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プロローグ

「すまないのぅ。君を死なせてしまった。でもわざとではないのじゃぞ?」


「いや、そんなこと言われても、何が何だかわからねえんだが?」


 確か下校中に青白い光が見えてから轟音がして、突然目の前が真っ暗になったんだ。

 そして次に目が覚めるとなぜか4畳半の和室に正座して、目の前にはひたすら平謝りする老人が1人。

 老人は自称神でここは天国。こんなんじゃ混乱するのは当たり前だ!


三日月 大河(みかづき たいが)君といったか? じつはふざけて下界へ落とした神の鉄槌(トールハンマー)がたまたま君に命中したんじゃ」


「この落とし前、あんたどうつけるつもりだ?」


 俺はテーブルを挟んで向こう側にいる老人へ詰め寄ると、胸ぐらをつかみあげる。

 冗談じゃねえぞ、要するにこのじじいのお遊びで俺は死んじまったってことじゃねえか。

 覚悟はできてんだろうなぁ? 生半可な返答じゃ……。


「―――も、もちろんすぐに生き返らせる」


「―――わかった」

 

 なんだよわかってんじゃねえか、それならそうとさっさと言ってくれ。

 俺は胸ぐらから手を離すと、その場に座り込んであぐらをかく。

 

「……じゃが、天界規定で君の元いた世界に生き返らせることはできない。そこで別のある世界で生き返ってもらいたい」


「そうなると、言葉は通じるのか? お金は使用できるのか? といった問題が出てくるがそれはどうなってる?」


 老人は眉間にしわを寄せ、何かを考え込んでいるようだ。


「若いのに細かいところを気にするのう。それなら罪ほろぼしもかねて望みをかなえてやろう」


「フフフ……望みをかなえる? じーさん正気かよ」


 そんな神様みたいなことできるわけ……ってこのじじい自称神様だったな。

 それならこれから行く世界次第か? いや待てよ、手っ取り早い方法がひとつある。


「ならじーさん。こいつで何でもできるようにしてくれ」


 俺は制服のポケットからスマートフォンを取り出すとテーブルの上に置いた。


「これをか? わしはてっきり最強の武器防具とか、ハーレムとかを要求してくると思ったぞ」


「こいつのアプリを異世界対応版にしてくれりゃそれでいい。それと、金と電池は無限でたのむぞ」


 スマホには翻訳アプリや地図アプリ、電子マネー決算とう便利な機能が盛りだくさん。

 これさえあれば、某ネコ型ロボットのポケットくらい心強いことだろう。


「ぐぬぬ、このことが公になればわしの立場が危うい。むしろこれくらいで済んだと喜ぶべきか。わかった言う通りにしよう」


「あと、いい忘れてたが……」


「なんじゃまだあるのか?」


 老人はぎょっとした顔で俺を見つめているが、そんなに難しいことを要求するつもりはない。


「異世界っていうくらいなんだが、魔法くらいあんだろ? 魔法が使えるようになるアプリを追加してくれ。あとすべてのアプリはジェリさんに話しかけたら、一発で発動するようにもしてくれよ」


「お主どんだけ強欲なんじゃ!? 自重するという言葉を知らないのか?」


「お遊びで人様の命奪ったあんたに、そんなこと言えんのかよ」


 痛いところをつかれたのか、じじいは黙り込んでスマホに手をかざすと白い光がスマホの画面へと吸い込まれていった。


「これでお主の要望はすべて聞き入れた。では異世界へ転生するぞ? ホレェエエエ」


 じじいが奇声を上げた次の瞬間、俺は再び目の前が真っ暗になった。

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