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ギルマスの不在  作者: ragolun
1章
5/13

5

帰還呪文でキーエに戻ってから俺たちは馬に乗ってチェルノに向かっている。

ブラの顔色がキーエに戻ってから少し悪いような気がしたがングがヴセヴォルドさんと意気投合してから、このクエストに乗り気なのだ。

「見えてきたで」

古代アルヴ族の封印で赤いエターナルアイスに囲われたドーム状になっていた。

外見だけの判断だが中身は単純そうに思えた。

ブラの大好きなギミックダンジョンに到着したわけだがブラの元気はなかった。

「ブラどうしたの?顔色悪いけど?」

「いやさ、俺たち帰還呪文で戻ってきたわけじゃん?コールオブホームでさ、馬車は屋根がない安い奴買ったから置いてきたのはいいんだけど作りかけのポーション置いてきちゃったんだよね」

「ドンマイやな」

「おぉん、ポーションでも飲んで元気出そうぜ」

「そうだなぁ・・・」

ブラが久々に普通のポーションだけを飲んで顔が赤くなってきた。

「おっしゃ行くぞ!」

思いのほか切り替えが早かった。

「んで、ゆんちゃんダンジョンの入り口はどこ?」

「実は来たことないんだよねぇ」

「えっ?」

「人気クエストなのとユークライネス姫国でレイドできれば別に良かったから自分には関係ないかなーって挑戦しなかったんだよね」

「せやったんか、レイドできる場所多いん?」

「ユークライネス姫国の国土が狭い分濃厚な無機物モンスターが主流のレイドコンテンツが詰まってて廃人に人気な国だったんだよね、今はプレイヤー少ないけど」

チェルノブイリの原発事故を想定して生物モンスターがあまりいないと思っていたが、無機物モンスターのレイドコンテンツが多いとは初耳だった。

「とりあえず、そこらへん触ってみるわ、ん?物理攻撃力減少のバッドステータスあるやん・・・・」

「エンチャンターだし良いんじゃね・・・・」

3人の声が重なった。

ングが赤いエターナルアイスに触った瞬間物理攻撃力減少のバッドステータスを受けたがエンチャンターには関わりがない、普通のエンチャンターだったらな。

「いやエンチャンターで物理攻撃するからかっこいいんやろ!もう、しゃあないわヴセのおっさんに言われたこと試してみようと思ったんやけど先にキーンエッジ使っとくわ!キーンエッジ」

淵より来る生霊の鎌のキーンエッジ強化の効果もあってバッドステータスを受ける前より火力少し高くなった。

「ヴセのおっさんがなハートビートヒーリングとキーンエッジの魔法の類似点を意識すると得意な魔法やなくても得意な魔法の効果を受けて回復が上昇するって言っててな試してみたかったんやけど、いつでも撃てる時のほうが良いって言っててな」

ングがオカルトダブラーから少し魔法学者に寄って来てる気がした。

「ほれ、イルさんも探すのにゲインイミュニティかけよか ゲインイミュニティ」

ゲインイミュニティは一部のバッドステータスにかからなくする魔法だが先にバッドステータスにかかっている者には意味がない、ングが自分に使わなかったのはこの為だ。

「いやコレ別の入り口探すか壊したほうが良いんじゃない?まぁやってみるけどさ、あえ?ここら辺腐食のバッドステータスだけど」

腐食のバッドステータスアイコンが目の前で表示されてはバツが出て消えていく。

「草はえる、こんな仕様あるなんて聞かなかったんだけどなぁ」

「腐食のバッドステータスあるならそこだけ壊れやすいんじゃない?」

ブラが冷静に突っ込みを入れた。

「足でけるのも痛そうだしなぁ」

俺はアトラトルを構えて投げることにした。

「ハンティングホーク」

「おぉん!イルさんの時代に逆らった攻撃方すこ」

ビンゴかもしれない、俺が投げた投槍が赤いエターナルアイスの岩盤に突き刺さった。

「ジャベリンを相手のゴールにシュート!超エキサイティング!」

いかん、テンション上がった。

投槍の刺さった岩の一部がポロッと取れた。

「ブライトー、暇だなぁ、女の子になりたい」

「むしろ外観再決定ポーションで男に戻してやろうか・・・・持ってないけど」

「ふえぇ、それだけは勘弁」

落ちた鉄の投槍が違うアイテムに代わっている、外見こそ変わっていないがアイテム名とフレイバーテキストだ。

腐食の槍、魔法級アイテムだ「相手モンスターに腐食効果を与える槍」

「なぁ、コレ戦闘で使えるんじゃない?岩刺さってるからまっすぐ飛ぶかわからないけど」

「俺の杖も似たようなもんやし、大丈夫なんやない?」

「そうかもしれない、前のゲームみたいにバッドステータス与えながら戦闘したかったんだよね」

俺が腐食の槍を槍筒に入れた瞬間に槍筒が腐り俺の足元に落ちた。

「ちょぉおおお、これは危険かもしれない」

「草はえるわ、また作ればいいんじゃない?」

「日も暮れてきたし、帰ったほうが良いんじゃないかなぁ」

ブラ以外暗くなってきていることに気付いていなかった。

「今日の馬の呼び出し可能時間あと3時間半やし帰ろか」

「3人とも先に帰っててくれ」

「おぉん?一緒に帰らないの?」

「この槍マジックバッグに入れたらマジックバッグが腐るかもしれないだろおおおおおお」

この槍は危険かもしれないが1個あれば重宝するかもしれないし、もしかしたら明日ダンジョンに入るまでに量産できるかもしれない。

「新しい槍筒も作りたいから先帰ってて」

3人を帰して俺は槍筒の材料選びに専念し、持ってる高級な革を何種類か腐食の槍に当ててみたが即座に腐り、2時間ほどどの素材を使っていいか考えたが安い革も試してみようと思い一通り試してみたが全部腐ってしまった。

「あー」

全種類腐ってしまった、適当に声を出してストレスを発散させるしかない。

「うー」

寝ころび適当に声を出しているときだった1匹の奇形の熊が寄ってきた、レベル10。

「ワイバーンキック」

レベル差がありすぎて一撃で消滅したがドロップに汚染された毛皮があることでアイディアが浮かんだ。

もしかして被爆して汚染された生物なら耐性があるのではないかと、さっそく腐食の槍に当ててみたが腐らない、しかし敵を倒してドロップした汚染された毛皮では量が足りない。

今までドロップした浸食された毛皮は店に売ろうにも金貨1枚にもならないし、毛の色がところどころバラバラになっていて気持ち悪いこともあって捨ててたのだ。

「こんなことになるならドロップ品を拾っておけばよかった」

しかし俺は革細工職人90レベル、生きた野生動物さへいれば動物の皮を余すことなく取ることができる。

もしかしたらこれは行けるかも知れない、そう思ってダンジョンの周りを散策して2時間、奇形の狼10レベルがやっと顔を出した。

「地の恵みよありがとう、俺の生きる糧となってくれ」

それから浸食された狼の革から浸食された槍筒を作り、壁にクールタイムが終わり次第ハンティングホークを当てながらダンジョンの入り口を探すこと6時間、入り口は見つかったが辺りが明るくなってきた。

それからハンティングホークで壁に槍を2時間投げ続けたが腐食の槍は最初にできた1本だけで、恐らく腐食のバッドステータスを持ったエリアが凄く少ないのだろう。

それから少し仮眠を取ってお昼頃に3人がやってきた。

「おぉん、イルさんダンジョン入り口にいてワロ」

「元の場所にいないから探したぞ、まさか入り口発見してるとは」

「とりあえずお昼やな、ゆんさんがまさか肉焼けないのに米炊けると思ってなかったわ」

「俺もやればできる」

米の香りがする、2カ月半ぶりにかいだ。

「でも、肉はやけへんのよなー」

「まぁカレーライスで良ければ食べれるぞ」

俺はカレーライスを出されてにやけずにはいられなかった。

カレーに御飯がある、それは俺たちのポーション生活にとって奇跡と呼べるのだが3人は既に朝食で食べているので普通の顔だった。

「俺は米が大好きだ・・・・・」

至福のひと時である、米があるのだ、甘い少し硬いがしっかり味のする米、泣きながら食べてるとングが呆れた顔をしていた。

「イルさん大げさやで」

大災害があってから食料革命があるたびに一番喜んでいたングのセリフとは思えなかった。

「大げさも何も米だぞ、日本人の心だぞ!俺は盲腸で入院したことがあるが4日だって米のない生活はつらかった」

「せ、せやな、ブラ、ゆんさんとめたって」

「これから毎日米が食べられると思うと心が弾むなぁ!」

「いや、あと1食分しかないけど」

「え?」

ゆん以外3人の声が重なった。

「毎日米炊いてくれるんとちゃうの?」

「誰か米もってないの?」

「ない」

「ないわ」

誰も米を持っていなかった。

「料理人やろ?米ぐらい仕入れといてや」

「インディカ米ぽいのならあるけど皆多分苦手だよね?あ、カレーには合うか」

「インディカ米でもいいけど、早めにダンジョンクリアしてアキバに行こうジャポニカ米がいいです」

「米の為に行こう」

ブラが食べ終わって立ち上がった。

俺たちのダンジョン攻略が始まる。

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