが現れるのを待ち、最後の言葉を伝えて死亡した。



○ミシャイラ=スォールム・リュグルソゥム

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第13位頭顱侯【皆哲】のリュグルソゥム家当主妻。

 ルク、ミシェールらの母。


 夫シィルを支え、子らと共に王都に赴くが、一族全体の誅滅を狙った3方同時の全頭顱侯が結託した襲撃に遭う。

 最期は【遺灰】家の秘術【召喚:灼(サモン・アッシ)灰の怨霊(ュドフレイス)】により焼き尽くされた。



○イリット、アトリ、オーデ、マージェ、スアラ、ラミエリ

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第13位頭顱侯【皆哲】のリュグルソゥム家の長男~三男、長女~次女。ルクとミシェールの兄姉達。


 イリットとオーデ、マージェとスアラは父母に従って王都へ訪れ、アトリとラミエリはルクとミシェールと共に侯邸の護りに残された。

 一族全体の誅滅を狙った3方同時の全頭顱侯が結託した襲撃に遭う最中、イリット、マージェ、スアラは後に【明鏡】の号を得るリリエ=トール家の青年魔導師グストルフに討たれ、オーデは【冬嵐】家によって凍殺される。


 侯邸では、ルクとミシェールを護り逃がすため、ラミエリが【遺灰】家の『灼灰』魔法を学習(コピー)して自らの命と引き換えに足止めを行い、隠し部屋をアトリが抑える。

 アトリは「次期当主代行」として、長兄イリットが死に、一族が破滅に瀕して初めて事の真相の一部を知らされ、行き場の無い苦渋を抱えつつも、ルクとミシェールを逃すため、【四元素】家や【纏衣】家などからなる脅威に対峙する。

 しかし、どこからともなく現れた《驫?》色の存在に停止したかのような時間の中で殺された。



○ガウェロット

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第13位頭顱侯【皆哲】のリュグルソゥム家当主代行。

 シィルの弟。ルク、ミシェールらの叔父。


 誅滅事件発生時、【西方懲罰戦争】に子らを率いて参陣していたが、『止まり木』の秘術によりシィルらと十分に連携して事態の把握と陰謀への備えを行っていたが、全頭顱侯の結託とリュグルソゥム家の知らない各家の秘密の存在による同時襲撃を受けた。


 特に、結託すると予想できなかった【騙し絵】家の技術が【紋章】家の技術と合わさった【転移】魔法の奇襲が中核となり、陣中で襲われる。最も警戒していた【歪夢】のマルドジェイミ家の【精神】妨害(・・)魔法によって『止まり木』での連携を断たれ、善戦するも、【魔剣】のフィーズケール家の【剣魔】侯子デウフォンと激戦を繰り広げた末に敗れた。



○シェイグ、ミディア、アルロイ、キーセット

 ガウェロットの子ら。ルクとミシェールの従兄弟達。

 自らを"落ちこぼれ"として一族との心理的距離を取るルクを厭う態度などを示していた。


 誅滅事件では父ガウェロットに従い、一族の精兵を率いて陣地を構築していたが、想定することのできなかった【転移】魔法の発動を受けて現れた【騙し絵】家の兵達と交戦。善戦するも、現れた【歪夢】家の【精神】妨害魔法によって『止まり木』での連携を断たれ、次々に捕らえられて殺された。



○リュグルとソゥム(故人)

 リュグルソゥム家の祖となった、元結合双生児であった男女の兄妹。

 【破邪と癒やしの乙女(クールエ=アトリテラ)】の加護者によってその身を分かたれ、交わることが可能となったことから、リュグルソゥム家が興った。




※※※イセンネッシャ家関係者※※※

○ドリィド・トゥーオ=イセンネッシャ

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第2位頭顱侯【騙し絵】のイセンネッシャ家当主。

 かつてリュグルソゥム家当主シィルと果たし合った因縁がある。

 リュグルソゥム家誅滅事件に関わり、その"落とし子"の娘であるツェリマにシィルらを襲撃させた。



○大婆様(名称未出)

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第2位頭顱侯【騙し絵】のイセンネッシャ家の重鎮。

 イセンネッシャ家の「全ての術」を知り、引き継ぐ存在とされる。



○デェイール・トゥロァ=イセンネッシャ 『正嫡』

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第2位頭顱侯【騙し絵】のイセンネッシャ家侯子。

 透き通った琥珀を思わせる華美な戦闘礼服を纏い、白けた琥珀色の黄髪に、イセンネッシャ家の特徴である切れ長の目。さながら、泥濘の中で決して染め上げられず、凛にして泰然とその鈍い輝きを放ち続ける宝玉のような存在感を秘めた青年。


 ドリィドの正式な子で次期当主として育てられたはずであったが、産まれるはずの無い"私生児"の姉がいたことでその立場に一定の不安定さが付きまとった。


 リュグルソゥム家誅滅事件後、【人攫い教団】の『ハンベルス鉱山支部』の叛逆(・・)に関連し、旧ワルセィレ地域ヘレンセル村に再活性化した"異界の裂け目"が存在することを察知して、姉ツェリマから特務部隊『廃絵の具』の指揮権を奪ってロンドール家が引き起こした騒乱に介入する。

 吸血種(ヴァンパイア)ユーリルを捕らえて【転移】魔法の門とすべく"裂け目"に解き放つ、ヘレンセル村を焼き尽くす予定であった【春ノ司】に強力な【火】属性の鹵獲魔獣を与えるなど暗躍し、姉とも和解してその新たに率いていた『追討部隊』と共に"裂け目"に侵入したが、敵対する者が「リュグルソゥム家の残党」であるという先入観を覆すことができずに【エイリアン使い】と対峙させられることとなった。


 【騙し絵】家から自らの支持者や多種の魔導具、更には【画楽隊】という特殊な存在をも伴って熾烈な戦いを繰り広げたが、競争相手であった姉ツェリマがグストルフによって【転移】させられて生還するのを目の当たりにする。

 特攻を覚悟して【エイリアン使い】オーマの首元まで迫ったが、最後は【黒穿】に貫かれる。最後の力を振り絞り、自らの記憶を【空間】魔法によって消去しつつ「姉上ェェ」への憎悪と共に絶命した。



○ツェリマ=トゥーツゥ・イセンネッシャ 『私生児』

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第2位頭顱侯【騙し絵】のイセンネッシャ家侯子。

 非常に切れ長で険の鋭い双眸を細め、くすんだ灰に青色混じりの短髪の女性であり、その顔には大きな傷がある。【騙し絵】家の独特の武術である『歩法(ネーヴェ)』の達人。


 産まれるはずが無かった"私生児"であるが、ドリィドを慕った母が狂乱の末に【空間】魔法の技を悪用して産み落とした。


 一族の厄介者として、同じくイセンネッシャ家的な意味で"私生児"として産み落とされた者達からなる特務部隊『廃絵の具』を率いて暗躍。リュグルソゥム家の誅滅事件でも主要な襲撃者となるなど功績を積んだが、その残党を追う最中、『ハンベルス鉱山支部』の叛逆(・・)を契機に弟デェイールに部隊の指揮権を奪われた。

 その後、誅滅事件で共闘した他家の"厄介者"達を招集して『追討部隊』を結成。

 【春疾火の乱】ではデェイールと対峙したが、【騙し絵】家の悲願成就の前に和解して共同で"異界の裂け目"へ攻め込むが――そこは【闇世】に擬装された元『ハンベルス鉱山支部』の跡であった。


 デェイールと共に、首謀者が「リュグルソゥム家残党」であると見誤ったことで、罠にかけられたまま【エイリアン使い】の軍勢と対峙することとなる。自らの命を捨ててでも本家に情報を【転移】させようとするが、グストルフの介入によって、両腕を失いつつも自分自身が【転移】させられ、生還した。



○イセンネッシャ/画狂(故人)

 【騙し絵】のイセンネッシャ家の始祖であり、200年前に【九相】のルルグムラ家の宮廷にぶらりと現れる以前の経歴は不明。

 初期の『廃絵の具』を結成し、ルルグムラ家の闇を暴いて『長女国』における「大粛清」の始まりの原因を生み出すなどの爪痕を残したが、その正体は【闇世】から落ち延びた元迷宮領主(ダンジョンマスター)従徒(スクワイア)であったことがユートゥ=ルルナにより明かされる。


 元主である【水源使い】イノリを殺してその迷宮核(ダンジョンコア)を奪ったとされており、その力が現代のイセンネッシャ家の【空間】魔法の元となっている。



※※※『追討(厄介者)部隊』関係者※※※

○デウフォン・サレイア=フィーズケール 【剣魔】

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第5位頭顱侯【魔剣】のフィーズケール家侯子。

 王都の劇場で歌舞く花形役者であるか、そうでなければ観客に媚びるのが上手な熟練の闘技場闘士と称される華美にして絢爛たる装飾の数々で無駄に彩った鎧姿にして、あたかも神話に登場する英雄のような大仰かつ激烈な立ち回りをする若武者。


 自らへの絶対の自信に基づいて相手を侮る言動を行うが、その実力は本物であり、【魔剣】家と"最強"争いをしていたリュグルソゥム家当主代行ガウェロットを誅滅事件で討ち倒した。ただし、誅滅そのものへは『剣姫』である一族の「婆様」の顔を立てて参加したのみであると嘯き、自由行動を旨とする。


 【剣】に対する強い自負を持ち、また武一辺倒ではなく学識を有しており、ツェリマ率いる"厄介者"達の中では唯一"裂け目"の向こう側の首謀者が「リュグルソゥム家残党」ではない可能性を看破していた。

 このため、新生リュグルソゥム家との交戦の最中でも【エイリアン使い】オーマが仕掛けた空間丸ごとの【転移】を察知し、トリィシーと共に回避したが、遺跡にも繋がる地である『ハンベルス魔石鉱山』内に取り残された。



○トリィシー=ヒェルメイデン

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第11位頭顱侯【歪夢】のマルドジェイミ家の走狗『罪花』に所属する"兵隊蜂"の女術士。咥えた煙管から青い煙を吐き出す艶美な女性で、青紫色のガウンに身を包み、その上から魔導鎧を中途半端に着崩した娼婦然としている。


 自らも貴人であることが示唆されており、【歪夢】家が抱くリュグルソゥム家への特別な復讐心を共有しており、誅滅事件においては【西方懲罰戦争】の前線にて、武装したガウェロットとその子らを無力化するための【精神】妨害魔法を駆使した。

 その後、ツェリマの招集に応えて「リュグルソゥム家の残党」を追って"裂け目"に達する。小醜鬼(ゴブリン)という「人間そのもの」としか思えない生物の【精神】構造に違和感を覚えつつ歩みを進めるが、新生リュグルソゥム家が囮となって【エイリアン使い】が発動させた空間ごとの転移に巻き込まれ――る寸前で【剣魔】デウフォンに救われる形で回避した。



○グストルフ=リリエ=トール 【転霊童子】

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】掌守伯リリエ=トール家の伯子。

 白と青を基調とした、身体にぴっちりと合うような細身の戦闘魔導服を纏った猫目のごとき眼光を持つ白髪の青年魔術師であり、特徴的な笑い方と人を食ったような話し方をする。


 奇人に片足を踏み入れたような奇矯な言動と振る舞いも多いが、その実力は【剣魔】デウフォンに匹敵するとされており、"大道芸"と称される【光】魔法の推力による独特の高速・変則機動による空中戦を得意とする。

 誅滅事件ではイリットらを下し、対【エイリアン使い】戦でも多数のエイリアン達を相手取って激戦を繰り広げたが、何故か(・・・)ツェリマの命を賭した本家への情報伝達の企みを完璧に予測。光速によって介入し、ツェリマ自身を【転移】させて生還させると同時に自らは四肢を断裂して絶命した。


 ……かと思われていたが、オーマによって【転霊童子】という奇妙な称号(タイトル)を持つことを察知されており、今後、何らかの形で(別の人物として)再出現することが警戒されている。



○ハンダルス=ギフォッセント

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第8位頭顱侯【冬嵐】のデューエラン家の当主ゲルクトランの右腕を自称する魔導師。

 見る者に粗暴な印象を与える無精髭であり、ヤクザ者をまとめる悪徳衛兵を思わせる風貌。


 ツェリマが招集した"厄介者"の一人であったが、ヘレンセル村均衡の"裂け目"への討ち入りの直前で離脱。【冬嵐】家へ帰還していたと思われていたが、その真の任務は、マクハードを利用してロンドール家が引き起こした騒乱に介入し、その"成果"を奪い取ることであった。

 マクハードが予想を越えて【氷凱竜】の血に適合し、その力を引き出したことで野心がくすぐられ、監視するだけに留めていたはずの聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る戦いに自らも参加するが、そこで【エイリアン使い】の攻撃に巻き込まれることとなる。


 【氷凱竜】の力を借りてリュグルソゥム家と交戦するが、最後は追い詰められて捕らえられそうになったところ――彼に取り憑いていた【精霊】と呼ばれる存在達が出現。【闇世】の存在である【エイリアン使い】の眷属達との対消滅(・・・)に巻き込まれ、消滅することとなる。



○サイドゥラ=ナーズ=ワイネン

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第7位頭顱侯【遺灰】のナーズ=ワイネン家侯子。

 肩まで垂れた長髪も、その下にまとう装束も全てが"灰"色でありながら、帯や靴、内服や耳飾りなどにアクセントのようにキラリと洒落と数奇を主張させることで、決して自身が一族の他の者と同類の"陰気者"などではない、とささやかなる主張をしているかのような青年。


 ツェリマが招集した"厄介者"の一人であったが、リュグルソゥム家の誅滅には不参加であった。

 厭世的で世捨て的な態度であり、死地を求めて"裂け目"に参加したと思われる嫌いがあるが、グストルフにその精神を見抜かれるという不可思議な交流をしながら、最終的に"裂け目"の向こう側で【エイリアン使い】と対峙する。

 【遺灰】家の秘術【灼灰の怨霊(アッシュドフレイス)】を操って戦ったが、敵地で張り巡らされた『殺し間』の中で魔力切れとなって倒れ、捕らえられる。


 その後、【エイリアン使い】オーマによる尋問の中で、自らの望みが【灼灰の怨霊】にされた"弟と妹達を弔うこと"であると明かし、誅滅されたリュグルソゥム家に同情を示しただけではなく、【遺灰】のナーズ=ワイネン家の正体が、かつて粛清された【九相】のルルグムラ家の姿も秘匿技術も偽装して生き延びた一族であることを暴露した。




※※※ロンドール家関係者※※※

○ハイドリィ=ロンドール

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】掌守伯ロンドール家の伯子。関所街ナーレフの執政。

 髪が全て同じ長さに切り揃えられ、毛先まで丁寧に整えられている様に、その几帳面な気質が端的に表されている男。勘の鋭すぎる眼光その怜悧な顔にうっすら微笑みを浮かべ、人と接する際にできる限り柔和な印象を与えようとしているが、細められた瞳には審問官のような厳しい眼光が油断なく宿っている。


 かつて第4位頭顱侯【紋章】のディエスト家に屈服されたという、ロンドール家の憎悪の歴史を父グルーモフと共に引き継ぎながらも、その"走狗"として汚れ仕事を担い続け、ついには【紋章】家の金庫番としての地位を固め、関所街ナーレフの執政を任されるに至った。


 忠臣という名の【紋章】家からのスパイを排除後は、自身の見出した側近達によってナーレフ施政の脇を固め、その裏で旧ワルセィレ地域の超常法則である【四季一繋ぎ】を利用した"秘匿技術"の完成と、それによって一挙に頭顱侯へと成り上がることを狙う。


 政敵であったギュルトーマ家と協力すると見せかけて失墜させることを狙うなど、計画は順調に進んでいるかに見えたが、実はロンドール家の野心を利用して【紋章】家を失墜させる餌とされていたこと。

 そして何より【闇世】から現れた【エイリアン使い】オーマの思惑と利害が衝突したことから、最終的に、聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る攻防戦でその壮絶なる介入を受けることとなる。

 編み出したる秘術【ロンドールの奏で唄】によって抵抗し、同じく介入していた【冬嵐】家の【氷凱竜】の血の力との三つ巴の争いを繰り広げるが、最後は敗れて【エイリアン使い】の虜囚となり、誅滅事件の真相と内実に迫らんとする新生リュグルソゥム家に引き渡された。



○レストルト=ミレッセン/"懐刃"/猫骨亭の亭主

 ロンドール家のハイドリィに使える側近の一人。"懐刃"の異名を与えられている。

 かつてロンドール家に盗みに入ったが、その隠密の才能を先代執政グルーモフに見出されて登用され、ハイドリィの指揮下で暗部部隊を取りまとめるに至った。


 関所街ナーレフに拠点を置く様々な商団、商会、密輸団などを裏から統制する『猫骨亭の亭主』として恐れられており、反抗組織【血と涙の団】を肥え太らせる(・・・・・・)役割を担っており、自らの野心の成就のためにはハイドリィに何としても成功してもらわなければならないと考え、忠実に協力していた。

 聖山ウルシルラでの攻防戦にも参加していたが、エスルテーリ家令嬢エリスをラシェット少年が【転移】魔法によって逃がす様を目撃。【騙し絵】のイセンネッシャ家が想定とは異なる介入をしていることへの疑心に囚われたこと、また隠密術式への過信から、【エイリアン使い】の攻撃の最中ラシェットを深追いしたことで捕らえられ、最終的に主ハイドリィと共に新生リュグルソゥム家に引き渡された。



○ネイリー/"梟"

 "妖怪"と称されるロンドール家の3代前からの家臣であり、その暗部を一点に凝集させたかのような存在とされる。ハイドリィの元傅役にして側近でもあり、"梟"の異名を持つ。

 枯れ枝のような、触れればそのまま折れて逝ってしまうかと思う程に弱々しい黒装束の老人であるが、【血の影法師(ブラッドシャドウ)】としての戦闘訓練を受けたはずのユーリルをして勝ち筋が見いだせないと恐れさせ、しかもその正体を見破っている存在。


 【騙し絵】家の動き、ユーリルが行った「聖女攫い」など、通常では知ることのできないはずの一連の事件について正確な認識とそれに基づいた予測を有しており、何らかの独自の思惑のために【エイリアン使い】の下にユーリルを送り込むべく様々な助言を行った。

 聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る騒乱の前夜、エリス=エスルテーリが関所街ナーレフに乗り込むことに前後してロンドール家を離れるが、その去り際、混乱するユーリルに対して『シャンドル=グームへ来い』と告げた。



○サーグトル/"痩身" 【マイシュオスの再来】

 ロンドール家のハイドリィに使える側近の一人。"痩身"の異名を与えられている。

 異名通りに病的なまでに痩せた"学者崩れ"。


 元は【ゲーシュメイ魔導大学】に属していたが、複合属性理論で知られた【風】魔法使いマイシュオスに傾倒。属性分類不要論という異端に染まったことで追放されたが、ロンドール家に拾われ、旧ワルセィレ地域を覆う【四季一繋ぎ】という超常法則の研究に関わる。

 その機序をほぼ正確に解き明かし、ロンドール家が狙う【奏獣】の理論形成に巨大な役割を果たした。


 最後の仕上げとして、聖山ウルシルラでの【冬ノ司】の討伐に参戦するが、【エイリアン使い】の勢力とハンダルスと結託したマクハードによる襲撃を受ける。【氷】属性への対抗魔法を以て挑んだが、その最後は血中の水分を凍らせて生み出された刃によって貫かれる。

 その今際に「属性とは認識の"檻"」であり、【魔法学】という支配的な学問の真の目的に関する独自の気付きに至るが、誰にそれを発表することもなく落命した。


 ――そして、彼に取り憑いていた【精霊】達がその姿を露わにし、ハンダルスに取り憑くこととなる。



○ヒスコフ=グリュンエス/"堅実"

 ロンドール家のハイドリィに使える側近の一人。"堅実"の異名を与えられ、関所街ナーレフに駐留する魔法兵部隊の隊長を務める。

 かつて【西方懲罰戦争】の前線を転戦し、観察眼と運の良さによって生き延びてきたが、自らよりもずっと実力も勢いもあったはずの"才有り"達が次々と死んでいく有様を見せつけられ、『長女国』における「魔法至上主義」の歪さを痛感している。


 その後、ロンドール家に仕えるようになってからは、生来の苦労人気質によって"巨漢"の相手を任され、"痩身"の助手扱いとされるなど望まぬ重責を次々に引き受けたり、知れば足抜けできなくなる程度の秘密を知らされていくこととなり、ついには聖山ウルシルラの攻防戦で主力部隊を率いることとなった。

 それでも仕える立場は仕える立場であるとの職業倫理から、【エイリアン使い】と【氷凱竜】の襲撃を受けて三つ巴に巻き込まれたハイドリィと共に抵抗と乾坤一擲の反撃を繰り広げるが、最終的には【エイリアン使い】に屈服して投降した。


 その後、自らの命と引き換えに部下達の助命を提案しようとするが、【エイリアン使い】オーマが彼に提示したのは全く異なる選択肢であった。



○デウマリッド・スカンドリッドリィド=アウンゴリッドリィド/"巨漢"

 ロンドール家のハイドリィに使える側近の一人。"巨漢"の異名を与えられ、関所街ナーレフの市衛達の取りまとめ役であった。

 磊落豪放にしてとにかく「声がでかい」男であり、悪気無しに人に対して馬鹿力で接する悪癖がある。同僚であるヒスコフを気に入っており、友として認識しているが、彼からは迷惑がられていることにも気づかない。


 元は【北方氷海】に住まう"兵民"と呼称される「名喰い」の力を持つ民の所属であったが、父スカンドリッドが知ってはならぬ秘密を知って「抹消」されたことに疑念を持ち、自らもまたその理由を知ろうとした結果、追放されると同時に「名を与えられ」るという呪詛(・・)を帯びた。

 『長女国』各地を流浪して問題を起こしつつ、ロンドール家に流れ着くが、その【呪歌】の力を見出したハイドリィによって重用され、対【冬ノ司】では奥の手とも切り札とも秘密兵器としても頼られていた。


 事実、出現した【氷獄の守護鬼(フロストガード)】達に対しても【氷凱竜】に対してさえも彼の力は通用し、それらの討伐に大きな貢献を果たすが、最終的には【エイリアン使い】に捕らえられる。

 その後、「名喰い」の力に特別な興味を示した【エイリアン使い】オーマによって助命されるだけでなく、ヒスコフと共に特別な選択肢を与えられることとなる。




※※※エスルテーリ家関係者※※※

○アイヴァン=エスルテーリ

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】指差爵エスルテーリ家の当主。

 征服地旧ワルセィレを治めるロンドール家に対する"目付け"として派遣された王国忠臣の家系であり、元は関所街ナーレフの市衛も担っていたが、妻と娘を人質に取られる中でその野心を阻止できずにいた。

 しかし、ラシェットの父がその身を犠牲にして二人を逃がすキッカケを作ったことで行動の自由を得て、聖山ウルシルラへの道を封鎖してロンドール家の野心を数年に渡り妨害し続けた。


 その後、機会を待ってギュルトーマ家と結び、反抗組織【血と涙の団】とさえも交渉して、ロンドール家の不正を暴くためにあえて【春疾火の乱】に参加してヘレンセル村へ自ら出兵したが、【騙し絵】家侯子デェイールの過剰な介入によって暴走した【春ノ司】に焼かれて重傷を負う。

 乱そのものは"珍獣売り"オーマとその仲間達の差配によって鎮静されたが、ヘレンセル村に運び込まれた後、娘エリスにエスルテーリ家を託して息を引き取った。



○エリス=エスルテーリ

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】指差爵エスルテーリ家の令嬢。

 かつて母と共にラシェットの父に救われたことへの恩返しと、父アイヴァンが目論むロンドール家の不正告発のための(おとり)となるべく、ヘレンセル村に乗り込む。


 しかしロンドール家に寝返っていた従士長ミシュレンドの策謀により、本当に謀殺されそうになったところをラシェットに、父子二代続けて救われることとなる。勝ち気で素直ではない振る舞いながらも、ラシェットの身を案じて逢瀬と交流を重ねるが、ついに真実を言えぬままに事態が一気に進展し、ついには父アイヴァンが【春疾火の乱】の負傷が元となって命を落とすこととなった。


 魔法の才が乏しい我が身に負い目を感じつつも、その意思を成就させるために関所街ナーレフに赴いてハイドリィ=ロンドールを激しく糾弾するが、【エイリアン使い】オーマの示唆を受けたマクハードの機転により、エスルテーリ家軍と【血と涙の団】もろとも聖山ウルシルラへの行軍にラシェットと共に同行することとなった。

 騒乱の最中、【エイリアン使い】による攻撃が始まると、それをエリスに見せまいとしたラシェットによって【転移】させられ、関所街に送還されることとなる。


 その後、帰還したラシェットと合流しつつも、執政たるハイドリィとその側近であった幹部側近を丸ごと失った関所街ナーレフにおいて、法的にはその混乱を招集する責任がある一時的な最高位者となってしまうこととなった。



○セルバルカ/ヘレンセル村村長

 エスルテーリ家に仕える古参の従士であり、要地ヘレンセル村の村長を務めていた。

 教父ナリッソを協力させ、"村長派"を形成して旧ワルセィレの民を徐々に追いやる形で圧迫する統治を進めていたが、【エイリアン使い】オーマが投じた【火の魔石】という一石によって、ロンドール家と【四季一繋ぎ】の法則を巡る激動に巻き込まれることとなる。


 【春疾火】の乱にてミシュレンドに殺される寸前であったところをオーマの介入によって生き延び、また、その示唆によってエリスと共にロンドール家軍に合流して聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る騒乱にも参加するが、【冬ノ司】及び【冬嵐】家の介入で顕現せる【氷凱竜】のもたらす絶大な寒気に巻き込まれた。



○ミシュレンド/従士長

 エスルテーリ家に仕える古参の従士であり、従士長を務めていた。

 ロンドール家を騙すための餌としてヘレンセル村へ赴いたエリスの護衛であったが、その実はロンドール家に裏切っており、本当にエリスを謀殺するつもりであったところをラシェット少年によって邪魔されることとなる。


 代わりにセルバルカらに重傷を追わせてアイヴァン=エスルテーリを呼び出すことには成功したが、ヘレンセル村で彼を排除することには【エイリアン使い】オーマの介入で失敗。

 それでも裏切り者としてロンドール家に拾われねば身の破滅が待っていたことから、マクハードの機転によってエスルテーリ家が聖山ウルシルラへの派遣軍に同行することを奇貨として、執政ハイドリィ=ロンドールに忖度して混乱の中でエリスを始末しようとする。


 しかし、【転移】魔法によってエリスが逃されたことを理解できず、その行方を聞き出すためにラシェットを追いかけたところ、騒乱に介入した【エイリアン使い】の「第一陣」で空中から襲来した城壁獣(フォートビースト)によって圧砕粉殺された。



※※※ヘレンセル村関係者※※※

○ラズルト

 ヘレンセル村の木こり。

 『長き冬』の害に耐えかね、森に分け入ったところを野獣に襲われて死にかけるが、【エイリアン使い】オーマに救われる。

 そして、価値のある品物を放り込むことで流民やならず者、食い詰め者や一攫千金を狙う者達の類を呼び寄せる「一石」を投じる策に利用されて【火の魔石】を村へ持ち帰ることとなる。



○トマイル

 ヘレンセル村の外れに住む古老であり、元は【涙の番人】も務めたことのある【血と涙の団】の先代の後見役であり、旧ワルセィレの民からは尊敬を集めていた。

 禿頭の好々爺であるが、20年前の【紋章】家による征服で息子を失ったことを恨んでおり、村の者とも積極的に交流しようとせず、キンドッツという孫夫婦とその娘マリューショと共に静かに暮らしていた。


 寿命もあり『長き冬』を越えられずに亡くなろうとしていた寸前で、マクハードの依頼によって"治癒術士"として村を訪れていた【エイリアン使い】オーマによって延命される。

 その後、オーマに旧ワルセィレを覆う超常の法則などについて語り、その人となりを見極めるが、既に寿命いくばくも無い身として現役復帰するようなことはせず、聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る騒乱が始まる最中、静かに息を引き取った。




※※※【血と涙の団】関係者※※※

○マクハード=ラグラセイレ 【獅腹を食い破る者】

 旧ワルセィレ地域出身の行商隊を率いる男であり、反抗組織【血と涙の団】を"後見役"として支援していた商人の男。20年前の征服以来、その反抗心を時に隠し時にわざと現しつつ、彼をあえて泳がせるというロンドール家の思惑に乗って上手に利用されながらも、支配の打破のための活動と暗躍を続けてきた。


 その実、圧政を敷くロンドール家を、そしてその主家である【紋章】のディエスト家自体を嵌めようと『長女国』内の複数の勢力の思惑が渦巻く中をこそ彼は泳いでおり、マクハードの構想は、ただ単にロンドール家を打倒するというものに留まらず、神性【泉の貴婦人(ルル=ムーシュムー)】を象徴として、ロンドール家が編み出していた『血と涙(ねがい)』を力に変える【奏獣】の力そのものを横取りして交渉のための武力と成すものであった。

 さらに、彼は【冬嵐】家との取引によって【氷凱竜】の血という力さえもその身に宿し、崇拝していた【四季ノ司】をも支配し、自らを信じて付いてきた【血と涙の団】の者達の命さえも賭け(ベットし)ていたものである。


 しかし、その最後の一手を打つに当たって、【闇世】からその身分と存在を偽って現れ、浸透してきた【エイリアン使い】オーマの正体を見抜くことができず、またその本性も読み間違えたことで、聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る騒乱で介入を受ける。

 その身に宿した【氷凱竜】の分体をも解き放って対抗しようとしたが及ぶことはなく、【氷凱竜】の分体は滅され、【四季一繋ぎ】の法則もまたオーマによって解消されて捕らえられることとなった。


 そして『審問』の中で、一旦は「別の者に売り払った」己の矜持が戻されていることを悟り、自らを復讐者ではなく商人として高く買っている【エイリアン使い】オーマの構想に付き合うことを決意することとなる。



○アルグ

 旧ワルセィレを【紋章】家支配から脱却させることを目指す反抗組織【血と涙の団】の団長。

 数々の密輸団や関所街ナーレフ紐付きの商団などと戦い、その物資を奪って実力をつける実働部隊を指揮して育て上げ、来るべき決起の日に備えていた。


 そうしてついに、ギュルトーマ家とエスルテーリ家と結んでロンドール家の不正を告発するための戦いに立ち上がったが、【騙し絵】家侯子デェイールの「無傷での勝利」を厭う"気まぐれ"によって犠牲とされるだけでなく、この際に身に仕込まれた【転移】魔法によって【騙し絵】家が鹵獲していた数々の【火】の魔獣を呼び出す"門"とされて落命した。



○ハーレイン

 旧ワルセィレを【紋章】家支配から脱却させることを目指す反抗組織【血と涙の団】の副団長。

 古参や他の幹部からは嫌われている"後見役"マクハードのシンパであり、彼の意に沿うように実働部隊を裏から誘導していた。

 【春疾火の乱】を生き延び、またマクハードに従って多くの【血と涙の団】の団員達をロンドール家への"同行"に導いたが、【エイリアン使い】の介入とマクハードによる【氷凱竜】の顕現という三つ巴の争いに巻き込まれ、絶大なる寒気の中に巻き込まれた。



○サンクレット

 旧ワルセィレを【紋章】家支配から脱却させることを目指す反抗組織【血と涙の団】の若き勇士。

 【春疾火の乱】において父とも慕う団長アルグが殺された後、仲間達からの推戴で新団長となる。


 その後、ハーレインの説得を受けたことや【春ノ司】が竜人ソルファイドに宿ったとされることなどを受け、マクハードに従って多くの【血と涙の団】の団員達と共にロンドール家に"同行"することとなったが、【エイリアン使い】の介入とマクハードによる【氷凱竜】の顕現という三つ巴の争いに巻き込まれ、絶大なる寒気の中に巻き込まれた。



○ベネリー

 旧ワルセィレを【紋章】家支配から脱却させることを目指す反抗組織【血と涙の団】の大幹部。関所街ナーレフの"内側"にあって、情報収集や工作によって団を支援する役割を果たしていた。

 母性溢れる酒場の女将という表の顔を持ち、多くの勇士達と浮名を流してきた女性でもあるが、同時にその男達を必要とあらば次々に駆り立てて死地に送ってきた冷徹さも持っている。団長アルグやマクハードとすらも関係を持ったことがあり、【血と涙の団】を知り尽くす女性。


 マクハードの構想を部分的に理解していたことから、関所街ナーレフに彼がエリス=エスルテーリと現れた際には気脈を通じて"内側"の団員達を退去させ、ヘレンセル村に合流することに同意している。

 しかし、マクハードが【春ノ司】の化身であるとして竜人ソルファイドを持ち上げて多くの団員達を連れてロンドール家軍に"同行"する手を打つことや、そもそも【血と涙の団】自体を目的のための生贄とする思惑を持っていたことまでは読めずに、その他の"内側"の幹部達や、怪我人だらけのヘレンセル村に取り残されることとなった。




※※※四季ノ司※※※

○春ノ司/春司

 【泉の貴婦人(ルル=ムーシュムー)】に従い、旧ワルセィレ地域の【四季一繋ぎ】を司っていた神性の一柱。

 本来は『燃えるちょうちょう』に宿る【春】の化身であるが、【奏獣】の力を完成することを狙うロンドール家によって封じられたことで【冬ノ司】が暴走し、『長き冬』の原因となった。


 その後、ギュルトーマ家とエスルテーリ家を同時に罠にかけると同時に【血と涙の団】を蜂起させることで一挙に対処しようというロンドール家の策により解き放たれるが、介入した【騙し絵】家侯子デェイールが呼び出した強力な【火】の魔獣【焔眼馬(イェン=イェン)】に宿ってヘレンセル村に歩みを進めることとなる。

 しかし、そこに介入した【エイリアン使い】オーマによって、己の本分が【火】ではなく【春】であるという本来の"認識"を取り戻して分離され、オーマに宿って彼の痛みを知った後に、暴走した同胞(はらから)である【冬ノ司】を鎮めるために共に聖山ウルシルラの「深き泉」に赴いた。


 【冬ノ司】が鎮められ、また救っていた【氷凱竜】の劣化意識体が排除された後は、オーマが提起した【四季一繋ぎ】の解消に同意して、ただの地域の自然現象に戻る――かと思われたが、【春ノ司】だけは再びオーマの、より魂の深い部分に宿ってその力となることを選んだ。



○夏ノ司/夏司

 【泉の貴婦人(ルル=ムーシュムー)】に従い、旧ワルセィレ地域の【四季一繋ぎ】を司っていた神性の一柱。

 本来は『風乗りキツツキ』に宿る【夏】の化身であるが、【奏獣】の力を完成することを狙うロンドール家によって封じられ、さらに強力な【風】の魔獣【旋空イタチ蛇】に宿らされていた。


 聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る攻防戦では、【冬ノ司】を撃破するための秘密兵器としてハイドリィ=ロンドールの【奏獣】の中核として【エイリアン使い】、【冬ノ司】並びに【氷凱竜】とその眷属たる【氷獄の守護鬼(フロストガード)】達と戦ったが、最後は"名付き"達の総攻撃を受け、カッパーの【魔法の矢:雷】の直撃で討ち取られる。


 その後、【エイリアン使い】オーマが提案した【四季一繋ぎ】の解消に賛成票を投じ、自然現象の中にその存在と概念を帰散させることとなった。



○秋ノ司/秋司

 【泉の貴婦人(ルル=ムーシュムー)】に従い、旧ワルセィレ地域の【四季一繋ぎ】を司っていた神性の一柱。

 本来は『のんびりモグラ』に宿る【秋】の化身であるが、【奏獣】の力を完成することを狙うロンドール家によって封じられ、さらに強力な【土】の魔獣【泥濘子守り蜘蛛】に宿らされていた。


 聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る攻防戦では、【冬ノ司】を撃破するための秘密兵器としてハイドリィ=ロンドールの【奏獣】の中核として【エイリアン使い】、【冬ノ司】並びに【氷凱竜】とその眷属たる【氷獄の守護鬼(フロストガード)】達と戦ったが、最後はその支配権を巡ってハイドリィとマクハードとの間の壮絶な"引っ張り合い"により股裂きとなった。


 その後、【エイリアン使い】オーマが提案した【四季一繋ぎ】の解消に賛成票を投じ、自然現象の中にその存在と概念を帰散させることとなった。



○冬ノ司/冬司

 【泉の貴婦人(ルル=ムーシュムー)】に従い、旧ワルセィレ地域の【四季一繋ぎ】を司っていた神性の一柱。

 本来は『雪うさぎ』に宿る【冬】の化身であるが、【奏獣】の力を完成することを狙うロンドール家によって強力な【氷】の魔獣【氷河の角山羊(グラシアルゴート)】に宿らされるも、抵抗して聖山に遁走。【春】が封じられていることから【四季一繋ぎ】の法則を守るため、一時的に【泉の貴婦人】を凍らせて護り続けた結果、彼女を通して流れ込んだ【血と涙(ねがい)】の力によって【雪崩れ大山羊(アバランシェゴート)】に至ったことで、ハイドリィ=ロンドールの計画は遅れることとなった。


 なお、この暴走の真実は、【冬嵐】家の秘密である【氷凱竜】の血を与えられたマクハードが【氷獄の守護鬼(フロストガード)】をその身に打ち込んでいたことであり、これにより、内側に【氷凱竜】ヴルックゥトラの分体の意識を宿して苦しめられることとなる。

 しかし聖山ウルシルラに兵を進めたロンドール軍との戦いの最中、介入した【エイリアン使い】オーマによって【氷凱竜】との"認識"を切り分けられて分離することに成功。マクハードを駆り立てて「泉」に向かい【貴婦人】を先に抑えるべく、【エイリアン使い】とロンドール家軍との三つ巴の争いを繰り広げるが、最後には力尽きて敗れ、【氷凱竜】の劣化意識体が滅されるのを目の当たりにして抵抗を諦める。


 その後、【エイリアン使い】オーマが提案した【四季一繋ぎ】の解消に賛成票を投じ、自然現象の中にその存在と概念を帰散させることとなった。



※※※その他【人世】関係※※※

○ヴィアッド

 関所街ナーレフに勢力を持つ密輸組織『霜露の薬売り』を率いる老婆。

 かつて息子も夫も"食い詰め者"として、国内の何処へ流れていったか知らぬ身であったが、一家の母であるを捨てて今の稼業に飛び込んだ身であり、自らも熟練の薬師である。


 ヘレンセル村近郊で発見された【火の魔石】の影響により形成された"野営地群"の設立に関わった一人であり、"珍獣売り"の二人と意気投合。彼らの主であるオーマに商機と勢いと、そして何より、かつて褪せたはずの「夢」を思い出して、その構想に一枚噛むことを早々に決めた。



○ゲルクトラン=デューエラン/デューエラン家

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第8位頭顱侯【冬嵐】のデューエラン家当主。

 リュグルソゥム家の誅滅では唯一、当主自らが手勢を率いて襲撃に参加した。王都でシィルら父子を【遺灰】家、【騙し絵】家らと共に襲撃し、三男オーデを殺している。


 また、自称右腕であるハンダルスを旧ワルセィレ地域に派遣し、ロンドール家の叛逆への介入を試みたことが示唆されている。



○レドゥアール/ギュルトーマ家

 元頭顱侯【重封】にして現掌守伯のギュルトーマ家に属する青年。

 ロンドール家との【奏獣】用の魔獣輸送に関わり、聖山ウルシルラへの行軍にも同行しているが、そこで【春司】を宿したことにされていたソルファイドに接触。


 ロンドール家がそもそも嵌められていることや、ソルファイドが竜人(ドラグノス)であることに着目したことを明かした上で、『次兄国』に広がる【拝竜会】という集団の存在を調べるよう"助言"して姿を消した。



○苔生したマリアンヌ/アイゼンヘイレ家

 【輝水晶(クー・レイリオ)王国】第6位頭顱侯【像刻】のアイゼンヘイレ家の侯邸にある隠された部屋に安置されている。ぼろぼろで、苔生しており、ほつれては修繕され、布地が剥げ落ちては新たに当てられてを……おそらくは何百年も繰り返されたであろう、子供が片手に抱きかかえるほどしかない布人形。

 始祖たる人形師アイゼンヘイレが、生涯を通して修繕し続け、苔生しても決して肌身離さずに持ち続けていたという1体の古い布人形に相当すると思われる存在。


 新生リュグルソゥム家のダリドが『彫刻操像士(ゴーレメイカー)』となった際、はるか遠方にありながら反応する。「タマヌケ」が現れたと訝しみ、4分家の代表を集めようとしたが、考え直して様子見を選んだ。



○《驫?》色の者

 リュグルソゥム家誅滅事件において、侯邸に残されたルクとミシェールの目の前で次兄アトリを殺した存在。その纏う気配は【人世】の言葉で表現することはできず、強いて(・・・)言えば(・・・)(にび)色」としか呼べない"色"である。

 【疾時ノ咒笛】と呼ばれる短命の呪詛をルクとミシェールに打ち込んだが、目覚めた"元"聖女リシュリーにより、【聖墳墓(イーレリア)守護領】の最も尊い存在である『聖守(アルシル)』と同質の力が感じ取られることが示唆された。



○氷凱竜ヴルックゥトラ(劣化意識体(あわ)

 ハンダルスによって持ち出され、マクハードに誘惑と共に与えられた【冬嵐】のデューエラン家の"溶けない氷"の秘術の秘密であった【竜血】に宿っていた存在。

 本体である【氷凱竜】ヴルックゥトラ(ソルファイド曰く『十六翼の禍』)そのものは、氷海と氷獄の狭間の遥か遥か深き海底に封じ込められていることが示唆されており、その劣化した意識の分体に過ぎぬ"泡"であると自らを称しているが、同時に【竜主】としての誇りもまた嘯く。


 【冬ノ司】の内側に取り憑いてその意識を同化させることで苦しめ、『長き冬』の原因となる暴走の一端を担っていたが、聖山ウルシルラの「深き泉」を巡る騒乱で【氷獄の守護鬼(フロストガード)】を使役してロンドール軍を襲い、また介入した【エイリアン使い】オーマの軍勢と激しく争った。


 自らの"名"を当てることで完全に【冬ノ司】から分離するキッカケを作り、かつ『竜言』に目覚め【調停者】の力に開眼していた竜人(ドラグノス)ソルファイドに強い興味を抱き、多くの竜主について語りつつも、決して相容れることのない【竜氷】と【竜火】をぶつけ合わせるが、最後には"謎掛け"を出すことすら許容されず、様々な【火】の概念を束ねたオーマの【火々葬々】を纏った【黒穿】によって貫かれて消滅した。



※※※【闇世】関係※※※

○ラフィネル/【鉄使い】の娘

 フェネスの「娘」であり、次女。愛称はフィネー。

 【鉄舞う吹命の渓谷】の『出納役』。

 物腰柔らであり、柔和で自然な微笑みを浮かべた、男装に近い中性的な礼装に身を包んだ、肩まで届く長髪の大人の女性。優美さと完璧さ、そして何より智慧の深さを思わせる眼差しと所作であるが、唯一、その右目だけは父親譲りの狂気を孕んだ"ギョロ片目"。


 それは血走り、剥き出しとなり、執念深さを隠そうともせずせわしなく動いており、「危険」ではなく、「危うい」だとか「危ない」と形容すべき概念を押し固めたかのような、重度の解離性障害者に典型的な「極端な人格」だけが意思を持って主の顔面から飛び出したかのような強烈な負の存在感をぶちまける"異形"として表現されている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 鉄使いの娘とかそういえばいたなぁ。合流するわけだったはずだがいつになるやら
[良い点] 幕間が追加されとる! ステータステーブルをまとめて読み返せるのありがたい。 [一言] ﹁∬∬❇) ラルヴァちゃんの知識の繭10 (❇∬∬﹂ 「クオリア」 以前 "春"や "魂"等の因子…
[良い点] ここまでの全話の読み返し及び二話に渡る登場人物の纏めお疲れ様でした。 [気になる点] 〉大婆様 …梟と面識ありそう。 [一言] ヒュドラ討伐のタイムリミットが近づくにつれ、やる事は増える…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ