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0話 帰結 (最終話)

「なぁ莉菜、フィッシュバーガー寄って帰ろうぜ。」

「数音、あれ好きだよね。」

「あそこのタルタルソースが最高なんだって。」


雪待数音と水奈月莉菜は、学校帰りにそんな事を話しながら歩いていた。


「莉菜は将来何になりたいんだ?」

「ん~、まだはっきりしないんだよね。数音は警官よね?」

「ああ。子供のころからな。」

「知ってる、聞き飽きたもん。」

「あ、このやろ。」

雪待はそう言うと、水奈月の首に笑いながら手を回した。

「ちょ、くすぐったいってば。」

莉菜もまんざらではなさそうに笑顔で言う。


「おい莉菜。ちょっと此処で待ってろ。」

「え?」

街中を歩いていると、雪待が真面目な顔になって言う。言うなり走り出した雪待の先に、水奈月が目を向けると集団で一人の学生が暴力を受けていた。

「数音、無茶しないでよ!」

「分かってるって。」


「おいお前ら、それはやりすぎだ。」

四人の学生に、一人の学生が暴行を受け、目は腫れ口の端からは血が伝っていた。

「うるせぇな、関係のねぇ奴は引っ込んでろっ。」

「めんどくせぇ、こいつも一緒にやっちまうか。」

そう言った学生が、雪待に右手で殴りに行く。雪待はそれを左腕で防ぐと、反撃に出ようとしたが別の学生に顔を殴られた。

怯んだ隙に四人が一斉に襲い掛かる。

「数音!ちょっとやめてよ!」

そこへ水奈月が駆け寄って、なんとか止めようとする。

「うるせぇ、邪魔すんならてめぇもやるぞ!」

一人の学生が水奈月の顔を、拳で殴った。

体制を崩して水奈月は倒れる。

「おい、最初の威勢はどうしたんだよ!」

「どの辺がやりすぎか教えてくれませんかぁ?」

倒れた雪待の身体に、四人の蹴りや踏み付けが幾度となく繰り返される。


「動かないな。」

「ったくしょうもねぇな。」

「雑魚のくせに出しゃばってくるからだっての。」

「ってかさっきの女、結構可愛かったぜ。連れてくか。」

「どっかの阿呆が顔面殴らなけりゃな。まぁ楽しむ事は出来るけどよ。」

「うっせぇな。お前らどうせ首から下が目的だろ。」


「おい、女も動いてないぜ・・・」

「ってか、頭んとこ血溜まり出来てんじゃねーか・・・」

「やべぇな、今日は帰るか・・・」

「ああ、そうだな・・・」




「雪待さん、大丈夫?」

「あぁ、水奈月さん。家の息子の所為で申し訳ありません。」

病院の廊下で静かに泣いていた雪待奈津子に、水奈月梨絵が話しかけると、奈津子は泣きながら頭を下げた。

「数音くん、暴行を止めようしたんですってね。」

「ええ。莉菜さん、巻き込まれしてまって本当なんとお詫びしていいか・・・」

「気にしないでください。それより、数音くんの容体は。」

奈津子はその言葉に、首を振ると嗚咽を漏らし始める。

「そんな・・・」




「あの、娘の容体は?」

病室で横たわる水奈月莉菜の横で、両親が医師に確認する。

「倒れた際に縁石に頭を打ち付けているようで、頭がい骨が陥没して脳の一部が損傷しています。正直、意識が戻るか分かりませんし、いつ心臓が止まってもおかしくない状態です。」

「莉菜っ・・・」

泣き崩れそうな梨絵を、父親の和孝が肩を抱いて支える。

「今は、様子を見守るしかありません。出来る限りの事はしますので。」

「ありがとうございます。」

和孝が言うと、医師は病室を出て行った。

「数音くんの方は、どうだったんだ?」

頭を左右に振る梨絵の仕草で、和孝は察する。

「そうか、駄目だったのか、正義感の強い良い子だったのに・・・」


(駄目?駄目ってどういう事!?)

(数音、死んだの!?)

薄ら聞こえる両親の会話に、莉菜は困惑していた。

(やだ・・・どうして数音が。)


「莉菜?・・・」

和孝が莉菜の顔を見ると、目尻から涙が伝っているの気付いた。

「莉菜っ!」

梨絵が駆け寄るも、莉菜の反応は無い。

「もしかすると、数音くんの話しに反応したのかもしれないな・・・」


(どうして数音が死ななければならないの?)

(まだこれからなのに。)

(私、独りでどうしたらいいの・・・)

(数音、会いたいよ・・・)

(独りに、しないでよ・・・)

(もっと、数音と一緒に生きたかったよ・・・)

(私、もっと数音と過ごしたかったよ!)




「・・・ここ、どこ?」

「私、病院にいたんじゃ?」

水奈月莉菜は、病院のベッドではなく、どこかの部屋で目が覚めた事に、戸惑いと疑問だらけで困惑していた。

「そうだ!数音!」

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