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美意識過剰

作者: 向風歩夢

あはははは。みんな知ってる?


人間って自分の顔を美化する性質があるんだってさ。


これ実験でわかったことなんだ。

実験対象者の写真を撮って、それを少し美化した加工写真を創るんだよ。

元の写真から10%、20%……50%って感じで、大体10%刻みで美化した写真を5枚程度作るんだ。

美化の基準はよくわからないけど、まあ多分、実験に関与する誰もが元の写真よりも綺麗だと思うように加工するんだろうね。


そして、美化した写真に元写真も混ぜて写真を取られた本人に見せるんだ。そして、こう問いかけるんだ。

『加工されていない貴方の写真を選んでください』ってね。

するとどうなると思う?

ほとんどの人間が元写真を選ぶことができずに美化された写真を選ぶんだ。さすがに50%美化した写真を選ぶ人は少数みたいだけど。ほとんどの人間は10%~20%美化された写真を選ぶそうなんだよ。

普段鏡とかで見慣れてる自分の顔のはずなのに、少し美化された写真が自分の本当の姿だと言って選ぶんだ。


滑稽だよね。人間は自分に対して過剰な美意識を持っているってことだよ。本来の自分よりも、自分は美しいはずだって思い込んでるのさ。


もちろん、悪いことじゃあないよ。自分に対して美意識を持つことで自信につながるだろうし、自分は不細工だと俯いて生きるよりよっぽど精神的に健康だろう。


……でもさ、こういう小さなことが世界を平和から遠ざけるんだろうね。

だって、そうだろう?

分不相応な容姿を持っていると人間は思い込む。

おそらく、これは容姿だけに限らない。頭の良さ、運動能力、風格、威厳などなど。

人間は自分の本来持っている能力より高い能力を持っていると思い込んでいるんだ。

すると、どうなるか。想像に難くないよ。

能力の低い人間は本当の自分だと思い込んでる姿と他人が下す評価に食い違いが出て、バカにされていると思い込む。そして、それは憎悪となり、争いに変わるんだ。


能力の低い人間だけじゃないよ。能力の高い人間はより自分の能力が高いと思い込む。

こいつはある意味能力の低い人間が勘違いするより厄介だよ。

能力が高い人間を咎めることができる人間は限られるからね。

能力が高い人間は自分が素晴らしい人間であると勘違いし続けて暴走を始めるんだ。

そして、能力の低い人間に平気で暴力を振るうようになるのさ。


あはははは。ということで、人類は争いや暴力を止めることはできません。残念でした。

とっとと、バトンタッチするべきなのかもね。

それじゃあね。


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