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ギルマスの不在  作者: ragolun
2章
13/13

4

「これがフィヨルドってやつか」

僕たちはイギリス(ブリタニア国)の北西まで来ていた。

「イルさんフィヨルドって?」

僕たちがエルダーテイルの世界に来てからも聞いたことがない単語だった。

「氷河期の時に氷河が山肌を削ってできた入り江とかの事、高校の授業で習って1度来てみたかったんだよね」

「おぉん!イルさん地理詳しいの?」

「偶然高校時代に興味あってなんとなく覚えてただけ、ゆんちゃんにはおよばないよ」

「世界地図には詳しいけど地理自体は詳しくないにゃん」

「山肌を水が削った場合は水が流れやすい場所に進むからV字に削れるんだけど、氷は形が変化しないで削れながら移動するからU字に削れて山の近くなんだけどフィヨルドは港に向いてるらしい」

「イルさん専門が地理だったみたいに覚えとるな、専門生物やろ?」

「高校の時は割と地理とバケガクの方の化学が得意分野だったからね」

「おぉん?物理は?」

「物理はもれなく死ね」

「僕はここまで食料備蓄したから砂漠にでも飛ばされるフラグかと思ってたけど良かった」

「ウナギゼリーとか買い足したから行く前より保存食増えてるけどな」

ブラがウナギのゼリー寄せの入った鍋を取り出した。

「俺はウナギにバルサミコ酢かけたやつの方が好きやったけどな」

「見た目に難ありすぎだろコレ」

「コショウとか調味料で味変えないとどぶ臭いのも難ありすぎだと思うけどな」

「外国人の俺らでも間違った食べ方しないように教えてもらえたからよかったけど、ゲテモノ間違いないな」

「俺ら日本人の魂、オニギリも勧めたかったけどジャポニカ米は大切にしないとな」

「毎日お米食べたとしても1カ月はもつ量あるからそれは大丈夫かな、今のところ全部外食で済ませてるけど」

「マズイってイメージあったけど、旨い場所は旨いな」

料理を伝えた冒険者の腕が良かったのか、味がない食事から味のある食事を取り戻した反動で美味しいものを作ろうと努力していたのか、予想していたよりは美味しい料理もある。

「イギリス出身の人には聞かせられない会話だなぁ」

「まぁでも、保存食食べるよりはフィッシュアンドチップスでいいわ」

「スバを連れ戻して余裕があったら食べ歩きしよう」


僕たちは漁に行く大地人の船に途中まで乗せてもらい途中からボートを漕いで渡ることになった。

「海賊の世界にいる気分、こんな木製の大型船乗ることになるとは」

3本のマストが張ってある巨大な漁業船に乗り込んでいる。

僕たちのほかに冒険者は3人で僕たちを合わせると合計乗組員は26人だ。

「こんな仰山おってもな、モンスターよけは分かるけど」

「動力にマジックアイテムや蒸気機関使ってないのが中世っぽいよな」

「アキバの街みたいにオキュペテーみたいなのを作る必要があるな」

「イカチャンきたゲソ」

「冒険者様!頼みます!」

僕たちが船に乗って最初に遭遇したモンスターはクラーケンレベル60のパーティーランクモンスターだ。

「船に乗りながらタウントしたら船壊されるんじゃないか?俺は何すりゃいいんだ」

僕とブラは壁役だがそれは陸の上での話だ。

船の上でのヘイト稼ぎは船全体にヘイトがいき船が攻撃されてしまい、損害が出る前に敵の排除が求められる。

僕たち以外の冒険者3人はクレリックにソーサラーにアサシン。

遠距離攻撃できる人が割と多い。

「ハンティングホーク」

「アサシネイト」

「ラピッドショット」

「オーブオブラーヴァ」

「キャストオンビート ソーンバインドホステージ パルスブリット マインドボルト パルスブリット マインドショック パルスブリット」

それぞれが思い思いの攻撃をしてる中、僕とブラは攻撃手段がない。

「お茶弓用意しておけ、それと火矢だ」

そうか、ガーディアンで使う人がまずいないから忘れられてたけどロングボウとショートボウはガーディアンでも装備可能だ。

いつの間にかタルを用意していたブラがタルを投げようとしている。

「シールドスウィング」

盾の上に乗せたタルをクラーケンの口の前まで投げつけた。

「お茶、タルに向かって火矢撃ってくれ」

「了解」

撃ちぬいたタルが爆発した。

「えぇ、ブラなにやったの?」

「ロデ研と共同開発した爆薬」

水に浸かっていて多少弱体化していただろうが、威力はすさまじかった。

60レベルのクラーケンの体力を爆薬1つで半分ぐらい一度に削って倒したのだ。

倒した後のポーションを一気飲みするブラ。

「これが俺のポーションパワーだ」

「たまげたなぁ、飲まないならポーションって呼ばないんじゃないかな・・・・」

それから3度のクラーケンに遭遇したがブラの爆弾の効果で割かし早く撃退できた。


「おぉん、見えてきた」

「世話になった、ありがとう」

「ほんま、感謝やで」

船を下りて僕たちは陸へ向けてボートを漕ぎ始めた。

「なぁ、氷の上歩けばいいんやないの?」

「もう少し陸が近くなったらね、氷の上に乗って割れでもして落ちたら寒いじゃすまないって、船で移動できる場所は船つかおう」

「手漕ぎボートじゃ移動遅いからなぁ」

「おぉん!せっかく買ったから犬ゾリ使いたい」

「召喚笛使おうにもな、ある程度陸にいかないと水ポチャだしな」

「会話してる間に氷でボートじゃ進めそうにないな」

ブラがボートから海氷の上に飛び乗り地面を蹴り始める。

「大丈夫みたいだな」

「早速犬ゾリ乗ろうにゃん」

「いや、早すぎるやろ」

イルさんは氷を採取している

「イルさん何してるの?」

「氷って本当に塩分が下に抜けてるか後で飲んでみたくて」

「僕も飲もうかな、ツクバのワイン余ってればよかったんだけど」

「そんなこともあろうかと、余っとるで」

「ング飲めないのに準備いいなぁ」

「飲めないんやなくて、すぐ寝るだけやで」

「それを飲めないって世間では言うんだよ」

「おぉん!それより犬ゾリ乗れる場所まで移動しようず」

「とりあえず数百メートルは歩いたと思うから大丈夫だよね、氷の上もある程度慣れてきたし」

「雪降ってればよかったにゃん」

「それやめてくれ、吹雪いてたら俺たち凍死してたかもしれんやろ」

「アイスランドまで真っすぐ行くとして距離的に10日ぐらいかかりそうだしなぁ」

「10日もあったら確実に吹雪くやろ、死ぬって俺ら」

「なぁ、気付いたんだけど仮に10日間で着くとして、その間ずっと俺たち地面のない氷の上だよな?火使えないんじゃね?」

「ブラ、その話はやめよう」

「早く着きたかったら、その分歩くことやな・・・・・」

「おぉん!火が使えないとどうなるの?」

「超早くて6日で着くかもだけど、氷しかないここだと火を起こせば寝てる間に溶けて海に落ちたりするから常時火は起こせないし火を起こして料理もできない」

「料理ぐらいならできるんじゃね」

「出来るかも知れないけど氷の上で火を起こして食事を経験した奴がこの中にいるか?そもそもそういう知識をもった専門家に俺たちは出会ってない」

「専門家の意見もなしに危ないことできんわな」

「おぉん!専門家の意見も聞かずに吹雪くかもしれない氷の中にいるのも危険だと思います!」

「はい!ゆんちゃんの意見に賛成の方は全員手を挙げて、全員かよ」

僕たち全員日本に普通に暮らしてた庶民に過ぎず、こういう経験を持つものはいない。

「なんで誰も聞いてこなかったんや」

「そもそもこういう事態を想定してなかったから」

「以下同文」

「とりあえず、食料は火なしで作れるものやなSAN値さがるわー」

「ウナギゼリーにチャーシュー、味付け卵、しらす、スルメ、チーズあとなんだろう」

「今日は見た目グロいウナギゼリーから消化していこう・・・・」

「買ったはいいけど見た目が察し・・・・」

「おぉん!ウナギゼリーは全部イルさんに食べさせてみんなでチャーシュー食べよ」

「チャーシューいっとくならワインだそか」

「いや、なんで俺だけ」

「ていうかもう犬ゾリだせるだろ、召喚笛吹くぞ」

ブラが召喚笛を吹いて犬ゾリに乗った。

「とりあえず、召喚時間経過したらメシだな」

「おぉん!ブラだけ先にずるい」

犬ゾリの旅は4日目に吹雪いたが順調に進み9日で着いた。

「おぉん!北米サバはいった」

ゆんちゃんの言葉でイルさんとブラとングの3人はスバ君に念話を試みたが誰も通じることはなかった。

場所はイーストラント国のペルトランの温泉。

「スバ君、北米サバいないじゃないか」

「スバの事だからタイミング悪くて大災害直前に落ちたとか?」

「ありえる」

「おぉん!流石スバ君やるじゃん草はえる」

「北米サバから移動したのも考えられるけど、移動手段って言ってもフェアリーリング?」

「600パターン以上ある転送地帯全部探るの無理やろ、下りるわ俺」

「俺も探すのは下りるわ」

「おぉん!ムリゲー」

「フェアリーリングで移動した直後にまたは入れるっていうなら別だけど、移動制限あるしな」

「僕も下りる」

全員一致でスバ君捜索は断念せざるを得なくなった。

イーストラントは雪で寒いものの素材アイテムも豊富にあり、なおかつ日本人の心である温泉もあるので快適に過ごせ僕たちの中で自然と出ようという者は1人もいなかった。

スバ君がもはやどこに行ったのか僕たちには確認のしようがなくどこか寂しかったが地球の裏側まで来ても僕たちの団結は途絶える事はなかった。


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