第13話
更新遅くなって申し訳ないです(´・ω・`)
温かいコーヒーをすすりながらライトエッジの話を聞いてみるが、どうもそれが本当なのか俺には判断しかねていた。
どうやら彼女はゲームを始めて間もない頃、強い武器が欲しい一心で、色々なところを探りまわってみたところ、路地裏にある明らかに怪しい露店が目に留まったそうだ。
曰く、そこに置いてあったのが件の拳銃で彼女自身、『種族特攻』というシステム自体知らないという事だ(初心者だとしても何故知らないのか)。
まだ半信半疑だが、俺の彼女に対する疑いは少しは晴れただろう。
――結局話を聞いていたらいつの間にか13時を過ぎていた。起きたのが10時なので今までノンストップで彼女に話してもらっていたのか。
それだからか、ライトエッジは話疲れてベッドに横たわっていた。全くそんな格好していたらまた寝てしまうぞ。
「おい、起きろ」
彼女の身体をゆすり、目を覚まさせようとするが「むにゃむにゃ後5分……」などという余りにも典型的すぎる寝言を繰り返していた。
しかし、俺が彼女を放ってどこかに行ってしまうと、寝たまま街のどこかへ飛ばされてしまう。そんな仕打ちは流石に可哀そうすぎだろう。だが、この暇な時間。どうやって過ごそうか……。
『ドン!』というと音共に、俺の目の前にシステムメッセージが表示される。
『プレイヤー『MAKI』があなたの部屋に入ろうとしています。入室を許可する場合は許可ボタンを押してください』
少し迷ったが、俺が仮想ボタンを押すと扉が開き、外からMAKIがニコニコしながら部屋に入ってきた。
「やっほー! MOON君! 元気してた?」
「おはようございます。いいとこに来てくれました。貴方に聞きたい事があるんです」
そう言うと俺は部屋のドアにカギをかける。これで、自由に入退室できるのは俺だけとなった。
「不穏な空気だねぇ! で? 聞きたい事って何~?」
そんな事決まっている。
「あなたですか? この部屋にあの鏡を置いたのは」
指をさした方向には今朝から忌々しい存在となってしまった鏡。これで、俺はライトエッジの着替えを不本意で見てしまったのだ。もし、この鏡が彼の差し金なのだとしたら俺はMAKIを1発殴らなければ気が済まない。
「そうだよ~この部屋何もなくて殺風景だったからプレゼントとして贈ってあげたんだ! どう? いいでしょ?」
こうして彼に対する断罪は決定してしまった。彼が嘘でも「違うよ~」と言っておけば俺が殴ることもなかったのに。
「そうですか。MAKIさん歯を食いしばってください」
「え? なんで!?」
ずかずかと近付いてくる俺に恐怖を覚えたのか、びっくりしながらワタワタとしている。
しかし、どんな感じであろうが俺には意味がない。問答無用で俺は彼の顔を1発殴りつけた――。
「いって~!!!! 何するんだよ!」
殴られたMAKIが俺の襟を掴んで、眼をギラギラとさせている。いくらゲームで痛覚がないとはいえ、殴られるのはやはり癪に障るのだろう。まぁそれが普通なのだが。
「あんたが勝手に設置した鏡のせいで、俺は……クソみたいな目にあったんだよォ!!!!」
「は? 何言ってんだ! そんなん身に覚えないぞ」
しかし、人というのはキレるだけで人格が変わるというのは本当らしい。というか、彼の場合いつもの状態が人格を作っている状態でこのキレている状態が彼の本当の本性なのかもしれない。
***
――結局今俺が置かれている状況を彼に説明する事となったのだが、俺の話を聞いている彼はうんうん、と頷きながら何も反論することなくそれは静かに俺の話を聞いていた。
今の状況を話し終えると彼は頷きながら立ち上がった。
「閃いたぞ!!」
まるで子供のように彼の瞳はキラキラと泡立っていたが、俺にはその案がどうもいい予感がしない。いや、本当に。
「俺がライトエッジちゃんに謝ろう! あの鏡を無断で置いたのは僕だって! そうすれば、MOON君の疑念も晴れるってもんだ!」
ほら、やっぱり碌な案じゃなかった。
謝るだけで、このカオスな状況を打開できるなら俺はさっさとこの軽すぎる頭を地面に擦りつけている。
しかし、今騒いでいた声で起きたのかライトエッジが「むにゃ……」と少し声を上げながら身体を起こし始めていた。
「あれ……MAKIさん……? なんで?」
なぜこの部屋にMAKIがいるのか不思議がっていたが、俺からすれば何故ライトエッジが俺の部屋のベッドで寝ているのだ。
本当にこの状況を何も知らない他人が見たら、何の修羅場かと思うほどに今の俺の部屋は混沌としている。
「そうそう、ライトエッジちゃん。一つ言わなきゃいけない事があるんだ」
「……? なんです?」
MAKIが先に切り出した!
「えっとね。MOON君が君の下着を見たことなんだけど……」
「あぁ、あの事ですか。別にもういいですよ。特に気にしてないので」
「「え?」」
2人して素っ頓狂な声を上げた。いや、さっきまでぷんすかって怒ってたじゃないか。気にしてないって……。
MAKIも彼女の返答が予想外だったのか、次の言葉に少し戸惑っているように見える。そして、苦笑いをこちらに振りかけると肩をポンポンと叩いて、部屋のドアに向かって歩き始めた。
その途中で、俺に
「まぁ気にしてないって言ってんだから、君も気にしない方がいいよ。下着見て、得したね!」
と、耳打ちして去っていった。
いや、彼も苦笑いしていたが最も反応に困っているのは俺の方だ。下着を見てしまって本当に悪いと思っていたのに彼女の「気にしていない」の1言。俺はどうすればいんだ!?
――こうして俺の波乱を帯びた朝はよく分からない終結を迎えたのだった。
最後までお読み頂きありがとうございます!
更新本当に遅くなってしまい申し訳ございません(´・ω・`)
中々この話のオチまで繋げるのにてこずってしまいました。(言い訳はここまで)
では、次のお話でお会いしましょう!