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3話 げ、来たいんですか?

世の中不思議な事が起こるものです。僕は普通の高校生活を送って、どうせ思い出もくそも無い高校生だったなって、大人になって振り返るんだろうと思っていた。

ところが思いもよらず告白などをされてしまい、しかもそれが気になっていた娘なので、迷う事も無くOKした。いや断る理由なんてないじゃないか。交際経験が無いとはいえ、女の子と付き合うという事実は当然、舞い上がらないわけがない。


だが、付き合った翌日に声を掛けたら世界を反転させられました。

いや、こっちが現実か?

そもそも、昨日の出来事は僕の妄想だったのだろうか。

今までの生活を考えれば、妄想じゃないと否定出来ない自分が恐ろしい。

どうしてこうなった・・・。


「待たせたな数音、行こうぜ。」

そこへトイレから戻った祐二が声を掛けてくる。そうだ、ゲーセンに行く約束をしていたんだった。くるりと反転した世界に呆然としていたけれど、こっちは間違いなく現実だ。

「そうだな。あ、その前に購買寄っていい?」

「好きだねぇ。コーヒー牛乳。」

「うん、コーヒーじゃないところがいい。」

そう言いながら僕と祐二は教室を出た。何時の間にか水奈月さんの机は空きになっていた。おそらく僕が呆然としている間に帰ったのだろう。丁度、祐二がトイレに行っていて良かったわ。

購買に寄ってコーヒー牛乳を買うと、校門を出て速攻ストローを挿して吸い込む。この甘さと味がいいんだよなぁ。


「数音、まさかお前が水奈月に興味があるとは思わなかったぜ。」

「ぶぅーっ・・・」

「おま、汚ね!おい、鞄に散ったじゃねーか。」

おいおいおい。

今なんて言ったこの腐れ友人は。興味はアリアリに決まっているじゃないか、むしろ昨日から付き合っていますが!とは口が裂けても言えない。いーや、知られたくない。

「何を言っているのかな。祐二の妄想じゃね?」

「お前と一緒にすんな。俺がトイレに行っている間に話しかけてたくせに。」

何で見てんだよっ!馬鹿か。恥ずかしいから死んどけ。

「どこから、見ていたのかな・・・?」

恐る恐る聞く僕に、祐二は思い出すような素振りをしてにやけた。嫌な予感しかしない。

「見たのは話しかけて、呆然自失になって、水奈月が帰ったあと自席に戻ったくらいかな。」

「ほぼほぼ全部じゃねーかっ!あっ・・・」

うっかり突っ込んで事実を明らかにしてしまった。

くそっ、まんまと嵌められた。

隣で爆笑している祐二にしてやられた事も腹が立ったが、昔からこの乗りなので今更感はあった。妄想なんだか現実なんだか分からない今の状況では、怒るに怒れないのも現実だ。


それからいつも通りメガで遊んで祐二とは解散した。




翌日、学校に行くといつも通り水奈月さんは座っていた。昨日の出来事から、僕は避けるように目を向けられないでいる。

そりゃ怖いに決まってるでしょ。不良学生かと思っちゃったよ。僕みたいなゲーマーに不良に対する耐性があると思うなよ。耐性値ゼロに決まっているじゃんか。

それでも一昨日の事が忘れらず気にしてします。

どうする・・・。


>もう一度話しかけてみる。

 一昨日の事は僕の妄想だ。

 恐いので無視する。

 昨日の事は無かった事にして、一緒に帰ろうと誘う。


うっかり。また考えてしまった。どう考えても最後の選択肢は願望でしかない。

>一昨日の事は僕の妄想だ。

うん、そうしよう。現実逃避決定。


と思った矢先だよ、昼休みが終わり席に戻ったら机の中にメモが入っていたのは。水奈月さんから一緒に帰ろうとのお誘いだった。

メモを見た僕が水奈月さんの方を見ると、にっこりと微笑んでくれた。

どうやら昨日の事が夢でした。

うん、やっぱりそうか。そうだよね。昨日祐二とゲーセンで対戦したリアルな感触は残っているけれど、夢でいいや。

そう思えた瞬間、午後の授業は一瞬で終わり、僕は水奈月さんとまたファミレスに寄った。


「昨日さ、帰り森高くんとゲーセンに行ったでしょ。」

ファミレスでコーラを飲んでいる僕に、水奈月さんがそう聞いて来た。

あれぇ、おかしいな。昨日の事は夢だった気が・・・。

「あ、うん・・・。」

現実を見よう。きっと、僕がそんな約束をしたから水奈月さんは怒ったのかもしれない。

「昨日は、怒ったのでしょうか?」

もしそうなら謝ろうと思い、恐いけど聞いてみる。

「え、違う違う。雪待くんは全然関係ないよ。違うところでちょっと気分がすぐれなかったというか。」

「そうなんだ、良かった。」

慌てて否定する水奈月さん、可愛い。

いやそうじゃなくてだ、気分がすぐれないってだけで不良少女みたいになってしまうのか?どんな爆弾だよ。水奈月さんって、ちょっと変わった人なんじゃ・・・。

「ね、雪待くん。」

なんて思ったところで、水奈月さんが上目使いで話しかけてくる。可愛いのでもういいです。昨日の事はわすれました。

「はい?」

「明後日土曜でしょ、雪待くんの部屋に遊びに行ってもいい?」

何も考えずに聞き返したが、水奈月さん今なんて言った?

聞き間違いじゃ無ければ、僕の部屋に来たいって言ったよな。

そんな事ってあるのか?

付き合って間もないのにって、経験の無い僕は思ったが答えなんてあるわけがない。

「だめ?」

「・・・ほんとに、来たいんですか?」

って何を聞き直しているんだ。そりゃまずい!僕の本棚がほぼマンガだってばれてしまうじゃないか!しかもゲームもたくさんあるし。幻滅されて終わってしまう。

出来ればもう少し、水奈月さんと付き合ってるって幸福に浸らせて欲しい。


その大胆さは、何処の神の嫌がらせでしょうか・・・。

僕はそんな事を考え、終わりそうな恋から少しでも長く逃げたい気分になっていった。

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