0128 童の夢は蛹の中の蝶の如く
7/8 …… 2章の改稿・再構築完了
老翁の瞳の中には少年の大志が秘められ、また、老媼の瞳の中には少女の純真さがいつまでも残っているという。
大は小を兼ねることの本質とは、その「大」が結局は「小」の時代を経て、いわばそれを内包しながら成長しているというものだ。男という生き物がいつまで経っても多義的な意味で「馬鹿」であり、他方、女という生き物がいつまで経っても多義的な意味で「可愛い」を感じる感性を失わないのは同じことを指す。
――かつて、とても童心とは思えぬ、現代に生きる侍のような眼光を眼鏡の奥に秘めていた"先輩"からそんな話を聞いたことがあった。
今にして思えば、彼が言わんとしていたのは「蛹の中に蝶としての本質が既に内包されている」という寓話の――その逆の説明だったろうか、とも思う。
ただ、それであっても個体レベルでは「逆」を言ったように視えても、昆虫という種族が地球レベルの時間の中で"鍛造"されてきた、その幾千幾万の世代の気の遠くなるような試行回数を思えば……なるほど、蛹という存在は既に"蝶を経験している"のである。
まぁ、これ以上はアキレスと亀のパラドックスだか、鶏と卵どちらが先か論争に片足を突っ込むだろうが。
今俺がやっているのは現実逃避ではない。
この俺オーマの、いや、元の世界からの『■■■ ■■』という人間が、予想外の出来事に遭遇した時の一つの正常な反応なのである。
――ほんと、せんせって馬鹿だよね。
『ヘレンセル村』行きの準備段階。"先触れ"として先行して送り込み、潜入させる部隊の調整を行っている中で――俺は非常に意外な反応と遭遇していた。そして困惑しつつ、しかし同時に、俺の中の蝶もまた刺激されるのを感じていた。
「ははは! メルドット、お前のそれはなんだ? ついぞ、鍛え上げられたお前の身体というものを想像したことも無かったぞ、あの豆もやしだったお前がなんという、なんという!」
「ゼイモント支部長……いや、元支部長殿こそ、いくらなんでも若返り過ぎだろう。あの愛嬌のあった好々爺はどこへ行った、返してくれ――元支部長殿、いや、貴様が若かりし日に奪った儂……いや、俺の許嫁のようにな! はっはっは!」
「抜かせ、お前が相手の親がスジ者だと聞いて腰を抜かして行方をくらませたから解決してやった恩をよくもぬけぬけと」
あぁ、うん。ある意味興味深いのだが、聴取が進まないのでちょっと黙らせてくれないか、アルファ。
そんな念を込めてちらりと、俺のすぐ後ろに控える"名付き"たる『螺旋獣』アルファに視線を送るや――即座に意を察し、銅鑼をまとめて殴り倒したかのような豪快な【おぞましき咆哮】が『研究室』に響き渡った。
ちゃっかり、その首の1つに【風】属性を換装している『三ツ首雀』のカッパーが、俺の鼓膜を守るために無駄に精密な魔法操作によって気流を操るが、爆音がビリビリと顔面に響き振るえ伝わってくる程度はさほど変わらない。
そんな"名付き"達の"ボス"の権威を文字通り物理的な意味で「肌」に感じたか。
訪れた俺の眼前、『研究室』で興奮しながら茶飲み話に興じていた、喩えるならジム帰りかと思うような健康的な成人男性にして元老人である2人組が――まるで感電したかのようにその全身をぶるりと震わせ、がくがくと痙攣しながら変貌を始める。
――さながら、恐竜だかジャングルに住まう大型肉食獣の模型を「折ったり、曲げたり、回したり」、はたまた「外して付け替えたり、裏返したり」するかのように。
ぐきごきと関節が外れるような、皮が裂けて内部の――黒っぽいピンク色の真の肌が露出するかのような、その過程でぬらぬらとした血液とも血漿とも、はたまた体内の消化液ともつかない、それらが混合したかのような体液を撒き散らしながら、眼前の、どこからどう見ても一般的な成人男性(『オゼニク人』的な意味で)にしか視えなかった2人が変形していく。
「ふぅぅ……お、おぉぉ、これはこれは『魔人』様ではありませんか!」
「はぁ……はぁ……うぐぅ、お、おお! 『魔人』様! いらっしゃっていましたか、これは失礼をば」
なんともまぁ、全身の骨も肉も皮膚も血管や内臓の配置すらも変わるレベルでの変異変形を経験しておきながら、そのケロリとした様子はなんなのだと小一時間は問い詰めたくなる有様。そして俺を見つめる、その少年の夢のような――『4対』の眼差し。
何なのだこいつらは……。
心なしか、アルファもやや困惑気味にうなって俺を見ていたのか、思わずそちらを向いた俺と目が合った。
この2人は……いや、2人と2体、いやいやいや、やはり「2人」は『ハンベルス鉱山支部』の攻略戦で捕らえた支部長ゼイモントと副支部長メルドットである。
そして同時に、融化走狗蟲の"名付き"たるジェミニとヤヌスでも、ある。そのはずだ。そのはずだよな? 我が"認識"における、こぶ取り爺さんのこぶ的な存在である副脳蟲ウーヌスよ。
≪きゅぴ、間違いないのだきゅぴ。ジェミニさんとヤヌスさんへの"接ぎ木"実験さんは、大成功なのだきゅぴぃ! こぶきゅぴ取り爺さんさんが大完成してしまった、僕の才能がおそろきゅぴぃ――≫
≪でも……でも、造物主様、こ、こんなイレギュラーが起きるなんて……ぼ、僕たちにもわけがわからないよ……?≫
≪やったぁ! 未知の現象! 血湧き肉きゅぴ踊る大探究さんの時間だね!≫
なるほど、『双子座』と『双頭神』という"名"を与えたのは俺である。
だが、まさか『共生』因子によって最後の1枠を【遷亜】させた、既に「人間体」部分をほとんどエイリアン体の中に吸収しつつあった融化走狗蟲が――こんな形で"蘇生"するとは、夢にも思うまい。
見た目だけであれば、ジェミニとヤヌスは、元の当初の名も知らぬ『人攫い教団』信徒が「エイリアンの中にいる」状態になって混ざってしまった、あの悪夢の粘土細工合体事故的な姿に戻っていた。
走狗蟲の身体をベースに、首の横から人間の生首が生えて異形合体的な意味での"双頭"。背中やや斜め上と腰から人間の両腕が生え、尾の付け根から変な角度でぷらぷら両足が生えている――インド神話に登場したらまず神の系譜ではなく、主人公たる化身どもによって即討伐されてしまう悪鬼怪物の類の多肢多頭の異形である。
……だが、問題はその「人間の頭部」側が、はっきり自らの"意識"を残していたことだ。
老ゼイモントと老メルドットは、伊達に一つの組織の中で有力な支部の長を努めていた叩き上げたる矍鑠さを備えていたわけではないが――そればかりか、きっと『共生』因子での【遷亜】が「エイリアンの中にいる」によって偶然誕生してしまった融化走狗蟲という現象と噛み合って"悪さ"をしたのか、なんと、なんと、ジェミニとヤヌスにただ命素の代わりの養分として吸収されるを待つだけであった、当初の教団信徒の「若い肉体」と「人間部分」的な意味で、融合してしまったらしい。
その結果が、今俺の目の前にいる「若い」成人男性2名――の皮を被ったエイリアンなのであった。
「あのなぁ、お前ら。俺は神話だか伝承だかで、お前ら『神の似姿』の敵とされてる『魔人』だぞ? あぁ、正式にはこっちにだって『ルフェアの血裔』という荘厳な名があるから、それを覚えてもらいたいところだが? そんな、あっさり傅いて、キラキラ光る眼差しを向けてくるんじゃない、もう人生の終盤だったはずだろお前達は……」
「もっと根本のことを言うと、貴方達の支部を殲滅した張本人なんですけどね、こちらにおわすオーマ様は……あの、本気で仕えるつもり、なんです? あの、私に言えたことじゃないかもしれませんが、色々とアレですよ、アレ」
不味いキノコでも食って腹痛を起こしたような顔で我が信任厚き【外務卿】がとても失礼なことを言った気がしたが、眷属心話でその鬼嫁を呼べばあら不思議。数秒後には、さらにげっそりした雰囲気になって、ルクはそれ以上の小言は言わなくなるのであった。
「オーマ様、オーマ様と言うのですね! なんと、力強い、そして無垢なる響きを放つご尊名――!」
「ほう、【人世】にも話のわかる者はちゃんといたようだな。ルクよ、心配しすぎだったのではないか? 御方様の栄光は、世界をまたぐことがこうして証明されたな」
ルクはルクで、そもそもはこの2名に色々と聞きたいことがあって来たのだ。
なにせ『ハンベルス鉱山支部』の長だった2人である。【幽玄教団】はおろか【騙し絵】家に通じる情報も握っている可能性が高く――それから俺自身にも関係することとして、『加護者』リシュリーの件もあったわけであるが。
現在は絶賛、毒気に留まらずちょっといろいろな気を抜かれた状態になっているようであり、ならばと俺は、この新しい従徒化希望者2名にあれこれと尋ね確かめているわけであった。
「このメルドットとかいう腐れ縁の阿呆と、幼き頃から夢見た夢が、叶えられたのです。"奇跡"を目の当たりにした今、あんな『人攫い』の教団などに何の未練がありましょうか」
「だが、それなりの地位にお前達はいたのだろ? それなりに得た者も、触れた秘密や、奇跡の類だってあっただろ? ――その、もう機能していないが、中途半端に体に残っている『魔法陣』の入れ墨とか」
「ははは! 確かに、私達も一応は"幽玄"に至る階梯を登っていた身。ですが、5大支部などと言ってはいますが――所詮は『本部』の瞑想狂いのごく一部の連中にしか、幽玄の秘蹟は開かれていなかったのです」
故に、のし上がるために「権威・権勢・権力」と積極的に結びつく道を選び、【騙し絵】家の走狗としての役割も進んで担っていた、ということらしい。
少年の時代に夢見た「神秘」に至るために。
「なるほどな、そしてそれが――お前らが見つけたと主張している"古代遺跡"の発見にも繋がった、そういうことだな?」
「ははは、お恥ずかしながら……ゼイモントがどうしてもと言うので、色々と手を尽くして手伝っていたら、かつての通り老け込んでしまったのですよ」
「何を言うかお前こいつめ。さっさと引退したい俺をいつまでも引き留めて、面倒な支部長業務をいつまでもやらせ続けたのはどこの豆もやしだったか!」
「そのおかげでこうして偉大なる『魔人』オーマ様と遭遇し、"神秘"の一端にも触れられたのだ、文句を言うな」
どうも、肉体のある意味での若返りに引きずられている嫌いがある。
精神が急激に若返った副作用で興奮でもしやすい状態にでもあるのか――というか、その感覚が、彼らと『共生』し融合しているジェミニとヤヌスの部分を通して伝わってきているのがまた興味深い。
……そう。
ゼイモントとメルドットという人間部分とは別に、ジェミニとヤヌスというエイリアン部分もきっちりと独自の、俺の"名付き"たる「群にして個」たる意識がきっちりと併存しているのである。
アルファからの"号令"に反応したのは、まさにそのジェミニとヤヌスの部分であった。
つまり、この融化走狗蟲2体は、エイリアン体を主としつつも――例えば『因子:隠形』と『因子:擬装』の【遷亜】効果により、先ほど変異変形していたような"人間形態"の時には、「外側」を覆う人間体であるゼイモントとメルドットが身体操作の主導権を握った状態であり、ジェミニとヤヌスは「内側」に隠れてしまうと言えた。
興味が尽きないのはこの点だけでは、ない。
【情報閲覧】を彼らに対して諳んじて、その『ステータス画面』を表示させてみるや――。
【基本情報】
名称:ジェミニ
系統:融化走狗蟲
種族:エイリアン=シンビオンサー(共有:ゼイモント)
従徒職:諜報隊長
位階:9
状態:身体共有 (ゼイモント)
残り技能点:0点
【基本情報】
名称:ゼイモント=アンヌソン
種族:エイリアン=シンビオンサー(共有:ジェミニ)
職業:神秘探究士
位階:37
状態:身体共有 (ジェミニ)
残り技能点:36点
だとか、
【基本情報】
名称:ヤヌス
系統:融化走狗蟲
種族:エイリアン=シンビオンサー(共有:メルドット)
従徒職:主の影法師
位階:9
状態:身体共有 (メルドット)
残り技能点:0点
【基本情報】
名称:メルドット=グシク・グシク
種族:エイリアン=シンビオンサー(共有:ヤヌス)
職業:遺跡探索士
位階:34
状態:身体共有 (ヤヌス)
残り技能点:29点
だとかいった具合で「4体分」が表示されていたのであった。
……どうも、この世界的には「別個体」と認識され、システム的なお墨付きすらそこに与えられている感が、ある。
しかし『状態:身体共有』の効果はきっちりと現れており、例えばであるが、この両名(両体)の『技能テーブル』については――『種族技能』のテーブルが共有状態。
『称号技能』と『継承技能』についても、ジェミニ&ゼイモント、ヤヌス&メルドットという形で、それぞれが元から持っていたであろうものが合流して1つのテーブル内に共存。
『職業技能』に至っては、それぞれ別々に表示されており、明らかに『人間』時代に取得していたであろうオゼニク人としての『種族技能』や、現在の職業となる前の技能達は、ジェミニ&ゼイモントとヤヌス&メルドットのそれぞれの『継承技能』に混ざって載っている形となっていたのであった。
≪小醜鬼さん達で散々試した実験結果と全然違うじゃん、あははは≫
≪基本は~エイリアンさんそのものだったもんね~≫
≪『共生』因子さんで【遷亜】さんした個体でも同じだったのだきゅぴ。こんな、ステータス画面さんとか技能テーブル画面さんとかが、合体さんしたり分裂さんしたりなんて、擬装部隊のみんなはなってないのだきゅぴぃ!≫
≪ということは、ゼイモントさんと! メルドットさんだけ、何かが違ったかおかしかったんだね!≫
よもやゼイモントとメルドットの意識が完全に残る、という想定は無かったのだが。
ただまぁ、彼らを【人世】での情報収集のために送り込む『擬装部隊』の隊長には元々据えるつもりで、資源を重点的に割いてはいた。具体的には、小醜鬼での実験結果を元に、あらかじめ幼蟲時代に【矮小化】を取得させた個体を使って『融化小蟲』を生み出し、それを"小動物"の類に寄生させてから――小型の融化走狗蟲や融化労役蟲と化させたのである。
あらかじめ想定していた通り、これによって融合した「他生物」部分の"消費"は大いに抑えられ、言ってしまえば「長持ち」するようになったわけであり、『因子:擬装』と『因子:隠形』の効果と合わせて、一応【人世】でさらに人間の近くでうろつかせても違和感の少ない変異変形型エイリアンから成る部隊として設計した。
その意味では、『共生』因子による【遷亜】は、それをさらに半永久的に長持ちさせようというぐらいの追加的なアイディアでしか、なかったのだ。実際、ゼイモントとメルドットに先立って小醜鬼などに施した"実験"では、そうだった。
いかに"ガワ"を「他生物」で『擬装』しようとも、中身が本質的には俺の眷属たる『エイリアン』そのものである以上、その習性が変わらないというのが難点としてつきまとっていたのだ。
さながら、走狗蟲や労役蟲の動きを器用に真似て這い回ったり、妙な姿勢で駈けて飛び跳ねる小醜鬼という世にも奇っ怪な存在ができあがっただけであり、そのため、違和感が少ない「動物」のガワを被せるという案に落ち着いたわけだが――。
そうした先行実験と全く違う結果となってしまったのが彼らである。
「"遺跡"の調査は、一旦は後回しで我慢してもらうぞ。だが、いずれ【騙し絵】家が弱ったら、その時は改めてお前達には『古巣』に帰ってもらうことになるだろう」
「おぉ! それこそ私達にとっても、望むところ! あんな脆弱な前の肉体では、いかに【騙し絵】家の秘術の力があったとしても、限界がありましたからな」
≪ふふ、お爺ちゃん達、楽しそう。ねぇ、ルク兄様、私達もいつか、やってみませんか? きっと楽しいですよ≫
≪ミシェール、なんでそれをわざわざオーマ様に聞かせているんだよ……頭痛の種を増やさないでくれ、お願いだから、安静にしていてくれ……あと一週間ぐらいで"予定日"だろ?≫
おほん、と咳払い。ルクが瞳だけ動かして俺の様子をよくわからない心配そうな感情で見やってくるが、特に気にしない。
――実際、このジェミニとヤヌスの現象はアインスの言う通り相当なイレギュラーなのである。
第一、単純に「先行実験」していた"名無し"達と違って、この2体はそもそも"名付き"だったのだから。それも、繰り返すが『双子座』と『双頭神』という"名"である。
およそ"認識"や"名"というものが力を持つこの世界だと理解してはいたが――まだまだ、その影響を俺自身、体得できていなかったことに気付かされる。
加えて、因子を解析した後に、ある意味では「通常進化」によって母胎蟲から生まれた寄生小蟲を経由した融化小蟲から進化した融化走狗蟲ではなく、「えいりあんの中にいる」という事故によって誕生したという例外的な代物。
消費されるはずだった人間体部分が、探究心と「少年の冒険心」が旺盛すぎたまま年を取ってしまった2名の老翁の、いっそ清々しい執念とすら言うべき「夢」と感応した結果――こうなったのだろう。
とても、とても、狙って容易に再現できるようなものでは、ない。
そもそも、エイリアンという名の元来強烈な【群体本能】を持つ、この俺の眷属たる存在達は、言うなればその大部分は"名無し"から構成されていなければならないのである。
その中にあって、唯一、指揮個体や特殊任務個体に任ぜられる"名付き"は少数であり、またそうでなければならない。悪く言えば無個性達の中にあってこそ、その存在が相対的に際立つことによってこそ――彼らはようやく"群にして個"を成しうるのだ。
もし仮に俺が全個体に"名付け"を行ってしまったら、それは逆に彼らの個性を希薄化させることとなり、結局は全員が意味的に"名無し"に逆戻りしてしまうことと同義である。
つまり、色々と準備をして再現実験を重ねれば「えいりあんのなかにいる」は、また引き起こせるかもしれないが――そこそこの損失とともに――ジェミニとヤヌスという、あの場面にあの流れで遭遇したからこそ、この俺自身の"認識"によってそう名付けられた個体は、二度生まれるものではないのである。
だから、今ミシェールが"思いついた"ようなことは、少なくとも同じアプローチでできるものではない。
最低でも、ル・ベリのように――現在、ルクが呆れるのを後目に、いかに御方様が素晴らしいかについて元老人2人ととうとうと話し始めているが――自分自身の"認識"によって、【エイリアン使い】たるこの俺の影響の中にどっぷり漬かった状態で自ら「種族を改変」でもするような、きっとそういうアプローチが必要なのだが。
果たしてミシェールはそこまでやるつもりで今の発言を俺に聞かせたのや否や。
「それにしても奇妙なものだな、お前達のうち"半分"は既に俺の『眷属にして従徒』なのに、もう"半分"はまだ単なるその希望者に過ぎない……お前達の誠意と真摯な想いは疑わないが、生身のまま仕えるんじゃなくて、俺の"力"を意図せずとはいえ借りた状態だからな。改めて『試験』を出そう。先行してヘレンセル村へ行って情報収集をしろ、俺が行くまでの間に――機運を、一つ高めておいてくれ。その成果を以て、お前達を後日、正式に従徒に昇格させてやろうじゃないか」
【人世】で手足の如く使うことのできる、思わぬ便利な"駒"が誕生したと思えばいい。
ルクの献策による「シナリオ」の中核役を誰に担わせるべきか検討を進めていた、本格的な浸透のための『擬装部隊』であったが――ジェミニ&ゼイモントとヤヌス&メルドットに指揮させれば、スムーズに事を運ぶことができるだろう。
※本話は再構築に伴い、話順が入れ替わりました。上書きによる入れ替えしかできないため、過去にいただいた感想と話の内容が噛み合っていませんこと、ご了承下さい。
読んでいただき、ありがとうございます。
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