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 扉の開いた!! まっ、まずは逃げないと!!


 僕と、一緒にこの檻に居る相棒は急いで檻の奥の方に逃げる。


 僕達の家は2つの大きな扉がある。人間が入ってくる為の扉と、トゲトゲした袋に仲間を詰めた後、人間が入っていく部屋だ。


 人間が入ってくる扉から僕達の檻までは、人間の足で大体10歩位だ。


 僕達が、仲間を殺されていると分かった理由はこの、トゲトゲした袋に詰めた後入っていく部屋にもある。


 ......仲間を詰めた後に入る部屋からは、僕達の仲間が焼けた匂いがするんだ。


 喉の奥を焦がすような嫌な匂いだ。


 僕達は仲間が死んでいく匂いを延々と嗅ぎつずけなければいけない。


 勿論、自分の焼ける匂いも。


 誰かが殺されるかもしれない。それは、僕かもしれない。


 誰だって死にたくは無い。僕達を殺す身勝手な人間を追い払う為に僕は全力で吠える。


 「キャン! キャン! キャン! キャン!」


 僕は相棒と一緒にケージの隅っこに隠れて吠え続ける。


 人間は1歩、また1歩と僕らの檻に近ずいてくる。


 それが勘違いだとしても、いつもそう思ってしまう。


 僕の心臓はドクンドクンと鳴る。次は僕達の番なのか......?




 嫌だ、死にたくない。




 「「キャン! キャン! キャン! キャン!」」


 「ウゥー......ワン! ワン! ワン! ワン!」


 「グルルルル、ウー、アン! アン! アン! アン!」


 僕達の仲間も、人間を追い出すために必死で威嚇する。


 僕達の檻の前に立たれたらお終いだ。


 立たれた途端、あの袋に詰められる。


 人間が僕達の前に立つ事。それは〝死〟を意味している。


 人間は1歩、また1歩と近づいてくる。


 さっきまで威嚇していた僕達も、今では人間の足音に怯えて今では全員身を隠している。


 僕も、相棒と一緒に体を擦り寄らせてる。


 僕の相棒は、自慢の相棒であり、世界一の女の子だ。名前はきなこ。


 僕はきなこを守るためなら死んだっていい。


 だって、僕がこれまで生きてこれたのも、全てきなこのお陰だ。きなこと一緒で無ければこの暗い檻には耐えられなかった。




 後、僕にも名前がある。


 誰に付けられたかも分からないし、この暗くて狭い檻の中に居た記憶しか僕は無いけどこれだけは覚えていた。


 あずきと言うちゃんとした名前が。この名前は僕の宝物だ。



 理由は分からないけど、そんな気がする。




 僕は、きなこと見つめ合い『絶対に生きようね』と言う。




 でも、僕達にはそれが許されないのかもしれない。




────僕達の目の前で人間の足音が止まったのだ。



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