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ギルマスの不在  作者: ragolun
2章
11/13

2

「レベリングしておいて良かった」

僕たちは円卓会議初の公式クエストとしてゴブリン退治に来ていて、クエストの参加条件は40レベル以上で僕でも参加可能だった。

「にしても数ばかり多くて雑魚ばっかだな、ゴブリン達」

「せやな、スキルなしでほぼ1撃やし」

「受けたはいいが遣り甲斐のないクエストだな」

「オキュペテーに乗りたかったなぁ」

イルさんは機械オタクな部分がある。

特にパソコンだとマイナーなパーツメーカーの信者的なところがあり、巨大な水蒸気船に乗れなかったのが悔しかったようだ。

「おぉん!レイネシア姫のフィギュアが欲しいおぉん!」

レイネシア姫はこのクエストの依頼人でクエストの発行は円卓会議でゆんちゃんがこのクエストの事を 発行から 1ヵ月後に 聞きつけてみんなに参加しようと呼びかけた張本人だ。

レイネシア姫はマイハマのエターナルアイスの古宮廷に住む姫で 1ヵ月前に クエストのためにアキバの街にやって来たらしい。

ブラが遣り甲斐のないクエストといったようにゴブリンの数だけ大量にいて1回の戦闘で6体ぐらい遭遇するが、10~20レベルぐらいが主でングのスキルなしの1撃でも僕のスキルなしの1撃でも倒せてしまうレベルだ。

「これは範囲攻撃げーですは、前のゲーム思い出す ドラゴンテイルスウィング」

「この作業間、既視感が」

「やんなー」

「おぉん・・・・・」

みんなテンションが下がりまくりだが僕は参加できたこと自体が嬉しかった。

「せっかくアキバでて少し離れたところにきたんやし後でツクバによりたいんやけど、魔法都市やし面白いもんあるやろ」

ングは何故か知らないけど、この世界に来てから魔法の原理を研究してる節があり、書庫塔の林で魔法関係の本を拾ってくることが多かった。

「茨城かぁ、行きつけのラーメン屋行きてぇ」

「茨城って事は地図持ってきてないからわからないけど多分ここから北だよな」

「おぉん!ブライト方位磁石だして!」

「ほいきた」

僕が知らないうちに道に迷ったことがあるのか、ブラが方位磁石を用意していた実に準備がいい。

「ブラその方位磁石どうしたの?」

「ろぜりんに作ってもらった」

ろぜりんは方位磁石まで作れるのか・・・。

「それはそうと犬ちゃんだいぶ黒くなったな」

「せやな、もうダークエルフやな、ゆんさんみたいに変態路線まっしぐらやな」

「みんなもブラのオイルで焼いてかない?」

「いらないゲソ」

「いらんわ」

「いらないな」

「作った本人だけど、これ以上種族が偏るのはいらないわ」

僕は、ブラは狼牙族のガーディアンだったが耳はあまり目立たないので別に種族は偏らないような気がした。

「とりあえず、ツクバいこか」

とりあえずツクバに行くことになり北に向かった。


僕たちは魔法都市ツクバまでやって来た。

ングは図書館へ行き、残った僕たちは食料調達と宿調達だ。

「旅のだいご味は食事だな」

「おぉん!せっかく来たから何か名産品買って帰りたいなぁ」

「イルさんツクバって何が名産品なの茨城の出身だよね?」

「ワイナリーが現実であるって聞いたことあるからワインじゃないかなぁ」

僕が知ってる情報だと、大災害が起こってから冒険者の食生活が大地人にも広がっていて調理ほうも大地人に広がっているので様々な料理が食べられているらしい。

ワインだったら僕も飲める。

「俺ワイン飲めないんだよね、みんなはどう?」

「むしろワインしか飲めないでゲソ」

「僕も飲める」

「吐き出す」

イルさんとブラはワインを飲めないようだったングはどうなんだろう。

とりあえず赤ワインと白ワインと適当なツマミをいくつか買った。

ングが図書館からウキウキ気分で帰って来たので合流し宿に向かった。

「ングはワイン飲めるの?」

「飲めるが、すぐ寝る、次の日ダウンするわ」

「それ飲めないっていうんじゃね」

イルさんとブラ以外は全員飲むことになったが、ブラはポーションで酔っ払っていた。

「ングねるのはやっ!」

僕とゆんちゃんは結構な量を飲んで寝て、ングの一言で目が覚めた。

「SAN値下がるわー」

「ング全然飲んでないのに」

「草はえる」

「まぁ、昨日オカルトダブラーのレベル上がったから良いけど」

「ングこっち来てからサブ職レベル上がりすぎじゃね・・・・」

「変態だな」

「サブ職90のお前らのほうが変態だと思うわ」

「やった僕は入ってない」

「2キャラ目育ててる時点で変態やな」

僕も結局変態だった。

今日はングだけじゃなくブラもポーション研究の為に図書館に籠りっきりだった。

「おぉん、暇だお、JKになりたい・・・・・」

微妙に女声を作るのがうまくなってきてる気がする。

「あっ、ング」

ングが図書館から出てきた。

「魔法の研究したいから先に帰還呪文でアキバ帰っとって」

その後ブラに居残るか聞いたがブラは居残る気がなく4人で先に帰ることになった。


ングがツクバで研究に取り組んでから1ヵ月がたっていた。

明日は円卓会議初のお祭り、天秤祭が行われようとしていた。

天秤祭でポーションの供給が間に合わないことから僕たちは出店しないで適当に楽しもうということになっていて、ングは研究のため天秤祭には戻ってこないことになっていた。

「おぉん!イルさんケーキバイキング行こうにゃん」

「いいけど、どうしたの?」

「天秤祭の男女ペアケーキバイキングで1位になった人はレイネシア姫主催のパーティーに行けるんだおぉん」

「男女ペアって男と男・・・・・」

「おぉん!喋らなければ女の子だにゃん!決められた数食べきると無料だし」

「僕とブラも出ようか」

「お茶も俺も見た目男じゃないか・・・・・壊れるなぁ」

「あ、そっか」

「俺とお茶は適当に店回ってるわ、12店舗回ると豪華景品らしいぞ」

ブラはスタンプラリーカードを取り出した。

「ラーメン!ラーメン行こうブラ」

僕は何よりラーメンが大好きだった。

「祭りでラーメンとかラーメンフェスじゃないんだぞお茶、ラーメンなんて出店してるわけ・・・ あぁ、オーラの場所ラーメン出店だったな」

イルさんはトラブルメーカーだが割と顔が広い、リオさんのギルドや何件かのギルドでラーメンを出すというのもイルさん情報だった。

中でもリオさんのギルド月の兎は、この世界ではあまりない魚介系のダシでラーメンを作るらしい。

「エルダーテイルの世界に鰹節なんてなかったし魚の種類も少ないからリオさんのギルド何でダシ取るんだろうなぁ、醤油ラーメンとか味噌ラーメンもこの世界に来てから醤油自体の発酵期間少ないだろうしなぁ」


天秤祭初日。

「んじゃ、イルさんと一緒にケーキバイキング行ってくるおぉん」

「俺、また太りそう」

「んじゃ僕はブラと食道楽に」

僕たちはギルドホールで別れた。

「まずはオーラのところだな」

「レッツラーメン」

リオさんのギルドが出してるラーメン月の兎についた。

「らっしゃーい」

「オーラ、月の兎ラーメン2つ」

「リオさん何でダシ取ってるの?」

「僕のところのラーメンはサファギンとか魚介系モンスターと野菜が主かな」

「はい、お待ち」

白いスープにちぢれ麺でトッピングはチャーシュー、味付き卵、ネギ。

「元の世界とは違った魚のうま味があっておいしい、これがサファギンの味なのかな」

「お茶、ここ一番最初に来たのは間違いだったんじゃないか?最初からこんな美味しいの食べちゃって」

ブラが一番旨いのを先に食べすぎたのを気にしているがその気持ちもわからないでもない、現実世界のラーメンみたいに旨い。

「オーラいい仕事してるわ」

サファギンのダシが堪らなく旨い一品だった。

元の世界の料理でハードルがかなり高いのがラーメンだ。

理由は大災害が起きたのが5月で、クレセントムーンという味がある料理が出てきて味のある調理法が広まったのが6月で、今10月が天秤祭だ。

この間に発酵が必要な味噌や醤油はまだ発酵期間が短すぎることや鰹節がこの世界にないことである。

醤油や味噌は醸造系のサブ職なら作れるが、鰹節の作り方を知っている冒険者が少ないし作るのに時間がかかりすぎる。

「リオさん美味しかったまた来る」

「まいどありー」

「2件目行くぞお茶」

2件目、熊の屋。

「熊ラーメン2つ頼む」

「おっちゃん、ここのラーメンは熊使ってるの?」

「もちろん名前の通りな、オウルベアの手も使ってるぞ、あと醤油ベースな」

「はい、おまちどうさん」

醤油ベースという割にやけに透明なスープに細麺の固めでトッピングはモヤシとオウルベアの手だった。

「熊の手ラーメンとかリアルじゃ高すぎて食べられないな」

「リアルだと10万ぐらいしそうだよね、おっちゃんスープやけに透明だけど本当に醤油?」

「よくぞ聞いてくれました!発酵で醤油を作ったんじゃなくてアミノ酸を混ぜて醤油を作ってね!醤油の黒くなる成分メラノイジンを含んでない人工醤油を作って・・・・・・・・」

おっちゃんが科学オタクだ。

イルさんっぽいそれを感じる・・・・。

おっちゃんの話は長かったが醤油味のスープにコリコリのコラーゲンたっぷりのオウルベアの手はなかなか美味しかった。

細麺なのが少し物足りなかった。

「ごちそうさま」

「まいどー」

「最後だな、お茶」

イルさんから聞いた出店してるラーメン屋は最後になる。

「冒険者の肉体ってすごいね、多少動いたのはあるけど連続でラーメン食べても大丈夫だし」

「多少って言っても食い倒れ横丁から出てないけどな」

3件目麻婆ラーメン

「名前からして麻婆豆腐だね、麻婆ラーメン2つ」

「お茶、3件とも当たりだったみたいだな、天秤祭終わっても営業してる場所があればクオリティー高いしどこでも行けそうだな」

「熊の屋は材料的に毎日続けられないだろうけどね」

「へい、おまち」

スープは麻婆豆腐そのままで太麺のちぢれ麺でトッピングはない。

「思った以上に麻婆豆腐そのままだな」

「思ったより辛い、でも旨い」

ラーメンの上に麻婆豆腐という感じよりも麻婆豆腐の汁を足して麺を入れた感じに近く四川風みたいな山椒の辛さではなく唐辛子の辛さだ。

「ごちそうさま」

「まいどありー」

「この後どうしよっか」

「イルさんとゆんちゃんと合流して店回ろうか」

アキバの中央辺りのクレセントムーン復活店舗近くで合流したがゆんちゃんは落ち込んでいた。

「リア充まじもげろよ・・・・」

「イルさん、ゆんちゃんどうしたの?」

「男女ペアのケーキバイキングに小学生か中学生ぐらいの年齢の女の子2人を連れた超絶イケメン眼鏡男に嫉妬してるんだよ」

「まぁクレセントバーガーでも食べて元気出そう」

僕はアキバにずっといたからなじみがあったけど3人ともクレセントムーンがあった時期はキーエに居て1度も食べたことがない。

僕たちアキバの冒険者にとって最初の味のある食べ物だった。

「おぉん!こっちの世界に来て味のあるハンバーガー初めて食べたかも、イルさんたこ焼きばっか買ってくるし」

「米とたこ焼きは俺の命みたいなとこあるからな、旨い」

「これがアキバのお袋の味みたいなもんか、俺たちはカレーだったもんな」

ちょうど中央にあったからクレセントムーンに集合したけど正解だったようだ。

「おぉん!レイネシア姫のフィギュア!ドレス版とヴァルキリーメイル版があるにゃん!両方買ったわ」

「ゆんちゃんキーエにいた時からフィギュア欲しがってたもんね・・・・・」

「金貨500枚でこのクオリティー、いい職人がいるんだなぁ・・・・」

看板には円卓会議公認、姫サマフィギュア(木製)とかいてあった。

木製でこのクオリティー色もしっかり塗ってあるしこの町の技術レベルは一部元の世界に追いついてるか同等なのかもしれない、熊の屋の透明な醤油もあったし。

それから何件か回り1日目の天秤祭は終わった。


天秤祭2日目

お昼から僕たちは祭りに参加して2枚のスタンプラリーカードを集め終わっり2匹の首が揺れるブライアウィーゼの人形をもらった。

夜になってからは警備の都合上から長椅子からは動けないが誰とでもレイネシア姫があいさつしてくれるということでゆんちゃんのテンションは鰻登りだった。

「おぉん!写真撮りたいレイネシア姫!」

「ほどほどにな」

ングがいたら「変態やな、ゆんさん」って言ってそうだ。


天秤祭3日目

ブラはロデリック商会に1人で行き、僕とイルさんとゆんちゃんの3人になった。

「ングが帰ってくる前にギルドホールにコタツを設置しよう」

イルさんの提案でのみの市で買い物をすることになった。

「ギルド会館でてすぐ南で近いな」

「コタツ以外にも掘り出し物あるかなぁ」

「ングがいなくても光がだせるアイテムとか欲しいおぉん」

僕たちは5人入れるサイズのコタツと蛍の燭台を購入して、コタツはオーダーメイドサイズなので頼んでから来るのは2日後らしい、蛍の燭台は持ち主の思いで光の量が変わるアイテムだ。

それから特に買うものもなく、そらからブラと合流して僕たちの天秤祭は月の兎で魚介ラーメンを食べて終わった。

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