第1話
はじめましての人ははじめまして!知ってる人はお久しぶりです!長編小説を全て消して始めた新作小説!!更新速度なるべく早くしてそれを維持できるように頑張っていきます!!
2次元。それは非現実。それは理想郷。現実では再現できない事をしたり、想像を現実にするための時空間。俺達ヲタクの理想郷であり、超える事の出来ない次元。それが2次元。
――デバイスを外し、外を見ると朝焼け空が明るくなってきており鳥が鳴きながら空を飛んでいる。
「もう、朝か……」
時計を見ると針が指す時刻は既に6時を指しており、家の外からは洗濯物を干す音、朝御飯を調理する音、犬の散歩をする音が響き渡りその日の始まりを示している。
俺は布団を弾き飛ばし身体を起こした。机の上に置いてあるペットボトルを取り、キャップを外して水を喉に流し込む。4月とはいえ夜は冷え込むものだ。中身の水はまるでさっきまで冷蔵庫に入れられたかのように冷えており、寝ぼけた俺の眼を覚ますにはちょうど良かった。
「……もう学校の準備しないとな」
まるで千鳥足のような足取りで階段を降り、リビングのソファーに座りテレビの電源を付ける。テレビの画面に映ったのは今絶賛人気急上昇中のゲーム『F・E・О』の広告。先程まで、俺がプレイしていたVRMMOゲームだ。従来のVRゲームとは違い、自分の身体を動かすのではなく自身の意識でキャラクターを動かし、例え寝ながらでも広大なステージを自分のアバターで駆けまわる事が出来るゲームの革命ともいえるシステムを組み込んだ新作だ。
あったかいブラックコーヒーに母が作った朝食を食べ、自転車にまたがり学校へ向かう。桜並木の下、花弁が舞い散る道を爽やかな風を肌で感じながらただ変わりのない通学路を進んでいく。
「――結局去年と何も変わってないじゃないか」
ぼそり、と呟いた言葉が風に乗って蒼い空へ消えていく。
白い雲が流れる広大な蒼天は、地に立つ俺達を抱き込むような。そんな何とも言えない感情を俺に流し込んでくるようだった。
――坂を1つほど超え、自転車を数分走らせた所に俺の通う高校がある。私立帝祥高校。ありふれた私立高校だが、俺がここに選んだのは中学校の頃とは違う、それこそラノベやゲーム、アニメのような青春を過ごしたかったから。
だが、実際に過ごしている日々はとても青春とは呼べない、あまりにも普通すぎて詰まらあいものだ。
自転車を駐輪場に止め、鍵をかけ学校の玄関へ向かうが目的地は教室ではない。教室があるのが3階だが、俺は2階のある教室のドアを開けた。机や椅子が無造作に置かれている空き教室の窓際に、綺麗に掃除された机が1つ。ここは俺がいつも暇な時間1人でゲームをしたり読書したりする教室である。
朝は30分ほど前に来て、ここの教室で読書やスマホでゲーム情報を調べるのが日課なのだ。朝日を浴びつつ俺は1枚、また1枚と、本のページを進める。静寂の教室にただ紙をめくる音だけが響き渡った。埃っぽい教室だが、1人で静かに読書する為なら特に気にもならない。
「そろそろ、行くか」
腕時計を見ると始業時間の5分前を指しており、俺は今度こそ教室を目指し、廊下を歩く。
教室に入ると既に数人以外は着席しており、俺が席に座ると同時に先生が入ってきた。教卓に先生が持ってきた書類を置くと
「HRを始めるぞ。全員静かにしろ」
と言い放った。
そうして、廊下の方に手招きすると見慣れぬ少女が教室に入ってきた。その少女は金髪を腰ほどまで伸ばし、服装は周りの奴らが来ている制服とは違い、うちの制服を着崩していた。明らかに俺とは違う陽キャ風をなびかせる少女。
「転校生を紹介する。じゃあ自己紹介して」
「明淵 陽です。よろしくー」
飄々と挨拶を済ませた彼女は明淵と名乗り、先生に自分の席を聞くと黙々と席に着き授業の準備を始めた。その雰囲気から周りの女子も声をかけづらいのだろうか、話し掛けるのを躊躇っているように見える。……まあ、あのような不愛想な態度ではこれが当たり前なのかもしれない。俺としてはこのような陽キャっぽい彼女に話し掛ける度胸も勇気も無いし、あちらから話し掛けてくる事もないと思うので、これから関わる事は無いだろう、とその様子を横目で見ていた。
――ただボー、と授業を受け、気付けば既に昼休み。俺は朝コンビニで買ってきたパンを例の空き教室で食べながら、スマホで件のVRMMOゲームのイベント情報を調べていた。
「今日は19時からイベントか……。しっかりオンに入って討伐しないとな。ギルドの人達に一緒に狩るか聞いてみるか……」
チャットアプリを開き『今日19時からイベントですが、一緒に狩る人いますか?』と送信。すぐさまいくつか既読が付き、返信が来る。
『いいですね。やりましょう』
『すいません。今日は仕事でオンになるのが20時ぐらいなので今回は無理です』
と、聞いてみて側としては正直もう少しぐらい一緒にやれる人がいると思っていたので、ショックだったが、それでもやれる仲間がいるだけマシというものだろう。贅沢は言えない。
「今日一緒に狩れるのは1人ぐらいかな……。まぁ何とかなるだろ」
残ったパンを口に放り込み、午後の授業に向けて教室に戻る。
教室のドアを開けると、そこには1人でスマホをいじりながら、退屈そうに暇を持て余している明淵の姿があった。周りの女子のグループからは嫌悪、とまではいかないが、引かれているという印象を抱くようなその後ろ姿はどこか寂し気で、孤独に耐えかねている感じが俺には伝わってしまった。同じく友人が少なく、以前は孤独に苦しんだ俺には知りたくなくても伝わってしまう。
――午後の授業も、どこか上の空の彼女を気に掛けていると、いつの間にか授業は終了し、放課後となっていた。家に帰ってゲームをする為、荷物をまとめさっさと帰宅の準備を整えつつも、意識の端に彼女の寂しそうな顔が思い浮かんでしまう。リュックを背負い、教室を出るついでに彼女を探してみたが、既に教室内にも廊下にも、その彼女の姿はなかった。
どこかの部活動の見学に行ったのか、用事があって帰宅したのかは俺には知る由もないが、教室からは彼女の姿はない。その情景に周りのクラスメイトは気にする素振りもなく、友人のグループとのおしゃべりに夢中になっていた。俺には関係のない事、と割り切り教室を出る。
いつも通りの廊下や階段のはずなのに、周りの生徒の声が何故かとても耳障りに感じてしまう。これも何もかもあの、彼女の悲しそうな顔のせいだというのだろうか。
余計な事を考えている頭を振り、階段を駆け下りる。玄関で靴を履くときも、駐輪場に向かう途中も彼女の顔が思い浮かんで、気になってしょうがない。
、
――自転車にまたがり朝来た通学路をただ同じ道を戻る。桜が夕日に照らされ桃色の花弁がオレンジに染まった並木を戻り、桜の香りを嗅ぎながら家に戻り、ペダルを漕ぐ足に力を入れた。
――しかしこの時の俺は、彼女が俺の人生にとって、心に傷をつけたり付けあったりするような、大きな存在になる事を知らなかった。
最後までお読み頂きありがとうございます!今まで書いていた長編の小説を全て消した最新作ですが更新速度を上げつつ小説の能力を上げていくのがこの作品の目標の一つでもあります!そのモチベーションアップの為にもこの小説の評価や感想をお待ちしております!ダメな点、良い点を書いて頂ければ俺の納涼k向上になると思いますので、よろしければお願いします!
では、また!