第5話
更新サボった分なるべく早く更新掛けますよー!頑張ります!!
――MAKIがライトエッジに俺が喋らない理由を勝手に暴露した結果、俺は更に黙りこくる事態に陥った。流石に彼もやりすぎたと思ったようで「ごめんごめん! もう言わないから」と頻繁に言ってきたが、最早『もう』言わないでは意味がないのだ。彼の態度に呆れを隠せない俺は
「俺、今日落ちます」
と、言い残しその場を去ろうとした。もう誰が止めようとも今日だけは逆らってやる。そう思いつつメニュー画面を開くが、その動作を止めるよう誰かが口を開いた。
驚くべきことに、俺の動作に静止を促したのはMAKIではなく、ライトエッジだった。
「別にしゃべりたくないならいいと思いますよ。私も現実ではそういう関係の人いませんし」
彼女の暴露した話が本当かどうかは定かではないが、正直俺はその話を聞いて意外というか、少し親近感を覚えてしまった。だが、彼女は数週間で30LV近くもあげてくる化け物だ。落ち着いて考えてみればなんとなくはそんな結論に至るのが普通なのだろうか。
「だからこそ、『MAKI』さん。貴方は他人のプライベートに深く関わりすぎている。それどころか、そのプライベートを会って日も経ってない人にばらすなんて笑止千万です。しっかりと謝ってください」
「……ごめんね『MOON』君。流石にやりすぎたって自覚してる。これからは絶対にそんな事言わないようにするから……」
彼には珍しいほどのしおらしい態度で俺に謝罪してきた。俺も鬼ではない。ここまで反省しているのだったら今回限りは許してあげようという事になった。
彼女は相も変わらず黙々と食事を続けていく。俺もMAKIも彼女の歓迎会を兼ねて食事を取ることにした。だが、注文する際に驚くべき事が分かってしまった。
なんと、彼女はここの裏メニューまで知り尽くしている程の常連だという事が発覚。裏メニューを言われたウエイトレスプレイヤーもびっくりしたようで、驚いた顔をしながら彼女に「何故裏メニュ―の事を知っているのか」と何度も問いかけていた。そんな事俺達が知りたいところだが。
彼女おススメの裏メニュー『エスニック風味 ローストチキン』を頂いてみるが、確かにうまい。チキンの濃厚な味わいの後に広がるピリッとしたスパイスの風味。ただ辛いだけではなくチキンの味に奥深さを持たせるような調合されたスパイス。裏メニューに入るのも納得の上手い料理だ。頼んでおいたキンキンに冷えたジョッキに入れられたビールのようなもの(ノンアルコール)を流し込む。スパイスで温められた身体の中に冷たいドリンクが流し込まれる。こんなのただ一言しか出ない。
「「うまい」」
声が被った。どうやら彼もこの料理を口にしてうまいと感じたらしい。しかし彼が飲んでいるのはしっかりとしたビール。俺はまだ成人していないからゲーム内だろうがビールは飲めないが、合法的に飲める彼の幸福度合いと言ったらどのようなものなのだろうか。俺には想像もつかない。
口の中の辛みが消えたころにまたチキンを放り込む。スパイスの程よい辛みが身体を駆け巡る。何度食べてもうまいものだ。
――気付けば俺もMAKIも皿の上のチキンを完食していた。まるでいつの間にか肉が消え去ったような感覚だ。
「お気に召したようで、良かったです」
そう言うと俺達の食事をじっと見ていたのだろうか、頬杖を突きながらニコニコとほほ笑んでいるライトエッジの顔があった。少し照れ臭い気持ちを隠すために顔を軽く背け、例を言う。
「あぁ、とても旨かった。教えてくれてありがとう。ええと……『ライトエッジ』」
恐らく俺の顔は赤面を通り越して、火でも噴いているのだろう。そんな俺の様子を見て何が可笑しいのかニヤニヤとにやける彼女の姿。こんな風に人間関係が上手そうな彼女は本当に現実で俺と同じような生活を過ごしているのだろうか?正直そんな風には考えづらい。
しかし、外見やゲームのキャラクターだけではそういう風に判断してはいけないという事は俺自身が1番分かっているはずだ。彼女なりに色々と事情があるのだろう。女同士の友情というものはとても面倒だと聞いたことがある。少しの亀裂が段々と広がっていって一生の傷となってしまう事もあるのだろう。無論、男同士の友情ではそんな事が無いとはいえないが、そんなことで一生の傷を作る奴はどっちにしろ碌な奴ではない。そんなんなら友達なんて作らない方がいい。
「どうしました? 顔色悪いですよ」
どうやら考えすぎてしまったらしい。そんなことは俺には関係ない。友情なんて面倒くさいものに縋るなら友達なんていらないというのは俺が今まで生きてきた中で生み出した結論ではないか。その結論は今でも変わっていない。その結果がこの俺を作り上げた。
冷たいドリンクを流し込み、時間を確認する。デジタル時計が指している時間は既に5時50分。そんなにプレイしていた感じもなかったがいつの間にか学校の準備をしなければならない時間となっていた。
急ぎログオフの準備をし、MAKIに一声掛けて落ちる準備を整えた。すると、彼女もいそいそとログオフの準備をしていた。彼女も社会人か学生なのだろう。まぁこのご時世ニートで1日中ゲームをしている人などそんなにいないはずだ(MAKIも実は会社員で、自称『毎日定時退社マン』らしい)。
「すいません。もう学校の時間なんで行きます。お疲れさまでした」
と、声をかけゲームを落とした。
――デバイスを外せばいつもと変わらない朝日が部屋に差し込んできている。朝の身支度を済ませ、いつものルーティーンのように水を流し込む。
そうして俺の何の変哲もない1日がまた始まりの合図を告げた。
最後までお読み頂きありがとうございます!前の更新をサボってしまった分なるべく早く更新できるように頑張った結果2本更新!(まぁ前のは昨日更新忘れただけなんですけど)
小説の質を上げるためにも、私のモチベーションアップのためにも小説の評価、感想等よろしくお願いします。感想は全て返信させていただきます。
では、次のお話でお会いしましょう!