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 暗い。狭い。汚い。寒い。臭い。怖い。



 そんな檻の中に、僕ら2匹は鎖で繋がれて居た。


────檻は鉄格子で囲われ、逃げられないようにされた厳重な作りだった。


 周りには僕と同じ状況の仲間の犬が何千匹と居る。みんなボロボロで、元気な仲間なんて居ない。


 ここには、僕の大好きなボールも無いし、芝生の匂いも一切しない。


 あるのは〝絶望〟の匂いと近づく〝死〟の匂いだけだ。


 この匂いの原因は人間にある。


 毎日、人間は突然ドアから現れる。


 そして、僕達の仲間を何匹も大きく、怖いチクチクした袋詰められて連れ他の部屋に運んでいく。


 人間は僕達を袋詰めにする時、こう言っていた。



 「お前は殺処分だ」と。



 僕達は犬だから、正確な意味は分からない。けど、何となく人間の言葉は醸し出す雰囲気と匂いで理解ができる。



 《僕達の仲間は人間に殺されているんだ》と。



 その瞬間、僕は人間が大っ嫌いになった。殺されてたまるか。


 それに、僕には()()()()()()()()()()が居るんだ。


 この命に変えても。


 その事実を知ってから、僕達は毎日襲いかかってくる焦燥感、恐怖、絶望と戦っている。


 冷たい、銀色の地面は僕の体温を奪う所か、心も吸い取っていく変な感じが......ってだめだめ!


 ここに来てから僕の自慢の毛並みは、今では無造作に伸びて黒くくすんでいるそうだ。


 僕の相棒は『でも、それでも立派だよ?』と言ってくれた。


 ここに来てから、耳も尻尾もペタっと垂れて動く気配はしない。


 明日、殺されるのではという恐怖で震えは止まらないし、大好きだったご飯も全然喉を通らない。




 そして、次の瞬間。


 

 僕達にとって最悪の事態が起こった。



────扉を開く音が響き渡り、1人の人間が入ってくる。



 今日も僕達を殺す時間がやってきてしまった。



 生き残ってやる。



 絶対に。



 何としても。

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