7 (きなこ視点)
私は小さい頃からずーっと、あずきと一緒に居た。
あずきは、いつも「僕がきなこを守る!」と言ってくれて、私にとって本当に頼りがいのある存在。
それでいて、とっても! とーっても! 大好きだ!
私達が前のご主人様と出会う前も、今みたいにずっと寄り添ってくれた。
確か、前のご主人様を見つける前は「ペットショップ」という場所に居た。
お母さんとの記憶は殆ど無い。
でも、寂しくは無かった。
そこにはあずきが居たから。
いくら寂しくても、あずきが居た。
ある日、私達にはご主人様が出来た。
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彼は綺麗な白髪のおじいちゃんで、とっても優しかったんだ!
微笑みが世界一似合う、まさに紳士って感じの人だったの! 私達の自慢のご主人様だよ!
私達を、暖かい家に迎えてくれたり。毎日、撫でたり。とーっても私達を可愛がってくれたんだ!
ご主人様は、私には〝きなこ〟という名前を、私の相棒にも〝あずき〟という大切な名前を付けてくれた。
あずきも、名前〝だけ〟は覚えていて、宝物と言っていた。
それは本当に嬉しかったなー
毎日が幸せだった......あの時を思い出すと、心がポカポカしてくる。
まるで、お日様の匂いみたい!
美味しいご飯、毎日のお散歩、優しいご主人様!
ちゃーんと愛して貰えた。
私は撫でてもらうのと、ブラッシング......だっけ? 難しい言葉は分からないけど、オシャレをするのが大好きだった!
だって......毎日あずきが見てるしね! えへへ、恥ずかしいなぁ。
あずきはね、ご主人様が大好きだったの!
特に、あずきはお散歩とボール遊びが大好きだった!
広場を駆け回り、ボールを追いかけ、ご主人様に褒めてもらう。
毎日めいっぱい遊んで、本当に〝幸せ〟だった。
広場の景色は、日が移りゆく事に変わり、初めて来た時はピンクのおっきな木があったのに、緑がいっぱいになり、そして黄色と真っ赤になり、最後には何も無くなった。
こんなにも最高な事は無かった!
たまに、かまって欲しくて吠えてると「めっ!」て怒られてたけどね......てへへ。
私はピンクのおっきな木の時が1番好きなんだ!
この日常が永遠に続くと思っていた。
でも、ある日それは突然に訪れた。
それは、4回目の〝何も無くなった〟時だった......