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第9話

更新ペースあげていきます!応援よろしくお願いします!

 結局MAKIに相談した後、俺は布団にもぐり込みそのまま寝てしまった。

気付けば、窓の外が明るくなっており朝を迎えていた。


「はぁ……」


 正直どうすればいいのかなんて今でも分からない。彼の意見を鵜呑みにしてその通りの行動をとるか、それとも俺自身の考えを貫くか。結局のところ決めかねているのが今の現実だ。

 とはいっても、いつまで悩んでいても何も変わらないし、今日から行動を起こそうと思い時計を見ると既に学校の遅刻確定圏内の時刻を指していた。


「ええええ!! マジかよ!遅刻じゃんか!!」


 身支度を整え、階段を駆け下り、母がいるはずのリビングに駆け込む。


「ちょ! 遅刻確定なんだけど! 母さん起こしてよ!」


しかし、リビングに顔をのぞかせてもそこには誰の姿もない。机の上には本日分の弁当と、1通の手紙。そこは――


『友人とセパタクローに行ってきます。昼は弁当置いてあるから持って行って食べなさい。朝遅刻してても母は一切の責任を取りません』


と、書かれていた。


「……ばっかやろー!」


 弁当を掴み取り、玄関のドアから飛びだす。立て掛けてある自転車にまたがり、学校を目指し漕ぎ始めた。


「大体! なんだよセパタクローって! どっかの某日常アニメでそんなシーンあったと思うけど、マジで見に行く人なんているのかよ!!」


 小刻みに呼吸を繰り返し、酸素を要求している肺に無理矢理、酸素を流し込んでいく。

ぜーはーぜーはー、と荒い呼吸を続け自転車を漕ぎ続ける。横腹が痛い。酸素を無理矢理取り込んでも、二酸化炭素を上手く排出できていないような苦しさを感じながら、ひたすらにペダルを漕いだ。


***


 結局学校に着いたのは始業時間が過ぎてからになってしまい、俺は教室の裏のドアからコソコソと入室しあたかも最初からいました風の雰囲気を醸し出しながら着席した。


「はい、十暗遅刻な」


 だが、それで騙し通せる程現実は甘くない。どうせこの後も教師に他の部屋に呼びだされてこってり説教で絞られるんだろう。こんなことがあるといつも以上に強く思ってしまう。()()()()()()()()()()()()と。

 誰しもが一度は考えたことがあるだろう。自分の妄想が現実となり、自分の発した言葉が概念となり、自分の全てが正義だという自分だけの夢の世界だ。そんな世界になったらどれだけ楽しいのだろうか。本当に未来の技術とかでそんな風にならないものか、と考えながられは窓の外の蒼天を見上げる。

 青空はただ穏やかに雲を流し、俺達に爽やかな風を流し込んでくるだけで、悩んでいる俺に簡単に答えをくれるような優しすぎる空ではなかった。

 ふと、窓に反射した教室の風景に目を泳がせると、後ろで明淵がまた机の下で携帯を触っていた。本当に凝りない奴だと思う。

 だが、その彼女が携帯を触る手を止めると授業に身を入れるのではなく、窓の外を覗いているように映っているはずの俺を見ていた。


(なんで俺を見ているんだ? まぁこの前のことを根に持っているんだろうけどな……)


彼女と視線が合わないように俺は視線を窓から、黒板に移す。


「ここ消すぞー」


と、教師が黒板消しを手に授業をまともに受けていない人への最終宣告をする。急ぎノートを開き、板書を写し書く。ふと、何気なく教室を見渡してみると数人がガリガリ、と板書を写す中で、やはり彼女だけはスマホをひたすらにいじっていた。


「おいおい……あいつ勉強できんのか? テストで痛い目見そうだな……」


転校初日からクラスで浮いていた彼女だが、少し経った今でもその孤独感が拭いきれていない。しかし、彼女自身にはそれを改善しようよいうような感じはなく、ずっとこのままでいいと言わんばかりの態度でクラスに存在していた(否、これは存在していると言えるのだろうか)。


 ――結局彼女に謝る機会を見つけるなり、どうにか行動しようとしていたら、既に放課後に入っていた。無論、彼女の姿は教室にはない。毎度のごとく帰宅が早いものだ。

 トボトボといつもの駐輪場に来ると、何かの違和感を感じた。違和感というより視線を感じるのだ。

 あたりを見渡すとそこには明淵が居た。教室からいなくなっていたから既に帰宅したものだと思っていたが、そうでもないらしい。しかし、この熱い視線。まぁ彼女が俺に何を言いたいのかなんて分かりきったことだ。

 ちょうどいいタイミングだし、このまま彼女に謝ろうと考えた。


「君、今日ずっと私の事見てたよね? なんか用事?」


「気のせいだろ。特に用事なんてねーよ」


 何故だ。何故俺はこんな風に強情になってしまうのだ。こんなんだから彼女も友達も出来ないって分かっているのに直せない。こんな俺に本当に吐き気がする。


「用事がないって、君。私に謝るとか何かしようとか、ないの?」


 確かに謝らないといけないのは分かっている。だが、それを自分から言うか? 普通。


「確かに俺はあんたに謝んなきゃいけないはずだ。そんなことは俺自身が一番分かっている」


「だったら――!」


 これを言ってしまったら俺は今度こそ彼女に謝る機会を失ってしまうだろう。『言え! さっさと謝って楽になっちまえ!』と脳内で俺が囁く。


「悪いが自分から謝れ、と言ってくるような奴にヘコヘコ頭を下げるのは俺の性分に合わないんでな。これで終いだ。『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。 これで満足か?」


 そう言うと、俺は自転車を漕ぎ校門を目指す。

少し離れたところで後ろを振り返ってみると彼女はまだ駐輪場におり、くるりと踵を返すとどこかへスタスタと歩いて言ってしまった。

最後までお読み頂きありがとうございます!

まさかの謝るための機会を探していた十暗は絶好の機会を最悪すぎる方向に流してしまったところで第9話終了です。ここから明淵との関係はどんどん劣悪化していってしまうのでしょうか……。何やってんだ十暗!

と言う訳で、あとがきはここまでになります。次のお話でお会いしましょう!さようなら!

(私のモチベーションupのためにもこの作品の応援よろしくお願いします)

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