表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覚えていない前世に転移する話  作者: はなまる
一章
9/10

8

「ふわぁ、あれここ.......」


 ここは私のために用意してくれた部屋だ。


「聖女様お目覚めですか? あ、失礼しました。私、メイドのアリサと申します。聖女様のお手伝いをさせていただきますわ。何でも私にお申し付けください。」


 か、かわいい〜〜〜〜〜!!!


 ピンクの瞳に髪。病的ではないがとても白くて綺麗な肌。ニキビなんて出来たことないだろう。体格も小柄で思わず守りたいと思ってしまうような女の子だ。



「えっと、よろしくお願いします。」



 起き上がろうとすると、無理しないでください。それに私はただのメイドです。敬語はお外し下さい。と言われた。でも、私はメイドなんて見たことがないし、年上の人に急に馴れ馴れしく話せるほどコミュ力はない。



「私のことを楓と呼んでくれるなら敬語やめます!」


「.......カエデ、様。」



 様がついているけど仕方ないよね、嘘はつきたくないし。



「うん! よろしくね、アリサ!」



「カエデ.......」



「へっ?」



 急にアリサに呼び捨てにされ驚いた。本人は呼んだことを自覚していないようだ。聞こうとしたがタイミングよく、ノック音がした。



「亜嵐だけど、入っていい?」



「亜嵐.......?」



「どうされますか?」



 断る理由はないので入ってもらうことにした。



「楓! 体は大丈夫? 医者にみせたけどただ眠っているだけとしか言われなくて。3日も目を覚まさなくてほんとに心配だったんだ.......」



 本当に心配をかけてしまったようだ。亜嵐の目に隈が目立つ。



「3日も.......?」



「そうだよ。多分魔王の影響だね。それよりそこのメイドさんどうして医者を呼んでないの?」



 あぁ! 私のせいでアリサが怒られてしまう!!



「申し訳ございません。全て私の失態です。」



「違うの!! 私が呼んで欲しくないって頼んだの。」



 男性が怖くてまだ心の準備が出来ていないことを伝えるとなぜかすごいニヤニヤし始めた亜嵐。なんで?



「へぇ、それって俺だけは大丈夫ってことだよね?

 .......嬉しい」


 その直後私の顔は真っ赤に。亜嵐ってすごいポジティブだよね.......。



「本当にごめんね、メイドさん。俺が勝手に勘違いしてしまって.......」



「いえ、アラン様に謝っていただく理由はございませんわ。しかし、カエデ様、医者は女性の方もいらっしゃいますわ。」



 えっ、早く言ってよ.......。そうだよね、女の人もいるよね。男尊女卑のない世界でよかったよ。



 ドアの前で震えている亜嵐。あれ絶対笑ってる!!


「あれ、君ってたしか学園にいたよね。えっと、確かアリサ・フォーグナー嬢?」



「その通りですわ。あの、失礼ですがあなたはアラン・ベルボート様で間違いないでしょうか?」



 私の侍女になるのだから、全て話したいと亜嵐に伝えると「いいよ。」とのお返事が。


 って、アリサの目がハートになってるよ??


「えっ、まさかカエデって.......」



「そうだよ。カエデ・モノティアール。君の親友だ。」



 亜嵐がアリサに耳打ちしたかと思うとアリサは涙を流し始めた。



「ど、どうしたの!? どこか痛い.......? まさか、亜嵐がなにかした!?」



「本当ですね.......なにも変わってない」



 その言葉で私は察してしまった。きっと私たちは知り合いだったんだ。前世では。親友.......だったりするのかな。



「アリサ、敬語じゃなくて楽に話してほしいな。 無理にとは言わないけど.......。」




 しかし.......というアリサに楓が許してるんだからいいと思うよ。と、亜嵐が助け舟をだしてくれた。



「分かりましたわ。改めてよろしくお願いします。.......カエデ。」



 心の中でやったあ!!! と叫び、アリサに笑顔を返した。



「では、私は医者を呼んでまいります。」



「ありがとう、アリサ嬢」



 亜嵐がアリサに微笑んだ。それにアリサは頬を真っ赤にする。かわいいなあ。心が痛いなんて私は知らない。




「楓どうかした?」



「あ、えっと、ルイどこにいるのかなって思って」



 誤魔化すために思い浮かんだルイ。でも、本当に気になってたんだよ、うん。



「神獣のこと.......? それならそこにいるよ」



 亜嵐が指差したところを見ると私のベッドですやすや寝ているルイがいた。もちろん虎の姿で。それより.......



「ルイって神獣なの!?」



「知らなかったの?」



「カエデったら、なんにも知らないもんねぇ。ボクともう契約しちゃったからカエデはこの世界で初めて神獣を従える人になったよぉ。」




 急に人間の男の子の姿になり私に抱きつくルイ。隣で文句言っている亜嵐は無視無視.......。


 学園でもアランってすぐに私と話した男の子の文句を言ったりしてたんだよね。あれ、わたしって亜嵐と同じ学校なんて通ったことないよね?


 急に頭痛がし、何も考えることが出来ない。亜嵐とルイが私になにか言っているが何もわからない。


 なにこれ、前世の記憶.......?


 そこでちょうど医者が来たのか注射がうたれ、3日ぶりに目を覚ましたのにも関わらずまた意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ